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「ラブライブ!スーパースター!! Liella! First LoveLive! Tour ~Starlines~」~彼女たちが初めてファンの前で歌った日~

2021年10月30日、31日に群馬県はベイシア文化ホールで「ラブライブ!スーパースター!! Liella! First LoveLive! Tour ~Starlines~」が開催されました。彼女たちの華々しいお披露目になるはずだったリリースイベントは残念ながらの無観客。今回も感染症の流行がどうなるかわからない中での開催決定。キャストやスタッフやファンだけに留まらない全国民のみなさんの力によってこの日を無事に迎えることができました。

先輩であるAqoursや虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会も最近ユニットライブを開催していたところ。誰も彼もが口を揃えて「やっと皆さんに会うことができた」「やっと皆さんの前でこの曲を披露することができた」と言うわけです。観客の前でパフォーマンスをするという数年前は当たり前だったことが当たり前ではなくなったここ最近。その中で活動を始めたLiella! にとって、初めてのファンの前でのパフォーマンスをする体験は格別だったに違いありません。

その初日。願わくば、そんな彼女たちを直接この目で見たかったのですが、残念ながらチケットはご用意されず配信で。楽曲それぞれについては公演を重ねるにつれ深みが増していくと思っていますし、現地を体験しないと感じられない部分もあると思います。今回は曲ごとの感想はさておいて、ざっくりとした構成や演出、キャストたちの印象などをつらつらと語っていきたいです。

以下、ネタバレを含みますので、情報を遮断して群馬以外で観るんだい! という方は回れ右していただければと思います。とはいえ、すべての情報を遮断して最大2ヶ月過ごすのはかなり難しいのでは……という気もします。

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初日のセットリストはこちら

01: START!! True dreams/Liella!
02: だから僕らは鳴らすんだ!/Liella!
MC
03: 未来予報ハレルヤ!/Liella!
04: GOING UP!/かのん
05: 1.2.3!/かのん&可可&千砂都
幕間アニメ映像
06: Tiny Stars/かのん&可可
07: バイバイしちゃえば!?/千砂都&すみれ
08: 常夏☆サンシャイン/かのん&可可&千砂都&すみれ
幕間リエラのうた映像
09: Primary/恋
10: Memories/千砂都
11: Message/すみれ
幕間アニメ映像
12: 瞬きの先へ/Liella!
幕間アニメ映像
13: Wish Song/Liella!
MC
14: ノンフィクション!!/Liella!
15: Day1/Liella!
16: Dream Rainbow/Liella!
17: 私のSymphony/かのん独唱からのLiella!
幕間アニメ映像
18: Starlight Prologue/Liella!
MC
19: 未来は風のように/Liella!
幕間アンコール映像
20: .始まりは君の空/Liella!
21: Dreaming Energy/Liella!
MC
22: この街でいまキミと/Liella!

まずは演出面。

・曲数が多い。
めっちゃ歌ったな!? 1stライブでありながら、毎週末10都市20公演の叩き上げ仕様だったので、曲数は少なめでMCやアニメ映像を多めに2時間半くらいの公演だと思っていました。ところがどっこい。たっぷり22曲の3時間。密度が高い。正気か!? 2度目のMCが13曲終わった後ってどういうことよ。アニメ挿入歌のカップリング曲のいくらかは日替わり仕様にすることもできたはず。しかし贅沢なことに、すでに無観客配信で披露済みの「Dreaming Energy」と「Dancing Heart La-Pa-Pa-Pa!」の入れ替え以外は、すべてのカップリング曲が披露されました。今後各地を巡る過程で変えられる余地を考えてみたものの、抜本的にコンセプトを変えない限りは、そこと「リエラのうた」あたりしか楽曲の変えどころは見当たりません。

