暮木孝司

税理士試験の簿記論と財務諸表論の受験指導をしている税理士。ネットスクールで簿財(標準)を担当⇒https://t.co/JEjAZfXTTI?amp=1)。ブログ⇒http://bokiron.livedoor.biz/。「会計人コース」への執筆多数。

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    最近の記事

    誰でもわかるクリーン・サープラス関係

    クリーン・サープラス関係は、利益が出たらその分の財産が増えているという関係です。 投資家にとって大事なこのクリーン・サープラス関係を税理士試験の財務諸表論に必要な部分を中心に考えてみました。 1.クリーン・サープラス関係とは何かクリーン・サープラスとは、きれいな剰余金(≒繰越利益剰余金)とでもいうべきでしょうか。 利益が出たらその分の繰越利益剰余金が増えます。 逆に利益が出てないのにいきなり繰越利益剰余金は増えません。 クリーン・サープラス関係とは、利益の分だけ資本が増える

      • 資産の評価は原価か、時価か-混合測定という考え方-

        はじめに企業会計では、貸借対照表に資産をいくらで計上するかが大きな課題です。 単に評価といえば資産の貸借対照表への計上額を決めることともいえます。 かつて、すべての資産は基本的に原価で評価されていました。 しかし、今はすべての資産を原価か時価の一方のみで評価することはせず、複数の測定値を使い分ける混合測定という考え方がとられています。 混合測定の考え方今日の制度会計では、資産を所有目的ごとに金融投資と事業投資に区分し、前者は時価で評価し、後者を原価で評価します。 金融投

        • オペレーティング・リース取引におけるリース物件に資産性はあるか?

          1 資産の定義を考えるまずは、概念フレームワークにおける資産の定義を示しておきましょう。 概念フレームワークにおける「資産」とは、過去の取引または事象の結果として報告主体が支配している経済的資源をいいます。 「経済的資源」とは、キャッシュの獲得に貢献する便益の源泉をいい、「支配」とは、所有とは異なり、経済的資源を利用し、経済的便益を享受できる状態をいいます。 リース取引における借手は、オペレーティング・リース取引における物件を使用し、そこから便益を受けているのですから、

          • リサイクリング(組替調整)は何がわかりにくいのか?

            1 リサイクリングは違う種類の利益の振替えであるリサイクリングとは、過去(当期を含む。)のその他の包括利益(以下「OCI」。)の純利益への振替えです。 OCIの典型がその他有価証券の評価益(その他有価証券評価差額金)なので、その他有価証券を売却してこれが純利益に振替えられることといってもよいでしょう。 いったん計上した包括利益を種類の異なる利益に再び組み替えることから「組替調整」や「再分類」とも呼ばれます。 この前期の50円のOCIを当期の純利益に振替えるのがリサイクリン

            誰でもわかる資本と利益の区別

            はじめに資本取引をしっかりさせることで資本と利益を区別し、正しい損益を計算しましょうというお話しです。 1 資本取引とは何か?まずは資本取引とは何か?をはっきりさせましょう。 株主と直接取引をして、財産が増えたり減ったりするのが資本取引です。 増資のように株主から財産を受け入れたら資本取引です。 株主に配当をすれば会社の財産は減るのでこれも資本取引です。 今日の会計は株主の立場で行います。 このような考え方が資本主理論です。 資本主理論では、株主はいわば企業自身なので株

            誰でもわかる包括利益

            包括利益の計算を5つのステップで解説します。1 包括利益とは何か?包括利益は、一定の期間で純資産(資産-負債)がどれだけ増えたか?という金額です。 包括利益=純資産の変動額 包括利益と損益計算書の当期純利益(純利益)との違いは、評価益を含むかです。 純利益はただの評価益を含みません。 包括利益はただの評価益を含みます。 まだ具体的に売却等して現金を手にしていない評価益を含んだ利益が包括利益です。 包括利益は、期末の純資産から期首の純資産を控除して計算できます。 簡単な