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何事も取捨選択、勇気を持って。時間もリソース限定だもの。世の中。(ベターアイデア? v3-57)

ホテルを買ったけど、うまく行かない、的な件でディスカッションできる?との問いで、ちょっとやり取り。約3万人ほどの人口。ビジネスユースのホテル。以前、淡路市で似たような話があったが、淡路市は人口約4万人。日本の地方はこのぐらいの人口の自治体が多々ある。標準の標準。しかし、人口は減る一方。。。

コロナ痛手で潰れたホテルを、その地元で育ったこともあり、地元からの切なる要望があって、何度も断ったのだけど、最後の最後に購入。購入してからエントランス、レセプション、1つだけあるレストラン、一部の部屋を改修。2年ほどが経過。ビジネス客のだいたいが近くの大企業の関連。立地的にはこのホテルが競合よりもアドバンテージあり。が、赤字なのかな? 現在も色んな方々と話をしながら学習中。ボクには知り合いの知り合いという関係で、雑談レベルのブランディングについての相談。

そのホテルほぼビジネスユース。40部屋ぐらいで、平均客室稼働率は70%ほどとのこと。70%は低くはない。地方であれば高い方。ただ、ビジネスユースだと80%に近づけたい。あ、ただ、これはコロナ前の一般的な業界での話だ。つまりそろそろこれに戻したい。

で、平均的な稼働率70%だがこれでも赤字だと想定すると。理由はコロナもあり宴会需要がほぼ無い。若者の人口も減っているので、結婚式利用もかなり限定的のはず。いろんな”かわいい小規模な”イベントはどこでもするが、売上はしれたもの。まずは止血しなければと思うところ。おそらく人件費はミニマムオペレ-ション、且つ、地元のことも考えて削減はやりたくない。ならば物件費をどうするか。ただ、これも施設のサイズによるところもあり、大きな削減余地は無いかもしれない。ただ、コスト削減プロジェクトを何度か経験したボクが思うに何かある。

ま、そんな現状や未来についてお話していると2点が気になった。

1.主要ターゲットがブレる。アレもコレも症候群に陥っているのはダメ。
2.ステップ論(短期、中期とか。これを目指すがまずはこれから、など)が必要

ありがちなのは、ビジネス利用客を想定した時もあれば、カップルとか修学旅行とか、そろそろインバウンドとか、地元の人にもレストランには来てもらいたい、とかとか。これはダメ。

ちなみに部屋のほぼ100%はビジネスユースなのに、レストランの現状は、内装の見た目からも、メニューからもビジネスユースではない。なので、ボクは、昼・夜・朝・夜・朝と食べたが、ビジネス客は3人しか見ていない。朝でも1時間、昼・夜は3時間ぐらいそこに居た、のに。しかも「今日は満室です。」なんてレセプションの人が言っていたのに。でも、だからと言ってビジネスユース以外の客もレストランには居ない。夜などはゼロだ。ホテル内からも外からもゼロ。。。

ターゲット以外のひとにも来てもらいたい。当然だ。高い単価をより払える客に来てもらいたい。当然だ。ビジネスユースは最高に常に思いっきりに安さ、と便利さを求める。だから、単価の高い客層が欲しい。わかります。でも、それは「次に」考えること。もし今、70%という悪くない客室稼働率が、コロナ禍でも実現できていて、それがビジネスユースで、その方々がご飯をホテル内で食べていないなら、そこがまずの改善ポイントかと想定される。メニューを変えるなどはレストランの通常オペレーションとも言える。低コスト・投資で、ステップ論としては、これが先かとは思う。

あ、ただ、それより先に、あるいは同時並行にやることはあった。ビジネスユースを想定しても、そうじゃなくても、ホテルとしての最低限のやるべきことがやれているかの、再確認。つまり現状のタッチポイント分析。明らかな間違いや不快や機能しないなどの改善。あ、そう言えば泊まった部屋のお風呂のボタンが機能していなかった。且つ、アクセスの記述が間違っていた。ま、こんなこと。

①:外部の人から見て気づくこと
②:従業員の過去の事故やヒヤリハット経験から気づくこと、そして
③:お客様の口コミ

①の視点としては、「まみむめもアプローチ」。
ま: 間違っている(これはダメ。ケアレスミスや消し忘れとか)
み: 見づらい(正しいけど、見えないと意味ないね)
む: 難しい(正しいし、見えるけど、難しいとダメ。シンプル is ビューティフルです)
め: 目立たない(正しいし、見えるし、すぐ理解できるけど、目立たないとスルーですね。絞りきれずアレもコレもでうじゃうじゃはありがち)
も: 漏れている(最後は、有る物だけでなく、無い物にも気づかないと)

ま、ここでもとにかくアレもコレもはダメ。スーパーの安売りチラシみたいな、ごちゃごちゃタッチポイントはダメです。取捨選択、シンプルが良いですね。そうすると、「まみむめ」は解決しがちです。

それと、「まみむめも」に該当しても、責めるべきは人ではありません。組織の仕組み・仕掛け・構造・ルール・オフィス環境・社風などに原因を求めるべきです。「あいつは、本当ダメだなぁー」なんて部下のせい・責任にするリーダーは、リーダー失格です。ひとではなく組織として改善しないと。

この3つの社内外とお客様の視点でチェック。もちろん③についてはターゲットではない客が、こだわった要望の口コミや批判している口コミは無視でOK。ターゲットじゃないんだから。

