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80以上の国を訪問してきました❹   ~インドの空港からプチ軟禁された話(2008年10月)~

1.初めに

初めてのインド訪問だった。

学生時代に後輩(直接は知らない)が、インドに旅行に行って、そのまま帰ってこなかった国。
ビートルズやスティーブ・ジョブズがヨガを学びに行った国。
行くと人生観が変わると旅人の間、自分探しの人に言われる国。

ここではそういうことを語る内容でもない。ただ1つのアクシデント
について触れる形に留める。
それまでもアジア、中東、アフリカの途上国を訪れたことは
あったが、創造をしていなかったインパクトのあるものだった。。
(写真のデータを失くしてしまったことが本当に悔やまれる)

2.ニューデリー空港にて

ニューデリーの空港では、当時 空港指定のタクシー乗り場があった。
タクシーに乗る前に、事前手配場所があり、そこで大体の行き先を記載し、
チケットを入手。チケットには番号が記載されており、その順番でタクシーを指定される仕組み。それほど混雑もしておらず、スムーズにタクシーに乗れたと記憶している。時刻は夕焼けの時刻だった。

係官からせかされたこともあり、行き先を告げる前にタクシーは出発。
ここまでは特に違和感は無かった。
行き先を聞かれ、ニューデリーと伝える。ここまでも問題なし。

ところが予約していたホテルを口頭で伝えてみるが通じない。
人口1000万人を優に超える大都市だからそれはしょうがないと思い、
予約確認メールを見せてみる。
そこで驚愕の事実を知ることとなる。運転手は英語を読めなかったのだ。
英語というより、アルファベットの文字を読めなかったのだ。。。

帰国後、英語が準公用語とされているインドでそんなわけないだろ、と言われたが、これは実体験である。
事実は不明ながら、以下のサイトを見ると訪問時の2008年の識字率は60%台のようである。
https://jp.knoema.com/atlas/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89/topics/%E6%95%99%E8%82%B2/%E8%AD%98%E5%AD%97%E8%83%BD%E5%8A%9B/%E6%88%90%E4%BA%BA%E3%81%AE%E8%AD%98%E5%AD%97%E7%8E%87

英語を流暢に話せなくても、外人相手の商売なので、片言は話せたり、
ましてやアルファベットが読めないなんて。。。
しかも、インドの首都の空港だぞ、というショックを受け止めつつ、
どう処理したらいいのか、と頭はフル回転。

これはマズイということで、空港に戻るように言ったが、
言葉通じないので、当然通じない。ジェスチャーをしても通じない。
そんなことをしている間に気が付いたら渋滞に巻き込まれている。

途中で運を天に任せて、「まあ、ニューデリーに近づいていることを期待しよう。ニューデリー辺りに着いたら、タクシーを乗り換えたら何とかなるだろう、、、」と覚悟を決め、とりあえず状況をくまなく注視するのみ。

途中、運転手は誰とかわからないが、ずっと電話で話続けている。
おそらく現地の公用語であるヒンディー語であり、全くわからない。

渋滞にはまりながらも、何とか明るいところを走っていたので、
何とかなるだろうと思っていたが、1時間ほど経過した後、ふと気が付くと横道に入り、明らかに灯りが減り始める。

5分程度走ってから、暗闇で車が停車。

210206_小屋_切抜 - 2021年2月6日 20.37

運転手からタクシーから降りるよう促される。荷物を取り出そうとすると、それは不要だと運転手がジェスチャー。已む無く、ポツンと灯りのついた1軒の小屋のような建物に向かうよう誘導され、言葉を通じない相手に粘ってもしょうがないと覚悟を決め、建物の中に入るしか選択肢がない。

運転手の体格が自分よりかなり小さく、もし肉弾戦になっても何とか勝てるな、というまさかの場合の対応も心の中で覚悟を決めながら。。。

3.小屋の中で

恐る恐る中に入ってみると、巨体のインド人が。
頭に巻いているターバン、顔つき、服装をみて、シーク教徒ということは、一瞬でわかる。シーク教徒はデカい人が多いと聞いてはいたが。。

