業界の隙間で生きる人のマーケティング
このnoteは「業界の隙間で生きる人のカウンセリング」のつづきです。
カウンセリング編の最後でお話した通り、施術者サイドを中心とした自然体での店舗運営をしてくためには、マーケティングが重要ということを最後にお話ししました。
前回から引用しますが、
そもそも全ての人に対応できるような方法など存在しません。どんなに優れた技術があろうが、どんなに優れた問診術があろうが、心理学の知識があろうが、前提として目の前の出会った人すべてに対応して価値を提供することはできません。
これが前提です。
そして自分に適した形で運営をするために、まずは自分に合う方を連れてこなければなりません。
それをするのがマーケティングです。
僕は自然体で自分の思う通り、誰にも気を使わず自由に経営させてもらっていますが、それは僕の考え方や取り組み、方法について興味があって、ある程度共感して頂き、その後に予約を取ってきてくれるから出来るのだと考えています。
正直どんな人がくるかが全くわからなければ、常時緊張してると思いますし、来られた人の顔色を伺いながら対応しなくてはならない。昔はそれが辛かった。
網羅的に勉強して準備しておかなければならないし、設備や在庫も揃えないといけないし、何より実際にどんな人がくるのか、姿が見えないうちは頭の中で悶々としてしまう人でした。
ですが、
今はマーケティングの段階で絞り込みをして随分と楽になりました。今はむしろお気軽に来院されないようにしています。
集客数は減りますが、絞り込みを行うことで、僕のところに来られる顧客の意図は明確になり、WEBの情報を見て、こちらの考えを理解した上で予約されます。
ターゲットは、
「競合他社に行ったことがあるが、よくならない。運動の大切さは分かってるけど、テレビやYouTubeをみて自分で試しても全然うまくいかない。でも具体的にはどうすれば良いか分からない。」
こんな人に対してメッセージを伝えて、来てもらってるからこそ、自然体で行えるようなカウンセリングや運営が成り立っています。
今でこそこのような感じですが、最初は保険をメインとした一般的な鍼灸接骨院としてスタートしました。
理由は、顧客の意図がステージごとにどう変化していくのかに興味があったためで、実際にどんな人がどんな目的で来るのか、保険から自費に移っていく中で、来院される人の変化を改めて確認したかったのです。
僕自身の勤務歴の中で一番長かったのは、保険自費併用です。その時の売上比率は「保険3:7自費」でした。
当時はその比率が適性とは言われてましたが、正直やってることは亜急性を中心とした振替請求ばかりでしたから、売り上げ比率はともかく、内容自体は適性とは言えませんでしたけどね。
保険を利用したいと思ってる方は「悩みは浅い割に、要求は高い」というのが特徴かな?と思っています。日本は保険医療の質が高すぎるんですよね。
最低限の医療のベースが高すぎるので、それで満足してる人が多く、それが自費が不利になる理由の一つだと思っています。
保険施術を求める人は、基本的にコスト意識が強いのが特徴ですから、保険で集客した人の場合は、きちんとセールスプロセスを組んでいかないと自費は受け付けません。
保険と自費を併用していて、自費の比率が高かったとしても、心は保険の方に引っ張られがちです。それくらいお金は強力です。
「お得」「安い」の欲求は人の心を縛りつけます。
保険自費併用から、徐々に完全自費に移行させるという方法を取る方が多いと思いますが、既存顧客でいきなりそれを行うのは非常にハイリスクです。
基本的には新規から移行して、既存顧客は少し時間をかけて行う必要があり、僕も一応猶予期間を設けて移行しましたが、それでも既存は減りますので、猛烈に集客をかけて凌ぎました。
保険をなくす代わりに、回数券で完全自費での継続料金をさげたり、移行期に色々やりましたが、
・保険+自費
・完全自費
・回数券
これが同時に存在する状況は、最もうまくいかないですね。
これは完全自費のお得感を出そうとして回数券を導入するというパターンです。
回数券で割引をしたとしても、保険+自費の価格帯に近くなってしまうため、保険+自費メニューに引っ張られていきます。これはうまくいきません。
回数券を扱うなら、割り切って保険は諦めた方が圧倒的に回数券の販売は楽になります。
「保険+回数券」といったパターンもあるかもしれませんが、これは正直胸を張って言えるパターンでは無いと思うので、ここでは割愛します。
最近では、PTやOTの方の自費開業も珍しくなくなってきました。
最初から完全自費でスタートですよね。PT、OTの方には柔整保険はあまり関係がないと思われがちですが、色々と比較されることがあるので仕組みくらいは理解されておいたほうが良いかと思います。
完全自費で運営するためには、「保険取り扱い」「国家資格有り」のような信頼性や料金面のアドバンテージに頼らず、見込み客に対して本質的な切り口で訴求をしていかないとなりません。
多種多様な方法があるなかで、僕が試行錯誤を繰り返しながら形にしている方法がどのような考えから生まれてきたのか。それをこのnoteではご紹介したいと思います。
このnoteでは、僕が開業してから力の抜けた自然体で経営することが出来るまでのプロセスを記したものです。
資本もない、権威もない、飛び抜けた技術もない、網羅的な知識もない。
こんな一般的な人は僕を含めいっぱいいます。その人たちがこのサバイバルの時代で生き抜くためにどう行動すれば良いのか?
