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お渡し会やオンライントーク会の反省会~その数十秒に愛と感謝を込めて~

私のお渡し会やオンライントーク会の経験を振り返りつつ、与えられた限られた時間を有効に使うためには何を心がけるとよいのかを私なりに考えてみた話です。

お渡し会とは、芸能人が記念品を手渡ししてくれるイベントです。渡される過程で数十秒から1分程度お話できます。規定の時間に達するとスタッフさんに剥がされます。私の観測範囲内ではCDやDVD、雑誌などを購入して応募することにより参加できる場合が多く、言ってしまえば販売促進施策のひとつです。話せる確率あげたきゃそれなりに積んでくれというわけです。渡す側も人間なので労働可能な時間には限りがあり、当選数が多ければひとりあたりの時間が短く、ひとりあたりの時間が長ければ当選数が少ない傾向にあります。最近は世界事情により、モノを直接渡すことや、そもそも会場に出向いて会うこと自体が難しくなっていることから、オンラインで代替できる環境が急整備されたように思います。

私が初めてお渡し会に参加させていただく機会を得たのは2年ほど前、私が最後にオンライントーク会に参加させていただく機会を得たのは2週間ほど前。4回ほど体験しましたが、完璧な出来だったことは一度たりともありません。うまくいかなかったなりに楽しかった思い出たちをまずは振り返ります。

・小宮有紗さん

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私の初めてのお渡し会。2019年5月に「閉店記念SPECIALイベント小宮有紗を勝手に愛でる会~ありがとう週プレ酒場編~」に参加させていただきました。これは応募して当選ではなく、チケットを先着で購入することで参加。1次募集のときに買えずにガッカリしていましたが、キャンセル分の2次募集で滑り込むことができました。各回75人で、滑り込んだ私は最後のほうでした。ついたての向こうで行われるお渡し会。小宮さんと73人くらいのファンのやりとりを聞くことができました。ファンサービスをしている姿を見るのが結構好きなので、お渡し会は順番が遅い方が役得のような気がしています。このときは姿は見えなかったけど。緊張が解けぬまま、ついたての向こう側へ。ほ、本物だ……。「特命戦隊ゴーバスターズの頃から知っていたこと」「自分が沼津に転勤し、そこが舞台のラブライブ!サンシャイン!! を通して再会するとは思っていなかったこと」「そんな人とこうして直接お話していることが信じられないこと」「役としてではなく小宮さん自身に惹かれてバースデーイベントに行っちゃったこと」「1ヶ月後に控えたAqoursの5thライブを楽しみにしていること」あたりをたどたどしく伝えることができました。途中、「次のイベントも来てくださいね」と言われたときに、もう予定が入っていて行けないことが確定していたのに「は、はい」と思わず首を縦に振ってしまいました。「美人に絆される」とはこういうことか。時間に余裕があったのか、一向に剝がされる気配がありません。しかしこのままではこの真っ直ぐで美しい瞳に殺されてしまう。本能がそう訴えてきたため、半ば自ら剥がれていきました。今思えばちょっともったいなかったです。

・小原好美さん

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2019年9月にTVアニメ「かぐや様は告らせたい」のWebラジオ「令和最初の告radio」特典お渡し会に参加させていただきました。ラジオのCDを買っての応募です。180人くらいいた気がします。ステージ向かって右端にいたところ、真横の扉から登場されて、始まる前からびっくりでした。ほ、本物だ……。「平成最後にかぐや様に出会って、そこからラジオをずっと聴いていたこと」「だから(この後に公開録音の)最終回がとても悲しいこと」「少し前にラジオで小原さんをどーんだYO! した犯人が私であること」をたどたどしく伝えることができました。自白したときの「あー! あのときのお前かー!」みたいな反応が可愛かったです。落選して参加できなかった公開録音の最終回で、タイトルを変えてのラジオ継続が発表されました。私の悲しみの挨拶はなんだったんだYO! 洗濯のタイミングを誤って着て行けるカジュアルな服がなかったため、スーツを着ていった覚えがあります。