・Liella! の曲を5人で歌うとは限らない。
これ結構びっくりしました。「GOING UP!」「1.2.3!」「バイバイしちゃえば!?」「Primary」と本来は5人で歌われるこれらの楽曲を、今回は5人で歌っていません。この試みが高密度な曲数を可能にしています。Liella! は今のところユニットが存在しないため5人で歌い続けている限り、MCやアニメ映像を挟まなければ、着替え時間や休憩時間を確保することができないのです。じゃあ5人で歌わなければいいじゃない。クーカーの2人が歌っている間に「常夏☆サンシャイン」の衣装に着替えた千砂都とすみれが「常夏☆サンシャイン」を歌うより先に「バイバイしちゃえば!?」を歌ってしまうのは面白かったです(その裏で必死に常夏に着替えているであろうクーカー)。また、「GOING UP!」と「Primary」をいきなりひとりに任せる演出家の思いきりのよさと、それにちゃんと応える伊達さゆりさんと青山なぎささんが素晴らしい。ついこの間まで一般人だったとは思えない……。こんな感じでひとつの楽曲について「今回は誰が歌うんだろう」となるのはラブライブ! シリーズのライブの新しい楽しみ方だなと思いました(それがコンセプトのシャッフルフェスティバルは除く)。もちろんいつか5人で歌ってくれる日も待っています。なるほど。これにより「5人では初披露」というカードを先に残したとも言えそうです。

・「Wish Song」への繋ぎが素晴らしかった。
今回のライブの私の中の演出大賞はここです。異論は認めます。単純なアニメ時系列ではなく、恋に焦点を当てた編集のアニメ映像が流れ始めて、いよいよ5人揃って「Wish Song」かと待ち構えていました。あれ? 「Wish Song」の衣装を着てひとりずつ歌い始めたこれは「Wish Song」じゃないな? 理解するのにしばし時間がかかりました。ここで披露されたのはなんとカップリング曲の「瞬きの先へ」でした。あれ? 恋がいない? 上述した通り、5人楽曲を5人で歌うとは限らないので4人で歌いきってしまう可能性が否定できません。が、1番の最後のワンフレーズの独唱で登場。ここで改めてパート割り振りを見てみると、実は大きくいじったわけではなく、元から恋単独のパートの初出は最後のワンフレーズでした。この演出を見越してパート分けを考えたんじゃないのと疑いたくなるほどよくできていました。間奏で青山さんのバレエが披露されつつ、優しく終わるアウトロに合わせて、第8話の中でも好きなシーン、躊躇する恋が風に押されてかのんの手を取るシーンのアニメ映像が流れはじめ、キャストも動きでアニメとシンクロします。青山さんが伊達さんにふわっと寄りかかったところで次の曲のイントロが流れてアニメ通りに円陣を組んで掛け声からの「Wish Song」。隙がない。拍手しかない。何を食べて生きていればこんな演出が考えられるのでしょう。美しかったです。悔しかったです。

・「私のSymphony」の演出も素晴らしかった。
5人で「Dream Rainbow」を歌い終わった後に、伊達さんがひとり取り残されて「あれ? みんなどこ?」みたいなサイレントの芝居が入ります。これ絶対あれじゃん。独唱の「私のSymphony」じゃん。期待を裏切ることなく独唱が始まるとアニメ通り舞台袖で4人が見守っています。アニメ通り1番が終わったところで4人がかのんに駆け寄り、真っ先に千砂都がかのんに飛びついたところで、曲調が5人バージョンにスイッチ。完璧だ。第11話の感想で私が見たいといっていたものが想像以上の形で具現化されていて嬉しかったです。汗だくで前髪が崩れながらも懸命に歌いきる伊達さんの姿にも心打たれました。

・「Starlight Prologue」のブレード企画成功。
こちらも第12話の感想で触れていました。アニメのMVのように綺麗な5色のラインができていることが配信でもバッチリわかりました。企画されたみなさま、素敵な景色を作ってくれたみなさま、ありがとうございました。このまま全国に繋がっていくといいなぁと思います。

