【蝸牛】短歌vol3
・カタツムリ 教室の窓 這い登る 昼寝起きたら 見当たらず
席はいつも出席番号の関係で、窓のある壁側の前から3番目とかでした。
1時間目に水泳なんかがあると、もう2時間目の授業からはまどろんできて、先生の授業と鞭打つような板書の音をbgmに、寝る体勢にはいってしまいます。
そんなとき、僕のすぐ横の窓をエッサホイサと登っていくカタツムリがいました。
カタツムリの腹は見たことがなかったので、ちょっと興奮したのを覚えています。
けれど、あまりにも慎重な歩みだったので、だんだんと興奮よりも睡魔が勝って、コクコクと頭を縦に横に振って眠ってしまいました。
『あぁっしまった!寝てしまった!』と10分後に起きまして、隣の窓を見ますと、そこにはもう蝸牛の姿はありませんでした。
そこには蝸牛が通ったであろう道筋を、推測できるかわいた粘液の跡が、窓の上へと続いていました。
『牛歩の歩みも千里』とはよく言ったものだな、と思った少年時代です。
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