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脳内かぐや様に学ぶ相手にマウントをとられても気にならなくなる魔法の言葉。

「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」は赤坂アカさんの作品で2015年6月から紙面連載され、2019年1月にアニメが放送されました。(個人的には一抹の不安がありますが)2019年9月に実写映画化することも決まっています。気になりつつも見る機会に恵まれていなかったのですが、2019年4月に配信された一挙放送で漸く追うことができました。そしてドハマり。第1話は無料配信で視聴可能なのでご都合とご興味のあう方は是非。

ひとことで言えば、プライドの高い生徒会長である白銀御行(しろがねみゆき)とプライドの高い生徒会副会長である四宮かぐや(しのみやかぐや)によって繰り広げられる、頭の悪いハイレベルな心理戦を描いた学園ラブコメディです。両想いでありながらお互いの事情で告白することを「負け」と認識し、事あるごとに相手に告白させようと日々頑張っています。上記動画では7:39、12:26、21:53あたりで見ることができますが、会長はたびたび心理戦の中で己の稚拙な判断が「負け」に繋がる想像をしては、自分で生み出した脳内かぐや様から虫を見るような侮蔑の目で罵られています。そして会長の被害妄想の中で彼女はお約束のこの決め台詞を言い放つのです。

「お可愛いこと」

本題です。皆さんの周りにマウントをとりたがる人はいるでしょうか。「マウントをとる」の定義は難しいところですが、平たく言えば「私のほうがすごいんだぞと相手に優位性を主張すること」と言えそうです。本当にすごければ特に問題はありません。ただただ尊敬するばかりです。問題となるのは相手の「すごいんだぞと主張する態度」と「すごいんだぞと主張する内容」が自分の価値基準においてうまく噛み合っていないときです。虫の居所が悪ければイライラしてしまうかもしれません。思わず「はぁ?」「で??」と口から漏れてしまうかもしれません。

そんなとき、役に立つのが彼女の決め台詞です。「あらあら、こんな超どうでもいいことでここまで胸を張れるなんて……お可愛いこと」と心の中で囁くのです。この場合の「かわいい」は「pretty」より「poor」の意味合いが強く、「かわいそう」が「可愛そう」と変換できる日本語の妙に改めて感心しています。

「お可愛いこと」のメリットは相手に対して心理的上位に立てることです。表面では相手に上に立たれる形になるわけですが、内面で、自分の価値基準で、相手の上に立てていれば心に大きな余裕ができます。また、心の余裕と地続きで、慈愛の心をもって接してあげることすらできます。相手に対して抱く感情がイライラから憐れみに変わるのです。相手が調子に乗れば乗るほどお可愛くなっていきます。敢えて調子に乗せてみたくなることすらある程です。ここまでくると心理的にはもう相手にマウントをとっているようなもので、少なくともマウントをとられている感じはしなくなります。

この脳内で不都合な相手を憐れむマインドセットは、マウントをとられたときに限らずいろいろと応用が利きます。道端ですれ違いざまにぶつかられ罵声を浴びせられたときや、上司から大量の仕事を押し付けられたとき、遊びの予定をドタキャンされたときなど、とにかく理不尽な目に遭ったときは心の内で「お可愛いこと」を発動することで、ストレスの第一波を大きく緩和することができます。

「お可愛いこと」の注意点は問題の本質までは解決できないということです。マウントをとりたがる人はとり続けますし、ぶつかられて汚れた服はきれいになりませんし、押し付けられた仕事は減りませんし、ドタキャンの穴は埋まりません。問題の本質は別途解決しなければならないわけで、「お可愛いこと」は怒りや悲しみに任せた珍妙な対応をとらないための、落ち着いて問題解決に臨むための、あくまで初手に過ぎないということを認識しておく必要があります。また、「お可愛いこと」は言ってしまえば自分の価値観に合わないものをすべて脳内でバッサリ切るということです。ストレスフリーに生きるその一点に重きを置けばそれでもいい気がしていますが、多少なりとも世の中との調和を気にするのであれば、自分の価値観の是非については、定期的に客観視してみるとよいのではでないかと思います。

効用には個人差がありますので、万人に勧められるものではありませんが、用法要領を守って「お可愛いこと」を使いこなすことで、イライラすることなく慈愛に満ちた優しい世界を生きていきましょう。

あと、かぐや様観てください。

※会長の被害妄想ではないかぐや様本人が実際に「お可愛いこと」と言ったことはほとんどありません。とにかく「お可愛いひと」で私の中の平成最後のアニメヒロインです。

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