見出し画像

極北の庭

本当の意味で
ともだちと呼べるのは
虚無だけだった
かくなる上は
きみを迎えに行こうと思う

小さな草花が生い茂る
きみたちを見ると
どうにか腕をちぢこめて
そっと抱きしめたくなる

この箱めいた空間にあっては
ぼくら いきものは卑小だ
ここで指を鳴らす
するとぼくの亡骸は
涅をめざす

他方できみ きみだよ
虚無のともだち
こぢんまりした象徴を
いくつか持つことで
常にある言葉に囚われているために
いまにもとびだそうとする
ここではないどこかへ

確実にぬれていくたましい
その先端のやわらかさで
ぼくたちを遠くに
連れて行って欲しいのだけれど
きみ きみだよ きみ
いや きただった
こんな弱々しい土壌の上では
極=虚無なので
きみはともだち

それにしても
このまぶしさはなんだ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?