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一回で物事の全てを決めるには早すぎる、と遥か遠くの地下道から声がする

潰れる気配がない。むしろ女性客が吸い込まれていく、新宿地下のある謎。地下に興味がない知人Mは買い物帰りにたまに寄る、と言う。正気か?と思わず言ってしまったが、潰れない理由をもう一度確かめたいと3年ぶりにあのうどん屋を訪れた。


まずは当時の話。注文時に「讃岐」か「○△□」(よく聞こえなかった)とゆで方を聞かれた。私は「讃岐うどん」と答えた。しかし、食したそれはこの上なく麺がふにゃっふにゃだった。simoneの状況も同じで、二人ともふにゃっふにゃだね(ソフト麺だね)、としか言わずに店を出た。あれは讃岐ではない二度といかない、と喫茶店で大反省会となった。


そして2017年二月。カウンター越しの店員は注文を復唱したが、ゆで方の確認はない。と、思っている隙に高速で湯がかれたうどんがトレーに乗る。料金を払い、出汁サーバーから透き通ったつゆをなみなみと注ぎ着席。胡麻・天カスをふりかけて実食。うん、柔らかい。心の中は茨城弁もこだまする。やっけーなぁ。けれどこの食感、良く言えばふあふあする。これを家庭で作るのは難しいかも…と麺をすすりながら店内に堂々掲げられたうどんの解説を読む。讃岐が男うどんならば備中は女うどん。麺は細めでやや平たく、適度なコシを保ちつつも喉越しの良さを持つ(原文のまま)…そもそも讃岐うどんではなかった。


B「讃岐じゃないと知った今じゃ、これはこれでおいしいね。」
S「あの時私たち否定的過ぎましたね。疲れてたのかな。」
B「全部店員のせいにしとこ…」


鶴がうどんを豪快に食っている店のロゴがチラつく。一回で物事の全てを決めるには早すぎる、と遥か遠くの地下道から声がするが、いたって正気だ。


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