・相良茉優さん

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2020年12月に「あなたと一緒にスマイルパーティー!」に会場参加させていただきました。挿入歌CDを買っての応募です。38人会場、37人オンラインのハイブリッドで合わせて各回75人くらいだったんじゃないかと思います。感染防止で仕切られているため、直接お渡しされることは叶わず、相良さんが渡す仕草だけしてトレイに乗せた記念品を、話し終わった後にスタッフが持ったトレイから受け取る間接お渡し会でした。緊張のあまり、相良さんの渡す仕草をガン無視していきなり話し始めてしまったのは私です。恥ずかしい。ありきたりですがせっかくの機会なので「かすみんです!」を本人の口から引き出すことを目標のひとつとしていました。「アニメの中で表情と声色をくるくる変えながら生き生きとしている、かすかすが――」と誘ったところでしっかり乗ってくれて嬉しかったです。キャラ声がNGだったので相良声でのビジネス「かすみんです」でしたが、それはそれで貴重だったということで。「アニメの中須かすみとそれを演じる相良さんが好きなこと」「挿入歌衣装である水玉ワンポイントの黄色いレトロワンピが可愛くて気に入っていること」「それを着た相良さんをいつか見てみたいこと」をお伝えしました。小宮さんと小原さんは会話するというより気持ちを伝えることに全力を注いでいましたが、相良さんとはいくらか会話できたように思います。慣れによる心のゆとりと時間のゆとりのおかげです。1分あるとわりと話せます。現地とオンラインを交互にこなしている様を見るのが面白かったです。後ろのほうだったので60人分くらいの相良さんのファンサービスを見ることができ、やり取りの中から多くの学びを得ることができた会でもありました。

・青山なぎささん

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2021年5月にLiella! デビューシングル「始まりは君の空」リリース記念オンラインイベントに参加させていいただきました。5人で3日間で4500人だったので1人1日300人捌いていたことになります。お疲れ様でした。持ち時間はひとりあたり25秒。この短時間で相手のレスポンスを伺いながら会話する自信はなかったので、伝えたいことを伝えることに専念しました。「青山さんがお誕生日でおめでたいこと」「リリイベが素晴らしかったこと」「丸くて優しい青山さんの歌声がめちゃくちゃ好きで、青山さん歌い出しのデビューシングルが好きなこと」を伝えることができました。特に無観客になってしまったリリイベについて、直接感想を言える機会をいただけたのは嬉しかったです。都度、青山さんが反応してくれるのを遮るような形でマシンガントークしてしまったのは若干申し訳なくもありました。そして余る尺。最後に「芸人のようなオーバーリアクションをするところもめちゃくちゃ好きなこと」を伝えたら、大きく力こぶを作るようなオーバーリアクションをしてくれたのでこちらも動きを合わせて「いぇーい!」と声も合わせたところで通話が切れました。我ながら締め括りだけは完璧だったと思います。

あー、楽しかった。

極度の緊張から解き放たれ、高揚感が落ち着き、冷静さを取り戻すと、「楽しかったが、もっとうまくやれたんじゃないか?」と毎回ひとり反省会が始まります。そこで、これまでの自分自身の体験や、他の参加者のやり取りを見ながら感じたことをつらつらと書いてみようと思います。積みまくりの常連さん向けではなく、たまたま機会を得られたので失敗するリスクを減らしておきたい人向けです。

あらかじめ断っておくと、今回は相手と話すことを前提に書いていますが、楽しみ方は千差万別で、例えば挨拶だけ交わして尊い推しを無言で眺める数十秒もそれはそれで幸せな時間の使い方だと思います。

