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アコースティックの「MTV Unplugged Presents: LoveLive! Superstar!! Liella!」で満たされた。

2022年5月27、28日にぴあアリーナMMで「MTV Unplugged Presents: LoveLive! Superstar!! Liella!」が、2022年6月4、5日に大阪城ホールで「ラブライブ!スーパースター!! Liella! 2nd LoveLive! ~What a Wonderful Dream!!~ with Yuigaoka Girls Band」が開催されました。毛色は違えど2週連続で生バンド演奏ライブです。これらが随分と楽しかったのでその感想を残しておこうと思います。本項は「MTV Unplugged Presents: LoveLive! Superstar!! Liella!」についてです。

以下、ネタバレを含みます。そもそも配信なかったり既にアーカイブ配信期間が終わっていたりしますが、気になる方は回れ右をして頂ければと思います。


そもそも「MTV Unplugged」とはなんぞやと言うことなんですが、一流アーティストによるアコースティックのライブ番組です。海外発の番組で、日本には2001年にやってきました。一発目となる宇多田ヒカルさんをはじめ、平井堅さん、矢井田瞳さん、布袋寅泰さんと20年以上にわたって錚々たるアーティストたちが顔を並べる中に、このたびLiella! が加わることになったのです。これはすごいことですよ。すごいことなんですが、アコースティックに興味がないからなのか、金曜土曜開催だからなのか、Liella! のイベントやり過ぎ(5週連続の1週目かつ最後に開催が発表)だからなのか、Liella! の集客力が足りないからなのか、たぶんそれらの複合的な要因なのでしょうけど、ぴあありーなMMを埋めるのには苦労しており、3次先行の果てに当日券もあったように思います。貴重な機会でもっと多くの人に体験してほしかっただけにこの点は少しばかり残念でした。

入場した瞬間にいつものライブと会場の雰囲気がまったく違うことに気がつきます。ステージにはテントが張られていて、場内には心地よい森の環境BGMが流れていて、アコースティックの落ち着いた雰囲気にぴったり。いつもよりフォーマルな装いのファンが多いのは着席指定のアコースティックだから……ではなく平日につき仕事帰りが多かったのでしょう、たぶん。いつもと何だか違う中で登場した5人は清楚な白の衣装を身に纏い、椅子に座りながら生演奏に合わせて一曲、また一曲と歌を紡いでいくのでした。

情熱大陸でお馴染みのバイオリニスト葉加瀬太郎さんのコンサートに行く程度にはバイオリンの音色が好きなので、バイオリンの映える1曲目の「START!! True dreams」を聞いただけで「来てよかった」と思いました。脳からドバドバとα波が出ていたと思います。最初のMCで言及されることになるコンセプトの通り、セットリストはわかりやすく「ラブライブ!スーパースター!! Liella! First LoveLive! Tour ~Starlines~」を振り返る内容となっており、数曲抜けて「リエラのうた」が星にまつわるカバー曲に替わっていただけで順番含めてそのまんま。ステージセットと相まって、キャンプファイヤーを囲んだ5人が怒涛の勢いで駆け抜けた10都市22公演の思い出に浸っているようでした。アコースティックのゆったりと時が流れる空間に身を委ねていたためか、まだ終わってから半年経っていないのに随分と昔のことのように感じました。

楽曲がアコースティックアレンジされているというだけでも新鮮ですが、5人が踊らずにずっと座って歌っているのもまた新鮮で。1stライブの振り返りであると発表されたときに多くの人は思ったはずです。「葉月恋役の青山なぎささん、めちゃくちゃ手持無沙汰なのでは??」と。キャラの加入が遅いために1stライブでは4曲目から8曲目まで出番がありません。もしや1~3人で歌った5人曲をこの日は5人で歌ってくれるのかしらと思ったりもしましたが、特にそんなことはありませんでした。それでもいつもはステージ裏にいるメンバーがずっとその場にいるのは何だか面白くて、自分が歌わないときにどうしているかを眺めるのも個性豊かで楽しかったです。青山さんとペイトン尚未さんは身体でリズムを刻んでいるし、伊達さゆりさんと岬なこさんは口ずさんでいるし、Liyuuさんは無。唯一ライブとパートが違ったのは「常夏☆サンシャイン」で青山さんが「ふー!」や「いえーい!」といった賑やかしを担当されてたこと。「5人の常夏が見たいとはいったがそうじゃねーよ」とツッコみながらも青山さんが念願の常夏を楽しんでいるようだったのでよしとします。

