【書評】失敗の本質―日本軍の組織論的研究

今回も印象に残った内容3つとその感想を述べていきます。

1.教育

いかに要領よく整理、記憶するかがキャリア形成のポイントである教育では、戦闘が平時の訓練のように決まったシナリオで展開していく場合にはよいが、不確実性の高い状況下で独自の判断を迫られるようになってくると、十分に機能しなくなるだろう。

日本の受験のように答えが決まっている問いで高得点をとることを目指してばかりだと、なかなか独自の判断を養うことは難しいですね。。
答えが決まっていない問いに対して、いかに自分で論理立てて答え(意見)を作れるかを実践することが大事ではと思います。

2.学習

組織が長期的に環境に適応していくためには、自己の行動をたえず変化する現実に照らして修正し、学習する主体としての自己をつくり変えていくという自己革新的ないし自己超越的な行動を含んだ学習が必要である。行為と成果にギャップがある場合には、既存の知識を疑い、自己否定的学習ができるかどうかということなのである。

日本軍は目標と問題構造を所与ないし一定としたうえで最適解を選び出すという学習に留まっていた。

戦略は進化すべきものである。進化のためには、さまざまな変異が意識的に発生され、そのなかから有効な変異のみが生き残る形で淘汰が行われて、それが保持されるという進化のサイクルが機能していなければならない。

特に不確実性が高い現代においては、より重要になってくる考えだと思います。
自分が変える(捨てる)べきところはないか、組織において変える(捨てる)べきところはないか、常に考え、実行していくことが大事ではと思います。

3.フィードバック

第一線からの作戦変更はほとんど拒否されたし、したがって第一線からのフィードバックは存在しなかった。大本営のエリートも、現場に出る努力をしなかった。
個々の戦闘から組織成員が偶然に発見した事実は数かきりなくあったはずである。日本軍は、それらの偶然の発見を組織内に取り込むシステムや慣行を持っていたとは言えない。
一方、アメリカ軍は、特定の担当者のほかは、作戦部員を前線の要員と一年間前後で次々と交替させた。これによって優秀な部員を選抜するとともに、たえず前線の緊張感が導入され、作戦策定に特定の個人のシミがつくこともなかったといわれる。

前述の自己否定的学習をしていくためには、他者からのフィードバックがないと難しいと思います。自分で自分を否定するのは難しいですから。

またここでいう他者とは、上司、先輩だけではなく、前線で実際に仕事を実践している部下も含むのだと改めて感じます。
皆が意見を言い合える環境を作りたいですね。





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