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長男とかぶる

友人が「ウッジョブ(映画)の主人公が長男君とかぶる」と言っていたので
どれどれ、とサイトを見てみたら邦画だった。
邦画はほとんど見ないのだけれど長男と似たキャラだというので見てみるかと思ったら、三浦しおんさんの小説「神去なあなあ日常」が原作だというではないか。
💡
ここでもシンクロニシティだけれど、つい先日この小説を買ったのだ。
本屋さんでこの本を見かけた時に、随分前に流行っていただろうことは知っていたから古本で沢山あるだろうなとは思った。新品で買う必要あるかな?とか。
けれどもその時、私はこの本がすぐに欲しかったのだ。
で、今読んでいる本の次に読もうと思ってスタンバイしていたの✨

そうしたらこの映画の話が出てきたのでまず本を先に読んでみた。

長男は昔から癇癪持ちのキレ男で反抗期は小2から高2という長期に渡り
それはまあお互いに辛い日々を過ごしたものだった。
元々は私が長男をがんじがらめに育てたことが発端かもしれないし
夫が馬鹿みたいに理想論ばっかりふりかざしてなーーんもやらなかったせいかもしれないし、私がやった虐待まがいの暴力もその要因かもしれない。
いや、それだろ。とかの葛藤はもう終わった。この前「成人男子(長男は22歳)への責任はもう果たした。あとは自分でどうにかしてくれ」という結論に達したから。
というわけで、帰省して夫とバトルをして平和な家の空気を乱すような奴だから、心の底からもう二度と家に帰ってくるなとも思ったし
就職はどうするとか彼女は?とかあるいは彼氏は?とか「好きにしてくれ」と思っている。

でも。心の底では「好きにしてくれ」はかわりないのだけれど
普通に会社に就職して先輩の指導を仰いで営業に行くとか、会社の中で
パソコンに向かって業務をするとか、そういうことが全く想像できないのだ。生活能力がないというか、人としてどうなの?ということを
常にやるからだ。今のバイト先でも入って早々茶碗蒸し全部ひっくり返したとか油15リットルぶちまけたとかそのような話も聞こえてくる。
駅のホームに財布を置き忘れたことは一度ではない。住んでいる場所が田舎なことと住民の優しさに感謝しながら生きているそうだ。
昔から動物が大好きで途中から獣医を志したが頭が追いつかず断念。
「イルカが好き♥」という小学生みたいなこと言って「海洋生物学科」という所に入学して「イルカが好きで来ました」と教授に言ったら「ここはそういう所じゃないよ」と入学して早々言われたとか。
魚は食べられるけど生は触れない、釣りのえさもつけられないし、待つことが出来ないから釣りも好きじゃない、魚の名前知らないの学科で俺一人。
みたいな奴なのだ。ヒラメとカレイの違いも漁師やってる近所の後輩に教えてもらったとか。

まあ一事が万事そういうやつだ。
そんな彼を「成人したとはいえ子供だから放っておけない」って私が思ったとしたら私は自分の人生を投げ出して彼につきっきりで生活しなければいけないだろう。就職の面接でも「人として非常にまずいんですけど、動物は好きで優しい・・・かな?まあとにかくキレます」とか援護射撃なのかよくわからない助言をしなければいけないし。
かといって起業して何かできるスキルも能力も胆力もなし。

友人はそこまでひどい人間だとは知らないと思うけれど
なんとなくうわべの「ゆるさ」とか「なんでもスルーできる能力?」とかは気づいていて「ウッジョブ」に出てくる主人公の男の子とかぶると言ったのだと思う。

まず小説では「山に囲まれる生活」「木と動物の臭いが常にある環境」というのが羨ましくて羨ましくて仕方がなかった。
林業の世界というものを見たことも聞いたこともなかった私は
「こういう仕事があるんだ」と思ったし、木を切ることの意味、今だけを考えて仕事をしているわけではないこと、など
とにかくその仕事の深さに感銘を受けた。
小説内の男の子は、なんかこうすぐに物事を投げ出しそうな一方で
常にゆるい感じだから「はあ、まあそんなもんかな」って受け入れることが
できるのだ。人間関係も仕事も環境も。
それって私にはできないことだと思う。
そんなもんかな、って思う機能が欠落してるかと思うほど
いちいち「それってさーーー」って考えちゃう。
そんな私にがんじがらめに育てられ夫との関係は決して良好ではなかった長男は、友人曰く「そんな親に育てられたとは思えないゆるさ、自由さ」。

で、映画も見てみたら・・・主人公の男の子の鈍くささ
お年寄りにかわいがられる様、怖い上司となんとなく上手くやっていく術みたいなところが、家族全員、長男にしか見えなくなってしまったのだ・・。
たぶん映画や小説みたいな甘い?もんではないだろう。もっと現実的なことだろうし、人間関係も主に男社会のそれであろう。今時のジェンダーレスだのパワハラだのなんだの、山奥にまでそれらが浸透しているとは思えない。一歩間違えれば命を落としかねない仕事をやる中で
声を荒げず諭すように教えることなんてできるかってんだ。

そして本を読み映画をみて、私は長男に「緑の事業」というサイトを
送りつけた。もうここが良いと思う、ってね。
たぶんやり遂げられるような根性は皆無だろうと思うけれど
まず3年間やってみるといいんじゃないかと思って。

世の中には色々な仕事がある。
キレ男で生活能力皆無の男だけれど、彼でもやっていけそうな仕事は
あるのかもしれない。どうしても自分の周りにある仕事しか目につかない。
その中で自分により合いそうなものを仕事にしていくことが多いけれど
きっかけが本だったり映画だったりしたとしても
沢山の仕事がありそれが天職だったりするかもしれないのだ。

長男は大学4年生。どんな仕事に就けるのか、どんな生き方をするのか
それはさっぱりわからないけれど
友人が教えてくれた映画で希望が見えた気がした。
何度も「緑の事業」のサイトを送り付けるものだから「わかったって(笑)」と嫌がられてしまった。

写真は、その長男が就活に行った時に
「こんなトートバッグで来てたのオレだけだった」と
送ってきた写真。スーツと革靴とトートバッグのミスマッチぶりを見て
爆笑してしまった・・・



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