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R3BIRTHの3人はまさに「MONSTER GIRLS」だった~UNIT LIVE & FAN MEETINGの大トリを飾った怪物たち~

2022年1月22、23日に東京ガーデンシアターにて「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会UNIT LIVE & FAN MEETING vol.4 R3BIRTH 〜First DELIGHT〜」が開催されていました。

vol.4とありますように、UNIT LIVE & FAN MEETINGは2021年9月11、12日のDiverDivaによるBig Bangを皮切りに、10月9、10日のQU4RTZによるSweet Cafe、10月23、24日のA・ZU・NAによるThe Night Beforeへと繋ぎ、少し間があいてこのR3BIRTHによるFirst DELIGHTとなります。ひとつひとつの感想をじっくり書ければよかったのですが、頭の悪いライブスケジュール(褒め言葉)により、ひとつまとめる前に次が始まる悪循環。なかなか触れることができていませんでした。

写真を見てもわかるように、三者三様ならぬ四者四様。DiverDivaは時にカッコよく、時にセンチメンタルに。QU4RTZは心洗われるほわほわ癒し系。A・ZU・NAはおもちゃ箱のようにバラエティ豊か。それではR3BIRTHは一体何を見せてくれたのでしょうか。

このライブを語るためにはR3BIRTHの背景をいくらか知っておいた方がいいでしょう。R3BIRTHは三船栞子、鐘嵐珠、ミア・テイラーの3人のキャラクターからなるユニットです。それぞれ日本人、中国人、アメリカ人で、日本語が堪能な小泉萌香さんはさておき、中国語が堪能な法元明菜さん、英語が堪能な内田秀さんがそれぞれ中の人を務めている多言語ユニット。彼女たちはラブライブ史上初の追加キャラクターで、最初は虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の初期メンバー9人に対峙する存在としてスクスタに登場しました。

すでに初期メンバーそれぞれにファンがついている中での投入であり、加えてスクスタでの描かれ方が万人受けするものではなかったため、R3BIRTHがファンに受け入れてもらえるのか。運営側でもないのにいささか心配していたところがあります。

加入時期が異なるので、DiverDiva、QU4RTZ、A・ZU・NAとは生まれた時期も異なります。時期が異なれば楽曲の数も当然異なり、先発3ユニットの持ち曲がそれぞれ6曲あるのに対して、R3BIRTHの持ち曲は「MONSTER GIRLS」の1曲のみ。彼女たちが参加する全体曲も多くなく、ライブパートをどう埋めるつもりなのか。あまり想像がつかないままライブ当日を迎えました。

このように大枠は同じ「UNIT LIVE & FAN MEETING」でありながらも、R3BIRTHのみは前提からして別枠にならざるを得ない環境だったのです。

以下、本題に入ります。ネタバレを含みますので、アーカイブで見るんだいと言う方は回れ右して頂ければと思います。

セットリストはこちら。

01: MONSTER GIRLS/R3BIRTH
トークパート
02: 決意の光/三船栞子
03: I’m Still…/ミア・テイラー
04: Toy Doll/ミア・テイラー
05: Queendom/鐘嵐珠
06: 夜明珠/鐘嵐珠
07: 翠いカナリア/三船栞子
幕間
08: MONSTER GIRLS/R3BIRTH
MC
09: TOKIMEKI Runners/R3BIRTH
10: Love U my friends/R3BIRTH
11: 全速ドリーマー/R3BIRTH
ダンスパート
12: ミラクル STAY TUNE!/R3BIRTH
13: Just Believe!!!/R3BIRTH