自分を弱者だと認めれば、きっと道が開けてきます。
詳細なハウツーではありませんが、毎日肩の力が抜けずに気を張っている方にとっては少し役立つ内容にはなっているかと思いますので、もしよろしければ最後までお付き合いいただければと思います。
僕の店舗が黒字化するまで
僕は3年前に一度廃業を経験しています。
最初の開業直後に鬱病を発症。畳み掛けるようにその後すぐ交通事故にも遭ってしまい、事業継続が困難になったためです。
とても辛い体験でしたが、希望や期待よりも焦りと不安との中で、経営を続けることの難しさを身をもって体験した良い機会でしたね。
廃業後の療養中に、今後また勤務セラピストに戻るか、開業を再チャレンジしてみるか。これを考え続けていました。
開業準備に6ヶ月。実際にまともに営業した期間は3ヶ月程度。
それでも、短い時間ではありましたが一度開業した際の、成長や経験値を得るスピード感が忘れられませんでした。もし続けていれば、自分をもっと良いところに連れて行ってくれるのではないかという思いあって、改めて開業することにしました。
再度開業するにあたって、今後の人生においては苦労するのは最初の方が良いだろうと言うことで、キツイところからリスタートすることにしましたが、この選択のおかげで地力をつけられた反面、経済的にはかなり厳しく苦労の連続で、家族にはとても負担をかけてしまいましたね。
黒字化なんて大したこと無いと思ってたんですが、結果、安定して損益分岐点(利益がプラマイゼロ)を超えられるまでに1年かかっています。1年目はめちゃくちゃ辛かったです。
店舗周辺には、いわゆる保険メインや保険自費併用の整骨院がポツポツあるくらいのところで、いまだ保険信仰が根強い街。周辺2km圏内の人口も多く無い上、人口密度も低い。乗降客数も多く無い駅、ベッドタウンのため昼間人口も少ない。
ただ、沿線には大きな街もあるため、そこから集客出来ればと考えていましたが、当時の僕にそんな力があるはずもなく、ただひたすらに地域集客に徹していました。
ポスティングをし、新聞折込をし、A看板を立てたり、教室を開いたり、地域のイベントに出店したり、コニュニティや団体に出向いて卓話でお話しさせてもらったり、地域の異業種の人と交流をもったり。
飛び込みはもちろん、時間外や休日対応。地域貢献と自分に言い聞かせて、出来ることはなんでもやりました。このくらいやれば、少しは成果が出ても良さそうなものですが、そう簡単にはいきません。
僕なりに精力的に頑張ったのですが、初年度の売り上げは319万円です。最低月間売り上げは15万円、最高でも37万円。保険込みでこれですから、手元キャッシュはもっと少ない訳です。徐々に売り上げは伸びていきましたが、月平均売り上げ26.5万円です。大赤字です。
正直これは予想してませんでしたね。勤務していた時の経験なんて何の役にも立たないというのを痛感しました。地域集客は難しい地域だと言うのは分かっていましたが、ここまでとは。
もともと、商圏を広く持ち、ターゲットを絞り込んだマーケティングを行っていくことを決めていましたので、儲からない時期に並行して行っていたのが、WEBを中心としたマーケティングのスキル向上です。
スキルを上げるのには時間がかかると思ってましたし、すぐに結果が出ないのも分かってましたから、その間を地域集客で凌ごうと思ってたのですが、まったくアテが外れてしまいましたね。