・名前を呼んでほしかったら名札を用意する。

名乗ると名前を呼んでくれることがあります。簡単に素敵な思い出を作れる方法のひとつです。「お渡し会マニュアル」があったとすれば「名前を呼ぶと相手は喜びます」と書いてあるんじゃないでしょうか。普段からまめにリプライするとかフラスタを贈るとかして名前を覚えてもらえていると「いつも〇〇してくれる〇〇さん!」と気がついてもらえたりもするようです。名前が難しいとか滑舌が悪いとか、名前を言っても聞き取ってもらえないケースもあり、言い直している時間がもったいないので、名乗るなら名札を作るなどして視覚的にもわかるようにしておくとよいでしょう。

・基本的には認知されていないと思った方がいい。

上記のように向こうから自発的に「認知していますよ」と来るぶんにはいいですが、こちらから「認知してくれていますか?」と仕掛けて空ぶるとめちゃくちゃ恥ずかしいです。空ぶっている様を見ているだけでめちゃくちゃ恥ずかしかったです。認識の擦り合わせの時間ももったいない。私も小原さんに対して仕掛けていますが、今思えば彼女が本当に思い出してくれていたかどうかはわかりません。「お渡し会マニュアル」があったとすれば「わからなくても思い出したフリをすると相手は喜びます」と書いてあるんじゃないでしょうか。それでいいのです。仕掛けるなら相手が思い出したフリでかわせるくらいの内容がお互い幸せになれる距離感だと思います。気がついてもらえる公算が大きければ攻めることを止めはしません。試せる機会もそうそうないので。

・伝える内容をだいたい決めておく。

何を話すかはあらかじめ決めておきましょう。今回、2年前のそこそこ詳細な内容を書き出せているのは事後レポを取っていたからではありません。伝えたいことを列挙した事前メモが残っていたからです。滑舌のよさにもよりますが、だいたいひとつのことを伝えるのに10秒くらいが目安です。25秒だったら伝えたいことをふたつみっつ言って挨拶して終わりです。会話を求めると相手のターンもあるのでさらに伝えられる数は減ります。詰め込みすぎると尻切れになったりするので、全部言わなきゃと欲張らず、優先順位をつけて展開と残り時間に応じて引き出せるように内容を整理しておくのがよいでしょう。

・会話をするか一方的に話すか決めておく。

これは個人の好みの問題です。上記にも関連しますが、数十秒を何に使うかの大枠を決めておいた方がいいです。大きくは「会話を楽しむ」か「想いを伝える」だと思います。私は主に後者です。想いを伝えられるだけ伝えようとした場合、会話特有のリアルタイムなキャッチボールは楽しめず、相手の反応を楽しみながらお便りを読み上げるような感じになります。それでもより多くのことを伝えられ、主導権を握ったままキャストの反応に大きく左右されずに進行できるので、予定していた計画が狂いにくくて、私の性格には合っています。会話を楽しむことに主軸を置くとメリットとデメリットがだいたい逆転します。試される双方のアドリブ力とトーク力。

・用意していた質問が被ってしまっても気にしない。

会話であまり困らないやり取りのひとつは質問をして答えてもらうことです。自分の番が後ろのほうだと「私がしようとしていた質問とかぶったー!」ということもあります。でもあまり気にする必要はなさそうです。みんな結構かぶせてきます。相手がその質問をされたかどうかではなく、自分がその質問をしたかどうかが大事なのです。自分の口で聞いて、目の前で答えてもらうことが大事なのです。オンラインだとそもそも誰が何を聞いているかわからないですからね。相手も重複を気にしていないと思われます。重複を避けようとすると奇をてらった質問になりがちで、奇をてらい過ぎると相手が回答に窮してしまうかもしれません。変化球で困らせて時間を浪費するくらいなら予定調和な質疑応答をしつつ、それをフックに展開した方が楽しめそうな気がします。