かましてくれたな……! 何かもう先発3ユニットにお構いなしで好き放題やってくれました。順を追って見ていきましょう。

オープニングアクトである「MONSTER GIRLS」のショートバージョンについては後にフルバージョンがあるので一旦お預け。

ライブパートの1発目は「決意の光」でした。直前の幕間アニメを見ていたら、正面スクリーンに被る形であからさまに燭台が運び込まれたので会場の多くの人が「決意の光」を受け止める決意をしたことでしょう。この曲は3rdアルバムに収録されており、初めて披露されたのは無観客の2ndライブでした。2ndライブあたりだとまだ嵐珠とミアはスクスタに登場すらしていません。先に追加された栞子役の小泉さんが、ひとりで追加メンバーの賛否を背負ってステージに立った瞬間でした。観客の反応がわからない無観客での初ステージは、彼女により一層の不安を与えたことと思います。彼女の初となる有観客ライブはシャッフルフェスティバルでした。その名の通り担当楽曲がシャッフルされていたので「決意の光」は歌えませんでした。栞子の登場しないアニメ1期準拠の3rdライブは蚊帳の外。年末のカウントダウンライブで漸くショートバージョンを観客前で披露。そんな経緯で2ndライブ以降、実に約16ヶ月の時を経て、2ndライブと同じ東京ガーデンシアターで、2ndライブと異なり有観客で、フルバージョンを披露できたのが、この日の「決意の光」だったのです。この経緯を考えれば、最後のMCで私事と言いながら小泉さんが涙する気持ちもよくわかります。ファンの姿を前にした「行くよ!」の煽りはさぞ気持ちよかったことと思います。

次はミア役の内田さんのターンです。私の内田さんとの出会いは艦隊これくしょんでした。英語の発音がネイティブな海外艦がいるなと思ったら彼女でした。2歳から18歳までオーストラリアで育ったそうです。なるほど帰国子女。「MONSTER GIRLS」のカップリングである「I’m Still…」をまず披露。そこでも英語力が遺憾なく発揮されています。今後、シャッフルフェスティバルがあったとして、彼女の楽曲を引いたら人によっては地獄を見るのでしょう。しっとりと「I’m Still…」を歌い上げたところで突然アップテンポなインストが。まさか、まさか、「Toy Doll」キター! この曲は2022年2月開催の4thライブのテーマである4thアルバムの楽曲です。来月までお預けでやらないかもしれないけど、やらないと曲数足りないのでやるかもしれないけど、ショートバージョンでお茶を濁すかもしれないと思っていました。そしたら普通にフルバージョン。「I’m Still…」とは打って変わってネイティブな英語で煽るわ煽るわ。観客も拳を突き上げ飛び跳ねて。振れ幅の影響もあって大いに盛り上がりました。4thライブのドームでやったらもっと盛り上がるだろうなぁ! この曲のおかげで4thライブがさらに楽しみになりました。あと、お衣装の再現度が高く、大胆に露出した肩周りがとても美しかったです。ミア14歳。衣装も歌詞も大人ぶってる生意気なところがね、いいんですよ。

栞子、ミアときたので嵐珠のターン。ミアの展開からもわかる通り、披露されたのは「MONSTER GIRLS」のカップリングから「Queendom」と4thアルバムから「夜明珠」でした。私の法元さんとの出会いは……よくわかりません。誰かのリツイートで拝見していたくらいでしょうか。今ではたまにYoutube拝見しています。彼女の影響で一時期マインスイーパーに時間泥棒されていました。それはさておき彼女のパフォーマンス。嵐珠の艶やかさと威厳を纏った堂々とした姿がカッコよかったです。初のワンマンライブであることを考えれば、100点満点中150点あげたいくらい。一方で「これが……虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会を混乱に陥れた鐘嵐珠のパフォーマンス……!」という域に達していたかと言われるとそこには及んでいなかったと言わざるを得ません。これはキャストの問題ではなくキャラ設定の問題です。だいたいのスクールアイドルはこれから部活を立ち上げて(立て直して)頑張っていこうというスタンスなので、キャストとキャラクターが自然と二人三脚で共に成長することができます。ところが、そこに立ちはだかる強キャラのライバルはそういうわけにはいきません。特に嵐珠は思考回路が幼いだけでパフォーマンスはパーフェクトという設定。元よりそれなりの経験があるキャストを採らない限り、いきなり嵐珠と重なることは難しいでしょう。その点は法元さんも自覚されていて「今、出せるものは全部出した」「追いつくために時間をたくさん取って頑張ってきた」「もっと追いつきたい」という旨の発言をされています。二人三脚というよりは無邪気に先を走る嵐珠を追いかける形になりますが、場数を踏みながら、どんどんと距離を詰めてくれるんじゃないかなと思いました。不思議なもので、ひとたびステージに立てば、マインスイーパーや風来のシレンを実況している存在と同一人物とは思えないくらい、嵐珠として輝いていました。

