見出し画像

シェア型書店始めて3ヶ月経ったので経過をまとめてみた

ブックマンション棚番号134「2001」店主です。
お店番暇なので、書いてます。
お店番実況も記事に載せときます。

シェア型書店とは

 シェア型書店とは、複数人で本棚をシェアしながら自分の好きな本を売る形式の書店のことです。
 写真見た方が早いです!どんっ!

店内の様子

 こんな感じなんですねぇ。大きな本棚に小さな本棚が集まっていて、アパートやマンションのようです!
 気持ち悪い趣味なんですが、私は他人の写真に写り込んだ本棚を見るのが好きです。「写り込んだ」本棚には、その人の本性が現れると思っています。一方で、誰かに見せようとして撮った本棚の写真には本性は現れないと考えています。また、本を読むのも集めるのも好きなので、自分の知らない本を知れるという意味でも楽しいです。
 このような趣味を持つ私にとって、シェア型書店はいるだけで楽しい場所なんです。

 シェア型書店は最近勢力を伸ばしている業態です。そのため、日本全国にいくつも新しいシェア型書店ができてきています。
 シェア型書店を始めるにあたって訪れたところを中心にいくつか紹介してみます。

①ブックマンション(吉祥寺)

 私が所属しているシェア型書店です。2019年7月にオープンし、現在では約120組の棚主さんが所属しています。吉祥寺駅から徒歩7分くらいの位置にあり、アクセスがしやすいです。若干商店街からは離れた位置にありますが、人通りもそこそこあります。
 取り扱いのできる商品は基本的に本のみです。本は既製品だけではなく、手製のZINE(同人誌のようなもの)を売ることもできます。ZINEはブックマンションの近くにある「ZINE FARM」で印刷することもできます。
 また、お店番については棚主全員で順番に行います。お店番をする日には本以外の商品を売ることできます。

②猫の本棚(神保町)

 東京メトロ・都営地下鉄 神保町駅徒歩5分くらいの場所にあるシェア型書店です。店内は落ち着いた雰囲気で、じっくり本を見ることができました。
 私が訪れたときはお店の真ん中に激安本コーナーみたいなのがあって良かったです。また、これはどんな棚主さんがいるかに依りますが、当時は思想系の本が多く置いてあり、個人的には面白かったです。三宅洋一郎さんの『人工知能のための哲学塾』を購入しました。

③PASSAGE by ALL REVIEWS(神保町)

 東京メトロ半蔵門線の神保町駅 A7出口徒歩1分の場所にあるシェア型書店です。神保町駅のすぐ近くということもあって、人の入りが途絶えることがありませんでした。初めはこちらで書店をやろうと考えていましたが、毎月の料金が棚の位置に左右されてしまうことや、そもそも空きが無かったことから出店を諦めました。
 出店者には元東京都知事の猪瀬直樹さんもいます。

なんで始めたの?

 理由は2つあります。
 1つは元々本屋をやることに興味があったからです。前述の通り、私は本が好きで、子どもの頃は「図書館ごっこ」と称して親に本を貸していました。つまり、「職種」として本を扱う仕事に興味がありました。また、自分の好きな本を他人に売りつけられるのは面白いと思いました。「推し」を普及できるわけです。楽しくないわけないですよね!w
  もう1つは振られたからです。振られたから衝動で動きたくなりました。普段は頭で考えて結局動かないということが多いのですが、衝動的に動けたおかげでブックマンション入居まで漕ぎ着けることができました。『異邦人』(カミュ)での殺害動機くらい論理性がなくていいかも〜。

どうやって始めるの?

 基本的にはそれぞれのシェア型書店のホームページに申し込みフォームがあるので、そこから申請して始めることになります。人気の書店では書棚が全て埋まっており、退去待ちになることもあります。
 申し込み後、料金の支払いをして書店経営のスタートです。私の所属するブックマンションでは入会金¥12,000と月々のお金¥3,850(毎月店番をする場合)もしくは¥5,000(毎月店番をしない場合)の支払いが必要です。

なんでブックマンションなの?

 私がシェア型書店を始めるにあたって、なぜブックマンションを選んだのか、その理由としては主に2つあります。
 1つは、大学に行く途中にお店があって本の入れ替えがしやすく、尚且つ駅から近かったからです。 
 もう1つは、イニシャルコストとランニングコストが安かったからです。前述した通り、ブックマンションでは入居費用として¥12,000、毎月の費用として¥3,850もしくは¥5,000がかかります。高いと思われる方がいるかもしれませんが、神保町のPASSAGE by ALL REVIEWSでは入会金として¥13,200と月々の費用として¥5,500〜(棚の場所によって変動)かかり、立地の割にはブックマンションの方がお得だと判断しました。

売れ行きとかどうなの?儲かってる?