通称、「こりゃダメ!タッチポイント」を正す。

ただ、それはそうと、ビジネスユース客の単価+レストランでのアップセルでは、赤字は解消できないよ、他の客層を呼びたいよ、との反論も。まずは赤字解消をすべきだが、この気持ももちろんわかる。レストラン売上が増えても焼け石に水かもしれない。でも、それは赤字幅による。どうにか赤字を減らす、黒字に近づける案も一旦は棚卸しすべきなのだ。月-金はビジネスユース用のメニューで、土・日は近隣住民が来たくなるイベント、など、より売上を上げる方策を一旦は棚卸しすべき。

ボクの好きなスタイルは、赤字ならば赤字幅をなるべく減らそうと、マイナー修正でできないことが無いかを考え、棚卸しし、選択して、実行したい。それから、やっと、他の客層を取り込むことを考える。ま、平行でももちろんいいけどね。

単価の高い客層を取り込むならば、このホテル、並びにその土地(ちょっと広めの商圏で考える)が持つ利点(自然的、歴史的、アクティビティ的、など)、「ここに来たくなる理由」を棚卸しする。なお、今あることや過去(歴史)に囚われすぎるとダメとも言える(ダメかもしれない)。ドバイ学習、と呼んでいる。何にも無いところに、人が集まりたくなることだけを作って、世界中から人を集めたのだから。オイルマネーがあるからでしょ、と言われるかもですが、お隣のアブダビと違ってドバイで石油も天然ガスも取れない(取れてもわずか。競争力はない)。

いずれにせよ、今・過去のみに固執せずに、ホテルとその土地の利点を束ねて、取捨選択して、このホテルの魅力・存在理由・差別化要素を定義していく。これを、客層とその感じたい感情を設定(STP:1.セグメンテーション⇛2.ターゲッティング(ペルソナ)⇛3.ポジショニング、の3ステップをボクは信じている)をする。誰にどう思ってもらいたいから、どんな風に・何を提供するがすべて一貫していないとダメだ。「マクドナルドという名前の高級イタリアン。マックと同じアメリカビーフがメインです。ポテトもどうぞ」なんて”高級”なお店に行きたくなりますか、って話。WHY⇛How⇛Whatの順番かしらね。

で、その次は、STPの定義に基づくタッチポイント(TP)の改修。略してTP2(ティーピーツー)とボクは呼んでいる。T(ターゲット)・P(ポジショニング)に則したタッチポイント(TP)の改善だから。定義した「XXなターゲット層に、ホテル・近隣アクティビティを体験して○○と感じてもらう」にもとづいて、各タッチポイントを改善していく。

で、この時、全てのタッチポイントを一度にはできないので、この主要ターゲットのありがちな動線(カスタマージャーニー)を定義して、そこの紐づくタッチポイントを「優先的」に変えていく。ステップ論ね。なお、ホテルとしての最低限を満たしていないような「こりゃダメ!タッチポイント」は改修されている前提。あるいは、合わせて正していく、でもいいけど。

で、次は、シンボリックアイコン作り。ホテルを経験した方々が、あるいはまだ利用したことがなくてホテルのサイトや広告などを見て検討しているターゲット層が、口コミ・話題・写真・動画・投稿などしやすいように、シンボリック・アイコンを作る。人間はほぼ視覚で生きている。だから視覚に訴えられるものが望ましいが、視覚的じゃない場合はそれを視覚化する。ロゴとか、ブランドネームとか。わかりやすくは昔流行った(?)ウェスティンのヘブンリーベッドのような類。

なので、整理すると:

1.止血策:
既存客をベースとした既存のオペレーション(あるいは”ちょっと”した投資で)アップセル、どこまで止血できるかを考える・実行する。ただ、下の3.を優先的に進めるんだ!となったら、それとカニバル可能性もあるので、その覚悟がある場合は、1が劣後もありと言えばあり。。。リーダーの想いと会社のキャッシュの余裕次第ですかしらね。

2.既存タッチポイント分析(こりゃダメ!を正す):
ホテルとしての最低限を満たしていないタッチポイントの有無を網羅的に探し、改善する。①:外部のチェック、②:社内従業員の経験・思い、それに③:口コミ

3.高単価層の獲得を目指すTP2(STP✕TP)+カスタマージャーニー:
他のより高い単価を払う客層を取り込むための、STP(ペルソナ含む)を定義し、その定義に基づくデザインガイドラインで既存タッチポイントを変化させる。なお、それが既存のビジネスユース客に「嫌悪」を思わせない、ことはチェックが必要(ビジネスユース客に調査)。ビジネスユースは、「嫌悪」を生まない限り、立地と価格とホテルとしての基本的なことが問題なければ来てくれる。

4.シンボリック・アイコン作り:
上記の3と平行してもいいけど、大概は全般的に出来上がってから作る方が無難。差別化要素が上手く作れない場合のリカバリーや、3.が出来上がってからの状態での既存客・潜在客(主要ターゲット、他)へのアンケートから気づくこともあるので。このホテルを代表するこれだ!のシンボリック・アイコン(差別化のアイコン)を創出できたら良い。

なんて話をした。のですが、まぁ、普通にとっても居心地の良いホテルでした。お客さんたくさん増えるといいなぁ。。。

今日のベターアイデア:
ビジネスでは、アレもコレも症候群はあまり良くないですね。取捨選択。勇気を持って絞り込む。地球が回っている限り時間は無限だけど、人が持つ時間は有限。お金などのリソースも有限。棚卸しは満遍なく網羅的にして。考慮すべき選択肢はアレコレあっても、やるのは絞りたい。順番をつけたい。一石二鳥は無いですね。二兎追う者は一兎も得ずかしら。


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