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文学紹介者 頭木弘樹さんのレビュー

【感想を送って下さった方】文学紹介者 頭木弘樹さん

『絶望名人カフカの人生論』や『絶望読書 ―苦悩の時期、私を救った本』など数々の本を著してこられた頭木さん。私自身、社会を意識し始めた学部時代には、「絶望」と思しきものにぶち当たり、頭木さんの本は何度も読み返しました。真正面から「絶望」と向き合い、それと付き合っていくための諸作法や心持を頭木さんから学んだように思います。そして私以外にも、学生からなる上映委員会には頭木さんのファンが沢山いるのです。そこで今回、この映画のレビューを頂けないかとお願いしたところ、なんと快く引き受けてくださいました。お忙しい中で本当にありがとうございました。


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とても心を揺さぶられたのは、まだ中盤のところですが、
プロデューサーの方から「上から目線」的なことを言われて、
「せつないとか、かなしいとか、かわいそうっていうのが、差別にあたることかもしれないというのは、自分の中にもあるし、人から言われたこともあるし」
「でも、さみしいもんはさみしいし、かなしいもんはかなしいし、せつないもんはせつないんです。ダメとかダメじゃないかと、視点がちがうとか、そんなのしらねえよっていう」
ここが、すごくよかったです。


かわいそうとか、同情することは、差別だということが、今は一般的に浸透していて、みんな「かわいそう」と言わないようにして、同情しないように気をつけています。
でも、私はそのことにずっと疑問を感じていました。
かわいそうが、そんなにいけないのかなと。同情は、それはそれでとても貴い気持ちなのじゃないかなと。
私は自分が難病でしたので、人から「かわいそう」と言われたり、同情されてきましたが、それを「上から目線でひどい」とか「差別」と思ったことはありません。
それどころか、まったくの他人なのに同情してくれる人がいてくれたおかげで、これまで生きてこれたと思っています。
せっかく同情する気持ちのある人が、「同情はいけないんだ」と、自分の気持ちを抑えようとしてしまうことを、とても残念に思っています。


ですから、ここの「でも、さみしいもんはさみしいし、かなしいもんはかなしいし、せつないもんはせつないんです」という、心からの言葉は、とても素晴らしいと思いました!
これが聞けてよかったと、心から思いました。




(編集担当:LINDA)

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【上映委員 ひとこと】

偶々ある上映委員と詩の話になりました。私は落ち込んだ時や悲しい時、茨木のり子の「落ちこぼれ」という詩を読むようにしています。そんなことをお話したら、その方も「落ちこぼれ」を読んでくださり、とても心に響いたご様子でした。詩を通して繋がれるというのも心が温かくなる体験だなあって思いました。

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【劇場公開情報】2021年11月9日現在
上映後の、監督&日替わり特別ゲストによるアフタートークは終了しました!お越しくださった皆様、ありがとうございました
詳細はこちら→ https://boku-to-otouto.com/infomation/


大阪 @シネ・ヌーヴォ(本編48分、アフタートーク30分)
終映しました。たくさんのご来場、誠にありがとうございました!


京都 @京都みなみ会館(本編48分)
11/8(日)-11/11(木) ①11:30~ ②14:00~ (1日2回上映になりました!)
11/12以降の上映も決定しています。詳しくは京都みなみ会館ホームページをご覧ください。
https://kyoto-minamikaikan.jp/movie/12338/


神戸 @元町映画館
終映しました。たくさんのご来場、誠にありがとうございました!

「僕とオトウト」公式サイト https://boku-to-otouto.com
お問い合わせ bokutootouto@gmail.com

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