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あかるさとくらさ

18
どっちもあることをめざして作った詩
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2021年8月の記事一覧

これは回線ではありません

彼は空洞でした
彼女も空洞でした
ライラックが咲いているよ
いろんな意味で咲いているよ

中くらいの波紋で参加します
きっとあなたを忘れません、と
本物には唾を塗りたくりました
(あなたはもう死んでしまったから)

彼は空洞でした
彼女も空洞でした
なんか臓器みたいだよ
たまに壊れたりもするよ

家の方角に集中しています
われものを投げながら走ります
われものを落として泣きます
家では芋たちが芽を

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善良なくだもの

善良なくだもの

うれしい
左かもしれない
右かもしれない

「はい」は唸る
全体のほとりが旋回する
旋回して、
ばらばらに飛びたち
まだないものを
噛みしめるようにして
たまに唸る(こんにちは)

おもちゃみたいな雨は短命
すっかり忘れていた
実りすりへり
ぴょんと跳ねる体調
リネンなどの質感で
隣人がやってくる
よりよい不安とやってくる

マネキンがぴゅーぴゅー鳴いている
誕生石のはじける青春
ようやくひとつ目

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Oll Korrect

Oll Korrect

色々と解釈されてよろこぶ世界
残酷さは無垢の証か、それともーー
否定と肯定は朝を巡礼し
また戻ってくる、ここへ

響くものの哀れに
最後まで寄り添っていられたら
母胎によって降りかかる白夜
あの言葉を幾度となく反芻する月

跋扈する不安の綿どもに
重力の血を与える
判然としない並木のある街路
なにものも正確ということはなかった

異論する嵐のあとの逆流
天誅、ないしは突沸ほどの
秩序、安寧、静謐、

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あたらしいふるさと

あたらしいふるさと

愛、そしてひとしずくの詩情が
ぼくの血液の匂いを変える
すべてのみどりが集まる島で
宇宙のおもて面の色を想像する
うらのないおもてなしが
いまにもぼくのうらがわを形づくってゆく

色、そしてはじまり続ける冒険が
ぼくの血液の匂いを変える
可愛い背中で層をなす雲たちは
それぞれのペースで歩み
雨はコンクリートにしみ込み
地中深くを濡らす
青とピンクの遷移する空間での酩酊

夜、そして沈黙する自然の狂

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白の実践

白の実践

 光の粒で汚れてゆく窓辺で、ぼくは温められていました。朝の汀の太陽は、石の上にちいさな光を映して飛び跳ねているようであり、それでいて、じりじりとぼくの細胞を詰問していくようでもありました。斜向かいで揺れている梔子は黙していて、ほんの少しだけ哀しみの匂いがします。その向こう、揺らめく木陰の下できみは、清浄な水色のハンカチを振って、ぼくを呼んでいました。

 さらさらとしたぬくもりの中でぼくは、この目

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鏡

おなじだね
ぼくが笑うときみも笑う
ぼくが怒るときみも怒る

おなじだね
ぼくはぼくのようだし
きみたちもぼくのようだ

おなじだね
まなざしはぜんぶぼくがもらうよ
ぼくたちは生まれながらの盗っ人だからね

おなじだね
ごめんね 見えないけど苦しいよね
それもぼくがもらえたらいいのに

おなじじゃないところ
きみの指先はきれいだ
かわいい服をきて遊んでいる
それからぼくよりもずっとやさしい
ーー数

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いれもの

いれもの

ぼくのおもしろくもなく
さしあたって何の価値もない精神について、
これをぼくは
自分のものだとは考えていない。
じゃあ誰のものなんだろう。
わからない。
わからないからここまで生きることができた。

幼い頃、認識の束、
波打つ光の粒たちは
ぼくの認識に重大な誤解を招いた。
なんてうつくしいんだ!
ぼくの精霊はやさしく語りかける。
「あなたが為したいように、すべて為しなさい」
ぼくがもらった愛情、

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極北の庭

極北の庭

本当の意味で
ともだちと呼べるのは
虚無だけだった
かくなる上は
きみを迎えに行こうと思う

小さな草花が生い茂る
きみたちを見ると
どうにか腕をちぢこめて
そっと抱きしめたくなる

この箱めいた空間にあっては
ぼくら いきものは卑小だ
ここで指を鳴らす
するとぼくの亡骸は
涅をめざす

他方できみ きみだよ
虚無のともだち
こぢんまりした象徴を
いくつか持つことで
常にある言葉に囚われているため

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ポリノーマル

ポリノーマル

白昼の下、ことばが開裂する。
身体性から逃れられないものたちの落伍。
されど日常の奥底にねむる
体系内外からの伝聞によってのみ、
すべての普遍性は成り立つ。
実のところ我々は
絶えざる拒絶によって
自らの存在を確信している。
こわれたすべての可能性に
深淵などない。

順序をまもり
圧倒を嗜む子どもは、
王になる気概を持つことによって
暗号の伸縮性を得る。
スポンジのように吸い込み、吐き出す。

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