どの曲も素敵で、よかったものをひとつだけ選べと言われると困ってしまいますが、みっつ選ぶなら「常夏☆サンシャイン」と「ノンフィクション!!」と「Tiny Stars」ですかね。前者ふたつは盛り上がり曲を少し抑えめにオシャレな方向にアレンジされているのが大変好みでした。「ノンフィクション!!」は先の動画にも含まれています。シャレオツー! 「Tiny Stars」は音数を最低限に絞った構成でした。アコースティックギターとパーカッションのみだったんじゃないかしら。静かな空間に響き渡る二人の綺麗なハモりとギターの弦のキュキュっと擦れる音が堪りません。「Tiny Stars」を歌う伊達さんとLiyuuさんの横で口パクしている岬さんという構図の物語性も堪りませんでした。

Liella! の5人がアコースティックライブで魅せられる大きな要因のひとつは全員の歌唱力が一定のレベル以上であることだと思います。聞いていて冷や冷やしないんですよね。パフォーマンスに集中することができます。よくよく考えてみるとデビュー直後の無観客ライブで突然のアカペラを披露した彼女たち。元々、この手のライブに耐えられる地力があったような気がします。加えて、10都市22公演の叩き上げにより、1stライブの楽曲についてはすっかり仕上がってるわけで、もしかしてあの過密スケジュールはこの日のためにあったのでは? とすら思えるほど。踊らず歌唱に集中すると尚うまい。中でも青山さんの丸い歌声はアコースティックと相性抜群で耳がとても幸せでした。

1stライブ同様、「未来は風のように」を歌い終えるとキャストたちはステージを去っていきました。アンコールがあるようなないような不思議な時間の始まりです。会場アナウンスが入らないので終演ではなさそうなのに、楽器たちは次々と片付けられていきます。何だ。何が始まるんだ。カーテンコールか。

始まったのは「始まりは君の空」でした。衣装もライブ仕様です。「アンプラグド」は終わりました。なんと「アンコールはプラグド」だったのです。コンセプトどうした!? 余韻に浸る時間は!? さすがにちょっと笑ってしまいましたし、蛇足感も否めませんでしたが「アンプラグド」は先程終了したのでと言われたらそれはそう。2曲目の「だから僕らは鳴らすんだ!」からはキャストのひと声により立ち上がっての応援が推奨され、いつものライブとなりました。この曲と「Day1」は「アンプラグド」からは抜かれてアンコールでの披露だったんですよね。どちらも盛り上げ曲。アンコールを盛り上げるために抜いたのか、アコースティックアレンジが難しくて抜いたのか、どちらが先なのかは興味があります。そしてこれまで擦り過ぎていた「ノンフィクション!!」からの「Day1」の流れが断ち切られた瞬間でもありました。そういえば「GOING UP!」はアンコールでも披露されず、「リエラのうた」を除けば唯一の全編を通してやらなかった1stライブ曲だったように思います。フル尺のソロ歌唱だからかしら。

最後の最後は1stライブでもお馴染みだった「この街でいまキミと」で記念写真をパシャリ。1日目の写真は前方のスタンドだったので見切れています。2日目の写真(上記)は前から2列目で青山さんの髪の毛でギリギリ見切れています。ペンライトだけ映ってる……。1日目は音に集中して、2日目は間近でのパフォーマンスも楽しみながら、バランスよく贅沢な2日間を過ごすことができました。

こちら白い5人のLiella! と黒い7人の演奏家たち。蛇足とか言っておきながら、アンプラグドもプラグドも楽しめる一粒で二度美味しい貴重なライブだったと思います。終わる頃には「これで1stライブツアーが終わったんだな」という寂しさもありながら、充足感で心が満たされていました。素敵なパフォーマンスをありがとうございました!

余談
ホテルに戻って着替えてiPhoneを充電しようとしたところ、コンセントとケーブルを家に忘れてきたことに気がつきました。「プラグ」忘れて私も「アンプラグド」じゃん……! と笑いながら着替え直してコンビニでケーブルを買ったのでした。想定外の出費……消耗品なので無駄にはなるまい。

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