210129 インド人1_無題 - 2021年1月29日 22.40

これはヤバいと思ったものの、入り口のところには運転手が。仮に跳ねのけて逃げても外は真っ暗闇。到着したばかりの初めてのインドで、どうしようもない。。。

刃物や鈍器でひと思いに、というようなヤバい感じの攻撃的な雰囲気ではないという自分の直観を信じ、促されるがままに席につく。

彼のことを仮称で「シークさん」としよう。
シークさんは訛りは強いものの流暢な英語で、「何をしにインドに来た?」

少なくとも攻撃的な姿勢ではない。
また、言葉が通じるだけで、人間ホッとするものだ。
とりあえず、すぐには生命の危機ではないことだけは確認できた。

質問は続く。
「何日インドにいるんだ?」
5日間(念のため少し短めに答える)。
「どこに行くんだ?」
ニューデリー。
「他には?」
まだ決めていない。

そこでシークさんは笑みを浮かべる。
良い所を紹介してやろうと言って
机の引き出しからインドの地図を取り出す。
そのやりとりでようやく気づく。ここは旅行代理店だったのだ。。
部屋の中にそれらしきモノは何もなく気づかなかったのだった。。

しかし、こんな辺鄙な場所で?
そうか、だから、この運転手とグルで客を連れ込んで
無理やりツアーに参加させているのか、と合点がいく。

では次の課題。どうやってこの場から逃げ切るか。
こんな怪しい会社のツアーに参加するなんてまっぴらごめんだ。

シークさんは話を続ける。
インドには世界遺産がたくさんあり、ニューデリーから車で3か所の世界遺産を回るツアーがゴールデンルートだ。5日間でも十分だ。そして、そして、各観光地の説明を続ける。
事前に予習をしていたので、ある程度は理解できた。日本のガイドブックに載っているコースではないが、世界遺産巡りをする変なコースではなさそうだ。
されど、こんな旅行会社にツアーを頼むのはやはり心もとない。
その前に、インド到着したてで、そもそも疲れて、思考力が働かない。。。

そこで、方針を泣き落とし戦法に絞る。それまでの会話である程度の信頼関係は気づけたはずだ。そこで、憐憫の情を呼ぶような声で、
今日は疲れた。明日相談させて欲しい。日本から到着したばかりで疲労困憊なんだ。
と伝える。

相手は、それでもツアーへの参加の決断を迫ろうとするが、こちらも方針を堅持する対応を続ける。

しょうがないな、では今日はホテルに向かってよいが、明日もう1回来るんだぞ、と言って、運転手にホテルに送るよう指示をした。
よっしゃ、やっと解放される、、、とようやく安堵することが出来た。
ホテルの予約メールをシークさんに見せると、アルファベットをちゃんと見て、運転手にだいたいの場所を指示していた。

そこから更に車で1時間。渋滞に巻き込まれながら、大都市ニューデリーに。地理に詳しくない様子の運転手は、途中で何度も車を止めて、道を聞いていた。

ホテルに無事到着。

浴槽にイモリが大量にいてびっくりしたものの、疲れていたのでシャワーの水をかけて追い払った。

翌朝、シークさんの部下らしき人から電話がかかってきたが、今日は用事があると電話を切った。
が、何かまたコンタクトがあるかも、場合によってはうらぎりものー、日本人は約束を破るのか―、という感じの攻撃を受けないとも限らない。
そのホテルは早々にチェックアウトをすることにした。
(詰めが粗々で助かった。)


4.最後に

ニューデリーの空港を調べてみると、今はメトロが通っているようなので、こんなことはもう起こりえないかもしれない。
色々と途上国を訪問したが、なかなか

その後、ニューデリーから離れるため、行き先を昔のポルトガル領のゴアとし、訪問。そこで、日本の歴史教科書にて、宣教活動と特徴的な頭髪で有名なフランシスコ・ザビエルの遺体が保管されているボム・ジーザス教会を訪問。
その時は棺を見るだけで、中を見ることはできなかったが、10年に1度
遺体を公開しているようです。
(グロテスクが苦手な方はご遠慮を)

■フランシスコザビエル
https://www.afpbb.com/articles/-/3032519

以上

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