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【読書感想文】エゴイスト
2023年2月7日
読んだ本:
高山真『エゴイスト』(小学館文庫)
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愛は身勝手で自己満足でしかない。そうわかっていて手渡した。そうわかっていたから、自分の傲慢さと身勝手さを知っていたから、きっと彼は何も言わなかった。曖昧に流して、口にする勇気は、遂になかったのかもしれない。
だけど僕は、僕の愛も、
身勝手で自己満足でしかないことを知っている。
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善と、偽善。とあるアニメは、そんな話から始まる。それを思い出した。この世に善人など存在するのだろうか?自己をもたず意識というものが存在しない、ただ善行を繰り返すラピュタの城を守るあのロボットのような本物の善人が、この世には存在するんだろうか。
見返りを求めた。あるいは、見返りを求めなくとも、相手のためだけに動いた結果ではなかった。僕等は皆、エゴイストだ。
泣いてしまわないようにした。泣いたけど。
僕は、“自伝的小説”であるというこの物語を読むのに全く必要がない(のかもしれない)情報の上でしか、ものごとを受け取れない。だから、こんな僕が泣いていいものだろうかと思ってしまったのだ。
だって僕は、夜の交差点で赤信号を渡る、ふらふらとした足取りの情景を連想して涙ぐんだのかもしれない。
ほらね、僕は立派なエゴイストだ。
この作品の感想文なんて、長くは書けないよ。
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この作品を知ったのは、YouTubeのおすすめで実写映画のインタビュー動画が流れてきたからでした。この作品に出会えてよかったと思うし、配信サイトで公開されたら、必ず見ようと思っています。これは、同性どうしの恋愛のお話ではなく、“愛”とは何かを問うものであろうと思います(主演の鈴木亮平さんがインタビューでそう仰っていたように)。恋愛ではなく、人との関わりについて問うものです。他人に向ける感情も、愛も、全て自己満足、自分勝手でいい……そう思いつつも、そう割り切れない(こともある)僕みたいな(あるいは彼みたいな)人の小さな夜が、僅かでも穏やかで健やかなものになることを願います。
どうか皆さま、穏やかな夜をお過ごしください。
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紹介した本
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鈴木亮平さん、宮沢氷魚さん主演実写映画
最後まで読んでくださりありがとうございます。読んでくださったあなたの夜を掬う、言葉や音楽が、この世界のどこかにありますように。明日に明るい色があることを願います。どうか、良い一日を。