再び小泉さんの登場です。見知らぬ衣装で登場した彼女が歌ったのは「MONSTER GIRLS」のカップリングの「翠いカナリア」でした。見知らぬのも無理はありません。スクリーンの映像を見てびっくり。スクスタ未実装の新衣装だったのです。ライブ当日に小泉さんが髪に翡翠色のインナーカラーを入れていたのは、ただ気合を入れるためではありませんでした。未実装衣装で踊る栞子に翡翠色のインナーカラーが入っていたからだったのです。誰かに縛られるのをやめて鳥籠の中から自由を求めて飛び立つ歌。それをカッコよく歌い上げる小泉さんの歌唱力が素晴らしかったです。魂の叫びに心が揺さぶられるというか何というか、小泉さんの独特な高音の張り方が好きなんですよね。

一旦、衣装チェンジの幕間が入って「MONSTER GIRLS」のフルバージョン。強い。強すぎる。日本語と中国語と英語が入り乱れる、まさにR3BIRTHだからこその楽曲。風のウワサによると30基とも言われるビカビカのレーザーの中を「かませ!」と爪立てながら詰め寄る姿がカッコいい。賛否なんて知ったものか。ぶっ飛ばす。そんな気概を感じます。3人とも育ちはいいはずなのに、このちょっとお行儀悪いところがいいですね。「ちょっとお行儀の悪い追加メンバー」という観点でいえば「BanG Dream!」のRAISE A SUILENに通ずる部分もあるんじゃないかと思いました。「BanG Dream!」のライブを追っていない私でもアニサマなどのフェスで何度かRASのパフォーマンスを見ています。かつてバンナムフェスでラブライブ!サンシャイン!! からGuilty Kissだけが送り込まれたように、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会からユニットをひとつだけ送り込むとするならば、後発ながらR3BIRTHがいちばんフェス映えするかもしれないなと思いました。彼女たちにまだ足りないのは何といっても楽曲数。

ここまでで彼女たちの持ち曲はほぼ出し切ってしまいました。ほぼ。栞子の4thアルバムの「コンセントレイト」は4thライブにお預けです。ソロはひとり2曲としたのでしょう。決して小泉さんが円周率を覚え切れていないとかそういうわけではありません、たぶん。

そして出し切ってMCを終えてここからですよ、怪物たちがやらかしてくれたのは。

あとはUNIT LIVE & FAN MEETING恒例の全体曲のカバーがあるかどうかくらい。彼女たち3人が参加した全体曲はカウントダウンライブで披露された、音源化されていない12人バージョンの「TOKIMEKI Runners」と12人でわちゃわちゃするのが楽しい「ミラクル STAY TUNE!」とユニットどころか学校の垣根を越えて26人で歌う「LIVE with a smile」の3曲くらいです。

選ばれたのは「TOKIMEKI Runners」でした。無難。超無難。この曲はDiverDivaも2人でカバーしています。12人バージョンが音源化されていないことを除けば、3人で歌っても違和感はありません。いまや虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会メンバーの登竜門的な存在となったこの曲を虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会と対峙していた3人だけで歌う姿に、人それぞれの感情が渦巻いていたのではないでしょうか。ここで終われば曲数は少ないけど当たり障りなくまとめてきたなくらいの気持ちです。しかし終わりませんでした。

続いて披露されたのは2ndアルバムの全体曲である「Love U my friends」でした。9人曲です。嵐珠とミアは歌ったことないよね!? 栞子はそういえば2ndライブで歌っていました。曲数が少ないからね。2曲くらい歌わないとね。しかしまだ終わりませんでした。

この流れで続いて披露されたのは3rdアルバムの全体曲である「Just Believe!!!」……ではなく「全速ドリーマー」でした。なるほどそういうことか。ここでようやく選曲の意図を確信しました。「Love U my friends」はQU4RTZの4人が、「全速ドリーマー」はA・ZU・NAの3人がそれぞれカバーしています。つまりR3BIRTHの3人は他のユニットのカバーをカバーしていたのです! ちなみにこちらも9人曲。こちらは栞子すら歌ったことがありません。