それでも1年も続けていると、次第に認知が向上してくるため地域集客が少し機能し始めてきますので、高単価、高リピートになる交通事故患者が常時2人くらいいるような状態になったので、そこで損益分岐点を超えるようになりました。
黒字化するまでに必要だったのは、「継続」ということに尽きるかなと思います。なので黒字化くらいであれば、続けてさえいれば、いつか出来ると思います。
黒字化と言っても利益はほぼ無い状態ですから、生活費はでませんけどね。なので黒字化程度ではいずれ潰れます。
予算と人手が無い中で、出来ることはやってきたつもりですが、とても苦しい1年でした。1年目年商319万。他人から見れば見下されてもしょうがないような売り上げです。
でも、これは自分が必死に生きてきた結果ですので、僕自身は誇りに思っています。
顧客心理を読み解く
開業する前からビジネス書やマーケティング本は読み漁ってきましたし、コピーライティングも学んできました。
ただ、どれだけ机の上で学んでも、答えが載っているわけではありませんので、ヒントを得るくらいにして自分で考えなければ前には進んでいきません。
僕自信、自分の行きたいところへは、自分の足でしかいけないと思うようなタイプで、なんでも自分で考えたい苦労する人の典型例です。今はそんなことありませんので、他人の意見に耳を傾けられるようになりましたけどね。
経営を続けていれば、自分の店舗には色々なお客がやってきます。一見さんもいれば、継続される方もいる。回数券を購入してくれる方もいる。
来る理由、継続する理由、去る理由。
それらを色々分解してみるとイメージが膨らんできます。
実際に顧客に聞いても、一対一の対面サービスである以上、気を遣って本当の理由は教えてくれませんので、推測していくしか無いのですが。
体のトラブルを解決する施設は、街中には業態を分けていろいろ乱立しています。病院、接骨院、鍼灸院、整体、カイロ、自費リハ、リラク、広くみたらピラティス、ヨガなんてのも入ってくるかもしれません。(ここに病院を含めるのはちょっと賛否あると思いますが、一応入れておきます。)
大雑把に考えれば、目的としていることは、ほぼ同じかと思います。
「体のトラブル、問題を解決すること」
これに対して様々な視点から、解決策を提案していると言うことですね。
これだけ接骨院が乱立していて潰れないのは、保険を取り扱っていることがアドバンテージになってると考えています。病院の他に、保険が使えるところは他にありませんからね。改めて考えてもこれは凄いことです。
そういったことから整骨院は、最初の選択肢に上がりやすく、その分チャンスが多い傾向にあると思います。
一方、完全自費の場合はこのような優位性は無いため、もっと明確な訴求が必要になってきます。そのためにまずは顧客になるであろう、見込み客の考えを知らなくてはなりません。
見込み客が何を求めているのか具体的に探るには、匿名掲示板や、Googleの検索候補、そこから得られたキーワードによるSEO上位郡などから、ある程度推測出来ることがあります。匿名掲示板は、ヤフー知恵袋はその代表例ですね。
例として、ここでの見込み客は鍼灸治療と頭痛に興味がある人を挙げます。
頭痛は鍼治療で良くなるのかなぁ?
頭痛で鍼治療を受けた人の意見を知りたいなぁ。
頭痛で鍼治療受けるのはどんなメリット、デメリットがあるんだろう?
頭痛で鍼治療を受けるには、いくらかかるんだろう?
頭痛で鍼治療をすると、どんな効果が出るんだろう?