 売れ行きは全然良くありません!w
 大赤字です…🥺
 以下で私がブックマンション入居前に掲げていた理想と実際にやってみての収支を公開してみます。

理想

 本棚に置ける本の数が20冊と聞いていたので、20冊用意しました。「人生に影響を与えた本」を置きました。
 「人生に影響を与えた本」は自分にとって大事な本なので、蔵書をそのまま売ることはできず、メルカリやブックオフ、日本の古本屋で仕入れました。 
 どうせ本屋をやるなら利益を出したいと考えていたので、他の棚主さんたちが良心的な価格で販売する中、私はかなり強気の価格設定をしていました。
 そのため、売値−仕入れ値で算出される利益(全部売れた場合ですが!!)としては、¥7,144/月になる計算でした。また、店に並べた本が売れた場合、一冊あたり¥100を支払うことになるため、その料金を引いた店引後利益は¥5,244/月になる予定でした。おっ、思ったより儲かるなと思っていました。

在庫リストと利益の計算

 そのため、順調に行けばイニシャルコストとランニングコストを経営開始から9ヶ月目に回収でき、黒字に転じる想定でした。

損益分岐

現実

 結果!!!3ヶ月で売れたのは!!!!!!!!!!6冊!!!!!でした!!!!!!!!🥺🥺🥺
 売却益は¥1,050!!!!!!!!!!!!
 結果として、¥22,500のマイナス!!!!!!!!
 書店経営って厳しいんですね〜(白目)
 正直!毎月全部売れると思ってました!😢
 子どもの頃、時給1000円って聞いて1000×24×365で年収876万やんけ〜wwwwって思ってたタイプなので…
 売り方を工夫する必要があるかなと思いました。
 好きなものを売るのが大事で、利益は二の次に考えた方が良さそうです。

お客さんどのくらい来る?

 私がお店番をしたときは平日だったので、お店番をしていた6時間で来たのは大体20名くらいでした。休日はもう少しご来店いただけるのかもしれません。
 また、お店の位置が地下一階で若干入りにくい(お話ししたお客さんも同じようなことを仰られていました)というのも客足が伸びない理由かもしれません。
 ただ、入店してくれる方は熱心に本棚の上から下まで見てくれるので、客足が伸びていないからといって、必ずしも本が売れないというわけではありません。

どんな本が売れてるの?

 売れているのは
  ①安い本
  ②人気のあるタイトル
  ③棚主さんが面白い取り組みを行っている棚の本
 です。
 まあ、①②は当たり前なので、③について解説します。

 私が面白いなと思ったのは

①読跡文庫さん
 名前の通り、訪れた人がペンで本に「読跡」を残すことができます。
 実際に売れているのかはわかりませんが、色んな人の読跡のついた本を私は買ってみたいと思いました。

読跡文庫さんの棚

②四畳半パラダイスさん
こちらの棚のオーナーさんは実際に四畳半のお部屋に住まれていて、そういうわけでこのような棚のレイアウトにされているようです。(四畳半での生活をYouTubeで公開されています。)凝ったデザインで可愛らしいです。結構目立ちます!
 また、陳列されている本も楽しそうな本が多く、見ているだけでワクワクします!

四畳半パラダイスさんの棚

③冷蔵文庫さん
 こちらは本の交換ができる冷蔵文庫さんです。
 交換のシステムについて、オーナーの方のTwitterには次のような説明があります。

【冷蔵文庫とは】
使わなくなった冷蔵庫をリメイクして作られた、物々交換のできる本棚。
【使い方】
1.本を一冊持ってくる
2.ラッピングをする
3.本のタイトルを伏せて、メッセージを書く
4.冷蔵庫を開けて、本を置く
5.置いてある本の中から1冊交換する

冷蔵文庫さんのTwitterより

 棚の中に設置されている箱の中にある本と、自分の持ってきた本とを交換できるシステムのようです!
 画期的で面白いですね。

冷蔵文庫さんの棚

④恥ずかしがり屋の寝顔さん?の棚
 こちらの棚では「ブレンド本」と称して複数の本をセットにして販売されています。値段も良心的でお得感があります。
 また、ブックマンションのシステム上、本が売れるたびに¥100が売上から差し引かれるため、セットにして売ることで差し引かれる金額を
抑えられるのです!!(賢〜!)

恥ずかしがり屋の寝顔さんの棚

どんな本を売ってるの? 