今回のライブでいちばんの話題を掻っ攫ったのはおそらくこの「全速ドリーマー」。その特徴的な振り付けです。初披露された3rdライブでもカバーされたA・ZU・NAのライブでもトロッコに乗っていたため、振り付けらしい振り付けはありませんでした。
「R3BIRTHの3人にはこれまでのカバー曲をカバーしてもらったら面白いんじゃないか」
「いいですね。でも全速ドリーマーはどうしましょう。東京ガーデンシアターのステージ構成ではトロッコを走らせることができません。ステージ上を歩き回って適当にファンサービスでもさせますか」
「どうせなら振り付けを新たに作ろう」
「わかりました。振り付けのコンセプトは?」
「んー、全力ドリーマーだから全力な感じで……そうだ、ビリーズブートキャンプで!」
「全力じゃなくて全速です!」
という打ち合わせがあったかどうかはわかりません。とにかくそこにはひたすらに筋トレを繰り返すR3BIRTHの姿がありました。縄跳びに腿上げに腹筋にスクワット。極めつけは落ちサビでの組体操。ラブライブで組体操をしたのはGuilty Kiss以来です。いや前例があるのもどうなんだ。とにかく笑わせていただきました。他のキャストもTwitter実況でウケていましたが何を他人事みたいに……君らの曲やぞ。やらされるかもしれんのやぞ。この曲を通してわかったのは最後まで高く腿上げできる小泉さんの筋力と体力はヤバいということでした。逆にいちばん辛そうだったのは法元さん。でもこれは法元さんが弱いんじゃない。小泉さんが強すぎるんだ。

信じられないことにまだまだ終わりませんでした。
「え、3曲以上歌うんですか?」
「大丈夫大丈夫。途中で休憩にソロダンスパート入れておくから」
「休……憩……?」
という打ち合わせがあったかどうかはわかりません。確かに踊っていない人は休めるソロダンスパートが始まりました。洋、中、和とそれぞれの個性が光るダンスを順に披露。休憩もほどほどに他のメンバーのダンスをノリノリで応援する小泉さん。しなやかな和のダンスをする前に「さ、行くか」という感じで立ち上がり気合を入れる様がカッコよかったです。

ソロダンスパートを挟んで披露されたのは「ミラクル STAY TUNE!」でした。12人でわちゃわちゃする楽曲を3人でわちゃわちゃ。めちゃくちゃ忙しそうでした。一人当たり4倍わちゃわちゃしなければならないので当然です。楽しかったなぁ。落ちサビ前のドラマパートはもちろんR3BIRTHオリジナル仕様。尺に収められるように書く方も演る方もすごいなと。もしかしたら音側でいい感じに調整してるのかもしれないけど。

最後の最後は今度こそ3rdアルバムの全体曲である「Just Believe!!!」。もうこの頃には感情がバカになっていて何がきても驚かなくなっていました。ここまでやったR3BIRTHだもの。「Just Believe!!!」くらいカバーするでしょ。みたいな。こちらも「Love U my friends」と同じく嵐珠とミアは初となります。12人バージョンよりR3BIRTHバージョンが先というのが、自由度高くていいですね。彼女たちも9人曲を歌えることがわかったので、4thライブでどの曲の12人バージョンが来たってもう驚きはしません。

お疲れ様でした。ラブライブシリーズのライブの全体曲でMCや幕間の間に挟む曲数は2曲が普通です。年季の違うAqoursにもなってくると3曲かなというくらい。そこを5曲ですよ5曲。間にソロダンスパートが挟まれているとはいえ、いや寧ろあれは曲数にカウントしてあげてもいいくらいです。全てをやりきった3人の、汗でキラキラと輝くデコルテが美しかったです。

全てを力技で捩じ伏せ、会場を大いに盛り上げた怪物、R3BIRTHの3人。そのパフォーマンスは後発ユニットであることを全く感じさせませんでした。相応の努力をされてきたのだと思います。筋トレとか、筋トレとか、あと筋トレとか。「全速ドリーマー」初披露前のトークパートで何も知らない私たちを前に筋トレの話ばっかりしてたもんな……。次の楽曲制作も決まっているようで、どんな楽曲になるのか楽しみです。個人的には「MONSTER GIRLS」のような強めでちょっぴりお行儀悪い感じの方向性を軸として貫いてほしいなと思っています。

余談
R3BIRTHのライブを見て3人に興味を持った方は是非スクスタを! 「翠いカナリア」の衣装も実装されます! と言いたいところなのですが、始めても追加キャラクターである彼女たちの今回の楽曲に関するストーリーを辿るにはいくらかプレイを強いられます。このメディアミックス的な観点での動線の悪さもスクスタの残念なところのひとつです。新規取り込みのチャンスではあったと思うんだけどなぁ。

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