といったことをイメージして、「頭痛 鍼治療」と検索したとします。
すると、検索したワードの下には多く検索される他の検索候補も並んで表示されます。
そして、この検索候補の2番目にある「頭痛 鍼治療 効果」を検索した場合。
Googleは、ユーザーの検索意図に対する回答として最適と思われるページを上位表示するようになってます。
1位は学術記事をまとめた結果
2位はグループ経営している鍼灸院の症状別の頭痛ページ
3位は個人の鍼灸整骨院の症状別の頭痛ページ
4位は医療系情報共有サイトの緊張型頭痛のエビデンス記事
5位は鍼灸マッサージ院の症状別の頭痛ページ
このような検索結果が出てきました。
ここではサイトの中身を見ていくことはできませんが、内容はどうあれ、このようなサイトが「頭痛 鍼治療 効果」と検索したユーザーに対して最適だと判断されたのは事実です。
上位5サイトの中身を覗いていくと、主にこのようなことが書いてありました。
頭痛の症状の特徴
頭痛が起きる原因やメカニズム
具体的な治療例
頭痛に効果的なツボ
どんなヒトに向いてるか
鍼治療の疑問
体験者の声
「効果」というキーワードが実際にたくさん書かれている訳ではありません。
内容を追っていくと「効果」を知りたい見込み客の検索意図、それを満たすための要素がある程度盛り込まれています。
見込み客がどんなことを知りたいと思っていて、何に興味があるのか。ここからはそういったことを推測することができます。
ヤフー知恵袋ではもっと具体的な悩みを知ることが出来ます。
これが直接集客やリピートにつながるわけではないです。ですが、このような質問や回答が、顧客が実際に考えている悩みや考えに近づくためには有効だったりします。
WEBマーケティングやブログでSEO対策をする場合は、ここからもう少し掘り下げて行ったり、キーワードを選定したりする作業を繰り返していくことになります。
これらを事前に知り、顧客の心理を理解することは、集客だけでなく、実際の顧客への対応にも活きてきますし、顧客にかける言葉なども変わってきます。
匿名だからこその本音が聞けるわけですから、このような情報はうまく活かせると良いかと思います。
価格競争をしない領域へいく
前述した僕の拠点地域ですら数店舗の同業が存在し、グループ経営しているところもあります。
ただ、治療院自体はそこまで目立った存在でもありませんが、大した影響ないだろうと思ってると痛い目を見ます。
どんなに自分の方が優れているといった自負があったとしても、街によくある一般的な接骨院や治療院って地域集客する上では、めっちゃ強敵なんです。
SEO(検索順位)なんてのは良い例で、中身は更新すらされていない薄っぺらいHPなのにドメインが古いというだけで上位表示を得ていたりします。これを覆すだけでかなり労力が要ります。
そんな競合と同じようなことをしていても消耗線になって、ジリ貧になっていくのは目に見えてます。分かりきった消耗戦に対して勝負し続けるのは危険ですので、当初の予定通り商圏を大きく取りニッチ層を狙った集客を進めていきました。
差別化によるにニッチ戦略です。
(※ニッチ:隙間)
ある程度ボリュームのある悩みに対して、一般的な方法とは違う切り口を見つけ、そこに予算を集中させる。
つまり、弱者の戦略ですね。
ですが最初は、ニッチ症状に絞って失敗しました。
ニッチ症状は基本的に、「浅い悩み」と「深刻な悩み」このふたつに二極化してます。浅い悩みの場合は距離の壁を超えて来院するには至りませんし、深刻な悩みは期待に応えられそうにないくらい深刻なものだったりします。
悩みが極端すぎるため、どちらに寄せたメッセージを発信しても経営にとってはインパクトがあるものにはなりませんでした。
そこで、狙うのはボリューム層(見込み客の多い症状など)の悩みです。
そのボリューム層に対して、既存のよくある方法ではなく、別な切り口でアピールすることで、他と比較されにくい競合の少ない領域へいくことができます。
では、ボリューム層をどうやって見つけるのかですが、簡単な方法は広告が多く出ているかです。
例えば、
「新宿 肩凝り」と検索すると、1ページ目に検索結果とともに複数の広告が表示されています。このような広告を検索連動型広告と言います。
Google広告は、クリック数に対して料金を支払う「クリック課金制」になっています。これは同じような広告を出したい競合が多いほど、クリック単価が高騰しがちです。1クリック数百円、業種によっては数千円になることもあります。