・頭が真っ白になってしまったら頭が真っ白になってしまったと言う。

どんなにあれを言うぞこれを言うぞとシミュレーションを繰り返していても本人を目の前にすると緊張で吹き飛んでしまったりするものです。思い出そうとあわあわしていても残酷に時が過ぎ去るだけなので、正直に「何話そうとしていたか忘れちゃいました」とでも言っておきましょう。吹き飛ぶ人は1人や2人じゃないはずなので、相手も慣れていて、うまくフォローしてくれます。実際、私も小宮さんのときに吹き飛びましたが、正直に言ったことで「そんなこともある!」とがんばルビィのようなのポーズをしてくれて、間を繋いでくれました。「お渡し会マニュアル」があったとすれば「沈黙が発生したときに振れる話題はいくつか用意しておきましょう」と書いてあるんじゃないでしょうか。時間を持て余したときに向こうから仕掛けてくれる質問はだいたい同じことが多いです。相良さんのときは「かすみんのどこが好き?」が定番のひとつでした。

・お気に入りのグッズがあれば身につけていく。

困ったときの話題のひとつになり得ます。もちろん困ってなくても使えます。相手としても触れやすいですしね。オンライン参加だと自宅のグッズを制限なく好き放題画面に映り込ませることができるので、レイアウトを工夫している人はしているようです。

・事前に通信環境や音量やツールの仕様を確認する。

回線が安定しているかどうか、スピーカーやマイクが想定通りに機能しているかどうかはオンライントーク会に向けて確認すべき最重要事項だと思います。相良さんのハイブリッド会で他の参加者のオンライントークを聞くことができたのですが、やっぱり何人かは声がうまく聞き取れていなかったり、ラグがひどくて始まったと思ったら終わったりしている人がいました。もったいない……! ツールの仕様も確認しておきたいですね。青山さんとのオンライントークに使ったWith Liveでは特別な事情がない限り4G回線が推奨されていました。指定時間の頃合いに入室するとカウントダウンが表示されます。残り0秒で始まるわけではなく、持ち時間が25秒なので残り25秒で始まり残り0秒で終わりました。事前に知っていたので残り35秒あたりから深呼吸できましたが、知らなかったら心の準備も不十分なままに突然始まってあたふたしていたことでしょう。もちろんツールが変われば仕様も変わります。

・家族に邪魔されないようにする。

たまたま実家に帰らなければならない日程とオンライントーク会の日程が被ったので実家でやりました。トーク中に「今日の晩御飯何にする?」と親が入ってきたら大惨事です。「この時間は大事な面談があるので扉を開けても声を掛けても願わくば音を立ててもいけません」と鶴の恩返しのようなことを言ってあらかじめ断っておきましょう。嘘ではない。

・普段から人と話す練習をしておく。

本質のような気がします。日常で人と1対1でうまく喋れないのに、芸能人相手に限って饒舌に喋れるケースはほとんどありません。お渡し会の会場に向かうときだけ駅員さんや店員さんにフレンドリーに話しかけようとしている自分に気がついて「うわー」ってなりました。付け焼刃でどうにかなるものでもないので、普段から周囲に興味を持ってフレンドリーに話しかけてみましょう。

まとめ

お渡し会やオンライントーク会は、感謝の気持ちや応援の気持ちを目の前で相手に伝えることができる貴重なコミュニケーション機会です。他の方のレポートを漁っていると「私には無理そうだ」と一歩引いている方も散見されます。確かに完璧にやり切ることは難しいです。ただ、うまくできないリスクとうまくできなくても得られるリターンを比べるとリターンがあまりにも大きい気がするので、臆することなく挑戦してみればいいのになと思い、本稿を書くに至りました。私にも、みなさんにも、素敵なお渡し会やオンライントーク会の機会が訪れますように。

余談
オンライントーク会に向けていわゆる女優ライトを購入している人がいました。「いやいやそこまでせんでも」と思ったりしましたが、オンライントーク常連の後輩も持っているらしいし、在宅勤務のビデオチャットでも使えそうだし、投稿用の小物の写真撮るときにも使えそうだし、値段もお手頃だし、一家に一台あるとそれなりに便利な気がしてきました。

頂いたサポートは、美味しいものを経て、私の血となり肉となり次の作品となる。