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ワークショップ

 ただ今、西宮市大谷記念美術館で先月行ったワークショップの展示をしています。八月二一日までやっていますので、皆さん見にきて下さい。 担当の学芸の方から「ワークショップをしませんか。」と言われたときは、正直言って全然自信がなかったんです。四年前に神経症がひどくなって、それまでやっていた美術の先生の仕事を途中で投げ出したものだから、ひとと美術の話をするのが苦手になってましたから。でも、美術館もワークショップについては初めてで手探りらしく、それならリスクは5分5分だからやってみようかなと決心した次第です。

 とはいうものの、ワークショップの意味がわからなかったので辞書で引いてみました。一つには、工房や工場など機械を使った大掛かりな修理や作業をする仕事場とあります。もう一つには、特別な主題や活動について、考えをお互いに分かちあって進めるために、人々が集まって一緒に働く機会とあります。もし解釈が間違っていたら教えて下さい。普通に考えれば、美術館でのワークショップとは後者のことでしょうが、一つめの定義も今回のワークショップについては重要です。私の作品は、美術業界ではインスタレーションと呼ばれています。これは乱暴に言えば、展示が作品ということです。単体の作品を作るだけでは飽き足らず、展覧会自体を己の欲望としてしまう形式です。こう書いてしまうと、私が欲望の肥大したわがままな人間だということがばれてしまうのですが、その通りです。

 七名の貴重な参加者に、作家のわがままに付き合わせていいのかなあと思いながらも、できることしかでけへんわと開き直って、ワークショップのお題は、「展覧会をつくろう」になりました。

次回に続く

2022年3月21日改訂  1994年7月8日 讀賣新聞夕刊『潮音風声』掲載

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