それでも広告を出す。それは何故かと言えば、それだけ出しても回収できる見込みがあるからです。つまり儲かるからです。
そのため、このような広告がたくさん出ているようなキーワードは、反応する見込み客の数がある程度あり、尚且つ集客に直結しやすいということになります。
逆に広告の数が少ないというのは、見込み客が少ないということですね。簡単に、儲かりづらいと考えても良いですね。
もう一つ紹介します。
Google Mapを使用してもおおよそわかります
Google Mapであまり多く無いであろうマイナーな症状などを検索すると、近隣の街ではなく広域地図での検索結果がでることがあります。
このような検索結果は、都市部などではありませんが郊外の小さな街だと、近隣にはそれを取り扱ってる店舗は無いということで広域地図になることがあります。
このようなキーワードや症状は、ニッチ集客に向いてるのかと言ったらNoです。
同業他社が少ないということは、そもそも集客できる見込み客の数も少ないと言うこと示しています。
差別化を図ろうと「〇〇整体」などの造語を作ることもあるかとは思いますが、基本的に検索もされないようなキーワードに見込み客はいません。
こういった方法に即効性はないため、時間やお金をかけてブランディングなどを行いながら、じっくり育てていく覚悟が必要です。
切り口を変えると言うのは何故かと言うと、見込み客が多い症状などでは、一般的な方法や既存の方法では改善せずに、悩み続けている人が沢山いるからです。
いわゆる治療院ジプシーの方ですね。
あたなの店舗にもきますよね?
「どこに行っても良くならないんです。」って。
当然ですが、この方々は「納得して施術を受けられ、結果を得られることを望んでいます。」
お望みどおりの提案と結果をしっかりと提供することができれば、ちゃんと顧客になってくれます。僕はこういった治療院ジプシーの方を拾うことで経営を成り立てせています。
肩こり、腰痛のような症状は、競合が多いから避けるべき?
いいえ。
需要、潜在需要も含めたっぷりありますし、競合がカバーできていない部分や死角が多く存在し、まだまだチャンスが多く残されており、後発でも十分戦えるくらいの市場規模があります。
ブレイクスルーに必要なマインド
ここまで話を聞いてると、
「コイツは医療、治療をなんだと思ってるんだ?」
「コイツは本当に医療者、治療家のはしくれか?」
「商売のことばかり考えやがって。最低だな。」
と思う人もいるかもしれません。
もちろん言いたいことは分かりますが、僕はセラピストでもあり、経営者でもあります。
残念ながら、僕には技術だけで何の宣伝もしないで患者を呼べるほどのものはありません。権威も認知度もないです。もちろん紹介が紹介を呼んでなんてこともありません。
基本的には、僕の持っている知識や経験、技術が必要なヒトに対して情報を発信し、届け、提供し、対価を得ることで経営をしております。
このサバイバルを生き残るのに必死です。売れなければ潰れます。
つまずきながらも試行錯誤を繰り返して、たくさん失敗を繰り返す中で「自信ある商品、サービスを売る」のでは無く、「見込み客が欲しいものを売る」ということを改めて重視するようになりました。
そのため、店舗のコンセプト、商品であるサービス、設備も知識も、見込み客や顧客の欲しいものとして、どう表現するかを常に考えています。
自分が表現したいものがそのまま売れれば良いですよね。もちろんそれに越したことはありません。
ただ、少なくとも最初はそのような理想通りにはいかないのが現実です。
ほとんどの人は、自分の商品としての価値を信じて開業すると思いますし、自分の持ってる知識、技術、経験を使って顧客のトラブルを解決することが最初のスタートラインになります。
「自分が一番提供したいものが、顧客の欲しがってるもの。」
最初は特に、これを信じて疑いません。
そのままハマってうまくいってしまうこともあると思いますが、意外と技術力にそこそこ自信がある人の方がつまづくような気がしてます。
お客は「複雑で細かいもの」よりも、「シンプルで分かりやすいもの」を好む傾向にありますし、自分が動くよりも、全てやってもらいたいと思ってます。
基本的に一般の方は、少しでも専門知識が入ってくると理解出来ません。