次にキャスト。

・青山なぎささん
初めての生放送を見たときは「プライド高いんじゃないの?」と思っていました。とんでもない。前のめりで笑いをとりに行くヤバい人。参加させていただいたオンライントーク会でも愉快な人でした。そんな彼女もステージに立つと一変。どこからどう見ても優雅で美しい葉月恋になるので恐ろしい。私的見どころはソロで歌い上げる「Primary」と「瞬きの先へ」の間奏のバレエです。恋の加入が遅い都合で、3曲目の「未来予報ハレルヤ!」から9曲目の「Primary」まで出番がないんですよね。まだかまだかと待ち侘びていただけに、まさかのソロの「Primary」にカタルシスを感じました。丸くて柔らかくて心に響く歌声が大好きで、バラードのような「静かに聴かせる歌」であれば彼女がダントツ。反面、キャラクターの性格と声質から今は「盛り上がる」とは対極の位置にいるので、恋センターで優雅だけどアップテンポな楽曲が出てくると、また新しい魅力が引き出されるんじゃないでしょうか。MCで他のメンバーが喋っているときにちょけるのは彼女のちょっとした悪いクセです。そのギャップが魅力のひとつでもあるのでちょけること自体は問題ありません。むしろいいぞもっとやれの心意気。しかし、ちゃんと責任もってオチまでもっていってほしいなとは思います。じゃないと巻き込まれ貰い事故で他のメンバーがスベった感じになってしまうので。

・ペイトン尚未さん
青山さんとは対称的にエッジの効いた尖った歌声。真っすぐ伸びるので通りがよく聴いていて心地よいです。8月末の配信イベントでも感じましたが、歌唱の安定感はペイトンさんが頭ひとつ抜けているなと思います。私的見どころは「ノンフィクション!!」からの「Day1」です。ラップがとにかくカッコいい! ペイトンさんの低音から高音までを幅広く楽しむことができます。何だか2日目は喉の調子がよろしくなかったようです。まだまだ先が長いツアーなので自分と対話しながら程よい力加減で走り切ってほしいなと思います。グソクムシの歌もいつかどこかで。5人の中では天然ボケ担当であるような気がするペイトンさん。真面目に話しているのにクスリとしてしまうトークも魅力的です。だいたいLiyuuさんに振り回されてる気がします。

・岬なこさん
岬さんこんなに踊れる人だったんだ……! 正直なめていましたすみません。私的見どころは「常夏☆サンシャイン」と「ノンフィクション!!」です。「常夏☆サンシャイン」の落ちサビ前のテヘ顔からのソロダンスは目が離せません。最後の回し蹴りをペイトンさんがくぐるところは何度アーカイブで見返したことか。20公演もあると1回くらいうっかり蹴っ飛ばしてしまうんじゃないかと冷や冷やしていますが、Aqoursの「君のこころは輝いてるかい?」の馬跳びのように絶対の信頼をもってくぐっているんだろうなと思います。この曲に限らずとにかくダンスのキレがすごい。現地で観たら知らず知らずのうちに釘付けになってしまうんだろうなと思います。そんな彼女の弱点を挙げるとすれば表情の硬さです。最初のリリースイベントのときはガチガチでした。普段は表情豊かなので、歌って踊って顔を作るというマルチタスクが少し苦手なのかなと想像します。それから8月末の配信イベントを経て、今回は比較的いろいろな表情を見せてくれました。特に楽しみにしていたのが「ノンフィクション!!」のMVで千砂都が見せていた悪い顔。果たしてこれを岬さんはやれるのか。すみれが歌って、かのんが歌って、可可が歌って……はい、バッチリでした。MVのままの素敵な悪い顔を頂戴しました。ここだけで胸いっぱいです。そういえば途中のMCで「胸いっぱい」という言葉が咄嗟に出ずに「お腹いっぱい」と言って笑いが起こる場面がありました。別のMCで「お腹いっぱい」を回収して笑いに繋げられるあたりに関西人の血(偏見)を感じました。笑いの基礎を知っている。

・Liyuuさん
このライブ最初の涙を流したのは彼女でした。これが私の中で結構意外で。彼女はキャスト発表された時点でtwitterのフォロワーが50万人を越えていた人気者ですし、個人名義でアルバムもリリースしています。普段どちらかといえば喜怒哀楽が顔に出にくいこともあり、キャリアのひとつとして淡々とLiella! の活動をされているのかなと勝手に思っていました。決してそんなことはなかったようです。一筋の涙を流しながらも真っ直ぐカメラを見つめて言葉を紡ぐ彼女の姿が強く印象に残っています。私的見どころは「Tiny Stars」です。二人で歌ってしっかりハモっていたのがよかったです。伊達さんとの身長差よ……。身長差はさておき、Liyuuさんはライブステージに立つラブライブキャストの中でいちばん身長が高いキャストです。その長い四肢を活かしたダンスは魅力のひとつかなと思います。また長身な彼女がセンターに立つとフォーメーションとしての見栄えがよいです。最初のリリースイベントのときは歌い出しの声量の弱さが気になっていましたが、今回はそれほど気になりませんでした。そういえば彼女だけソロ歌唱の機会がなかったですね。別の公演ではリエラのうたの日替わりで聞けたりするのでしょうか。