 私は、大学のサークル活動で洞窟探検をしているので、洞窟に関する本を置いていたり、個人的に興味のある分野の本(哲学、カフカ、教育など)を置いていたりします。
 こんな感じです。

ブックマンション入居当初の棚の様子
ブックマンション入居から3ヶ月後の棚の様子

【実況】店番してみた

12:45お店着。鍵の開け方が分からず困惑。ブックマンションのスプレッドシートに開け方の動画があって助かる。

13:10 一人目の来店

13:13二人目の来店

13:21二人組来店(4人目)

13:26音楽のちょうどいい音量がわからない

13:30一冊目売れる。意外とスムーズに接客できた。ビニール袋の値段がわからない。なんか接客してるうちに3人くらい増えてた。

13:38全員帰る。寂しい。

14:12暇すぎてnoteの下書き大体終わった。

14:19おひとり様ご来店

14:28もう二人きちゃ〜!!😁

14:51二人組ご来店。客足途絶えそうで途絶えなくて嬉しい。

15:00再びお客さん0に。ZINEに値札入ってなくて売れなかった。悲しい。

15:40ブックマンションオーナーの中西さんが来られる。50分くらいお客さんも交えて雑談。お話ししたお客さんが吉田勝次の『素晴らしき洞窟探検の世界』を購入してくださった。推し本なので、嬉しい。

16:35お客さんゼロに。

16:45おひとり様ご来店。書店関係者(?)の方っぽい。

16:50お客さんゼロに。

17:11おひとり様ご来店。

17:21ご帰宅。お客さんゼロに。

17:35『退学論文』を書かれた棚主さんが来店。私の棚にあった『大学生の学び・入門』を購入いただき、『退学論文』の隣においていただく。「退学」と「大学生…入門」のコントラストが面白かった。

18:00閉店。天気が悪かったからお客さんはあんまり来なかったけど、8冊?くらい売れたので良かった。

初めてのお店番の感想
 私はこれまでバイトで接客業の経験が無く、お客さんと上手くコミュニケーションが取れるかということが不安でした。しかし、お客さんの数がそこまで多く無かったことと、お客さんも優しかったことが幸いして、特に問題なく、お店番を終えることができました。
 また、商品を売る上ではお客さんに話しかけることも大事だなと思いました。私は服屋で話しかけられるのが苦手なので、お客さんが来ても話しかけない方がいいのかななんて思っていました。しかし、服が好きな人にとっては服屋に行ったときに店員さんに話しかけられるのは嬉しいことのはずです。同じように、本が好きな人にとって書店員さんに話しかけられることは嬉しいことなのかもしれません。私は人がどんな本を読んでいるか知りたいタイプなので、仮に書店員さんに話しかけられても嫌には思いません。
 ブックマンションに来られるお客さんのほとんどは棚の上から下までをじっくり見られています。おそらく本好きなお客さんが多いのだと思います。そういった方々にとって、本の話をするというのは嫌がられることではなさそうです。コミュニケーションの中で自分の取り扱っている本の魅力を伝えることができれば、こちらとしても嬉しいことですし、実際にその本を買っていただけることがあれば本好きにとってこれ以上嬉しいことはないと思います。
 今回のお店番を通じて、「本を売ること」の経済的な意味だけでなく、社会的・文化的な意味を体感することができました。

今後の方針

 入居して3ヶ月経ちましたが、入居したときに入居後のことはあまり考えていなかったので、棚のデザインやコンセプトを決めていませんでした。だから、この辺りのことをもう少し確定させたいと考えています。
 具体的には以下の通りです。

・探検系の本の拡充
前述しましたが、私はサークル活動で洞窟探検をしています。洞窟探検に関する本は絶版のものが多く、洞窟探検の本を中心に扱えば、「日本で最多の」洞窟関連本を取り扱う書店を誕生させることができるのではないかと思いました。また、それだけでは本棚が寂しくなりそうなので、ロープワークや登山に関する書籍も取り扱いたいと考えています。

・洞窟ZINEの作成
ブックマンションでは、本のほかに同人誌的な「ZINE」を取り扱うことができます。お店番をしていたときにブックマンションオーナーの中西さんと「洞窟ZINEがあったら楽しそう」みたいな話になったので、作ってみようと思います。
 10月のお店番までに試作品のようなものを作れるといいなと思います。

・店名の変更
棚のコンセプト変更に伴って、店名を変更しようと思います。

 以上がシェア型書店を3ヶ月やってみて分かったことです。シェア型書店に興味のある方や始めようと考えている方の参考になれば幸いです。
 ブックマンションへのご来店お待ちしてます!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?