自分が本当に提供したいものがあるのならば、まずは相手のことを一番に考え、理解し、どのような手順を踏めば、受け入れてもらえるかを組み立ててゆかねばなりません。
見込み客、顧客の心理を理解していくことで、まず自分が変わっていきます。そして、自分が変わっていくと、顧客が変わっていきます。
この好循環が円滑な関係性構築において、とても重要な考え方になります。
マーケティングが施術を変える
僕自身は独立する時のテーマのひとつとして「肉体労働から脱却」がありました。
これはこの仕事を続けていくにあたって、必ず解決していかないといけない課題であって、長年の悩みでした。
それなりに手技療法や鍼治療を学んできて、体力的にはあまり消耗しないようなスタイルで出来ているつもりでも、常に手を動かし続け、体勢を変えてなどをやっていれば一日終わればそれなりに疲労します。
今は問題ないけど、これを10年後20年後、同じように続けていくわけにはいかない。これをずっと思っていました。もちろん他人を雇って自分が現場に立たなくなることも考えるし、なるべく生涯現役でいたいとも考える。
少なくとも現段階では可能性と選択肢を残していきたいですからね。
そこで開業直後に、物療機器に手を出した訳です。それが酒井医療のラジオスティム(ラジオ波)とアクティブ(ハイボルテージ)。
開業直後は、今までやってきたことを忘れて、とにかくこれらを駆使して施術を行なっていました。
自分が受けて気持ちが良いですし、変化もでますから、顧客もきっと満足してるはずだと疑いもせずにやり続けたことが、初年度の年商319万に間違いなく影響してます。
前述の通り、つまづく原因になりうる、客が欲しがるものではなく、自分が提供したいものが中心でしたからね。
物療機器は1年くらいは積極的に使っていたと思いますが、あんまり肉体的にはメリットを感じませんでしたし、僕の場合、顧客の満足は引き出せていないんだろうと思い、徐々に使用しなくなっていきました。
そのタイミングあたりから、リサーチを時間をかけて行って、過去に取り組んできた中でやっていたことや経験を改めて精査して、「今持っている知識や技術を、必要な人に届けていくためにはどう行動するべきか?」これを真剣に考えるようになっていきました。
新しく買ったり、学びにいくのではなくて、すでに自分が持っているもの。
それを見込み客や顧客が欲しいと思うような形にするにはどうするべきか?
こう言ったことを考えていき、現状、自分が出来ることの中から2つの要素を取り出して、それを顧客の欲しい形にして発信しようと思ったのが「運動」「睡眠」です。
この2つの重要性や必要性は誰しも理解していることですが、日々の生活の中ではどうしても忙殺され優先順位は低いものになっています。
これをどうにか分かりやすく、効果、結果を実感してもらい、日々改善に向けて前向きに取り組んでもらえないか?
このあたりから思考のベースはお客中心になりましたが、散々マーケティングは学んできたつもりでも、身になってなかったんだと自覚しましたね。頭でっかちでした。
それを自覚できない内は、技術系の情報商材にもたくさん手を出しました。なんとか抜け出したい一心でしたから。無駄だったと言うわけでは無いですが、そういうことではないんですよ。
最近、Facebook広告などで、独自テクニックのものをよく見ますが、上肢の挙上や体幹の回旋などの可動域が改善して「ワー!」って言うのを見ていて、あれを間に受けてそのまま顧客に披露したところでってことですね。
あのような技術がどうとかではなくて、それをどうやって顧客の求めているものに展開していくかというのを考えなくてはならないです。技術だけでは売れないゆえんですね。
悩み、困っている相手がいて初めて成り立つのがこのセラピストという仕事ですからね。
相手の悩みベースで考えていくと、それに対して自分に何が出来るかという発想になりますし、施術だけでなく、かける言葉も対応も、すべて変わっていきます。
そんなに難しく考えなくていい
世の中には色々「マーケティング」って言うのがあるとは思いますが、細かい定義とかはあまり興味はありませんし、僕自身はそんなにかしこまったものとは考えてなくて、単に「見込み客を集める活動」とだけしか考えてません。
何か特別な技術がないと出来ないのかと言ったらそんなこともないですし、看板や、チラシ、ポスティングにしたって、立派なマーケティングだと思っています。