・伊達さゆりさん
あんたが主役! Liella! のセンターをしっかり勤め上げてくれました。ついこの間、宮城の訛りで一般人公募オーディションを受けていた子とは思えません。正直、パフォーマンスがほどほどでも懸命に頑張る姿が見られればよいと思っていました。初めての有観客ライブで涙を流す姿が見られればよいと思っていました。とんでもない。1曲目で緊張しているだろう「START!! True dreams」の落ちサビの堂々たるソロ歌唱を聞いた瞬間に「あ、これはヤバいものが見られるな」と確信しました。ソロ歌唱と言えば「Starlight Prologue」がとても好き。控えめなインストの中で裏声でブレずに歌いきる姿は惚れ惚れします。私的見どころは「未来予報ハレルヤ!」と「私のSymphony」と……全部! 全部です! それでもベストショットを挙げるなら「私のSymphony」の項でも述べた通り、あの瞬間の伊達さんが最高にカッコよかったです。主人公キャラの宿命で、誰よりも多くの楽曲を、誰よりも責任あるパートで歌わなければなりません。よくぞやり切ってくれました。まだまだ伸び代もありそうで、掴んだ星をどれだけピカピカに輝かせてくれるのでしょうか。ライブの終了後、仲間のひとりは壊れた人形のように「伊達さゆりを推せ」としか鳴かなくなってしまいました。これは極端な例であるとしても、ひとりのパフォーマーとして多くの人の心をぐっと惹きつけたことは間違いありません。

まとめ
現地ですらなく配信なのに我が子の発表会のような気持ちで心臓バクバクで迎えたLiella! 初めての有観客ライブ。期待と想像の遥か上を行く完成度の高いライブでした。本当に1stライブですか?? ここから場数を踏みまくってさらに成長しちゃうんですか?? 楽しみである一方で心配していることもあります。それはあまりにも過密なスケジュールです。これから年が明けるまで毎週どこかで22曲3時間のパフォーマンス。群馬は最初なのでとにかく全力でよかったと思います。しかし、このまま短距離走20本の感覚で走り続けようものなら何かの間違いで怪我にも繋がりかねません。うまく力加減をコントロールしながら、それでもファンが満足してくれるパフォーマンスのレベルは維持しながら、最後まで無事に走り抜けてほしいなと思います。我ながら無茶なことを言っています。でも無茶な日程を組んだのは公式だから……。

「アニメは見たけどライブはいいや」という人にもどこか1公演くらいは配信で観てほしい。そんな素晴らしいライブでした。ご興味とご都合があえば是非。

・余談
配信を見ていて会場が映されたときに真っ先に思ったのが「何かペンライトがぼんやりしているな」でした。カメラ越しだからかなぁとも思ったりもしますが、何となく自分の中で納得のいく理由が見つかったので作業仮説として置いておきます。感覚的なものなので正しいかどうかはよくわかりません。

キャプチャ1

これは「CLIP STUDIO PAINT」の色相環です。Liella! のメンバーカラーはちょうど5等分した位置の色が振り分けられていることがわかります。例えば4等分や6等分であれば反対色(青に対しては黄色)があるのでメリハリが生まれ、3等分であれば色同士が離れているので反対色がなくてもメリハリが生まれます。しかし5等分は反対色がなく色同士が離れすぎてもいないので、バランスが良すぎるあまり、なんとも絶妙にメリハリが生まれにくくなっているんじゃないかと思っています。色相だけでなく彩度や明度も関係しているのかなぁ。教えて、デザインに詳しい偉い人!

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