その手段がいっぱい無数にあるので「〇〇マーケティング」ってのがあるだけです。
基本的には、
相手の困りごとや悩みや欲求に対して、自分の出来ること、提供出来ることを知ってもらい、行動してもらうこと
ですから。
ただ、冒頭に記した通り、全ての人に対応出来る人はいません。もしかしたら、あらゆることを網羅的にできる人もいくらもしれませんが、、、そう言う方は稀です。
肩の力を抜いた、自然体で行うカウンセリングや、特定の問題において再現性や即効性のある結果を提供し、顧客の期待に応え続けつつ、より良い状態へ顧客を導く。
これを実現するためには、自分のサービスを提供出来る環境に、見込み客を招く必要があり、とにかくミスマッチを防ぐことが大切です。
そして、このようなことを繰り返していくと、得意なこと以外は穴だらけのヒトが出来上がります。幅広く対応出来るような汎用性は失われますが、特定の問題に対しては、しっかり結果を出すことができます。
いわゆる特殊工具のような存在、スペシャリストになることが出来ます。
といっても、ある分野だけを掘り下げいくと、周辺の分野もある程度掘り下げないと深く掘れないので、深く掘れば掘るほど周辺の知識や技術も身についていったりします。
これは実際に地面に穴を掘る時と一緒ですので、穴掘り理論って言ったりします。
ですから、視野が狭くなるとかはあまり気にしなくても良いです。
何でも出来るのは何も出来ないのと一緒です。器用貧乏になるくらいなら、何か一つでもしっかりと出来るものがあれば良いと思っています。
マーケティングに関しても、網羅的になんでもこなせるに人になる必要はありません。一つだけで良いから、しっかり取り組んでいけば必ず成長していきます。
さいごに
僕の治療院の集客人数は、月間およそ10人から15人を目安にしています。
ただ、既存顧客に繰り返し回数券を販売するビジネスモデルですから、新規数はそこまで影響しませんので、新規においては客質を重視しています。
そのため、集客の精度と質を改善するために、常になんらかしらの対策を繰り返してるので、まだまだ安定はしていません。
予約はWEBとLINEのみです。電話はありますが、常時留守電になっていてメッセージが残っている時だけ折り返すような感じです。予約が入っていなければ、それ以外は休みです。飛び込みも当日予約も受け付けていません。
基本的にWEBのみで完結していて、僕のHPを読み込んでから、実際に試してみたくて来院される方がほとんどです。来る前から軽くファン化してることもあります。
常に自然体で顧客と接していられるのは、実際に存在を知って頂いた瞬間の「はじめまして」から関係性を築くための取り組みがあってこそ出来ることです。
こう言った方法が誰にでも納得して受け入れられる訳ではないです。
個人的に、ビジネスに限らず何かを継続する上では、自分に合っているかどうか?が大切だと考えていて、単に儲かる方法としてノウハウを真似る というが僕にはしっくりこないところがあります。
勤務していた時もコンサルからは逃げ回っていました。
ビジネスをする以上、利益を出せないことは問題ですので、利益を出す仕組みを自分で生み出せないのだとしたら、うまくいっている方法を真似るほか無いかな?とも思います。
でも、せっかく独立したのに結局、誰かの言いなりというか、従わされるような感覚になるのは避けたかったんですよね。
だからこそ、試行錯誤して失敗を繰り返して、生活に困窮しながらも続けたんです。プロミスだってお世話になりました。
僕も9月からWEBコンサルタントに方にお世話になっています。でもこれは、お任せしてやってもらうのではなくて、客観的かつ専門的な立場から意見をもらって、自分で作業して能力を高めていきたいからです。いずれは自分でもコンサルサイドに回りたいと考えてますので。
僕のような方法は誰にでも受け入れられる方法ではないと思いますが、こんな形でセラピストという仕事に取り組んでる人もいることを知って頂ければ良いのかな?と思っています。
自分に正直に、素直に、自分の心身の健康を第一に、長く人の役に立ち続けることが僕の願いです。
少しでもあなたのセラピスト人生に役立ちましたら幸いです。
それではまたお会いしましょう。さいごまでお読みいただき、誠にありがとうございました。
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