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「酒とタバコと女」について思うこと

こないだ社内の酒の席でこんなことを言う人がいた。

「営業という仕事で成功するにはこの5つが必要だ。それは、酒とタバコと女、そしてギャンブルとゴルフ。俺は全てやってきたんだよ。それでここまでのしあがってきた。お前はいくつやってる?」

その人は僕の勤める会社の役員だ。僕は耳を疑った。
その人は続けて言った。

「取引先の喫煙室では社員同士の内輪の話が聞けるし、取引先と信頼関係を築くには酒が一番の近道だよ。」

と、一通り5か条の必要性を説いてきた。

僕はこう答えた。

「残念ながら僕はひとつもやってないです。でも、仕事は問題なく出来てますし、酒やタバコの力を借りなくても取引先とコミュニケーションはつくれると思います。第一、今の若い人にはそれはなかなか理解してもらえないんじゃないでしょうか。」

今の僕の会社は若い人材が不足しており、これからその世代を採用し育てていかなければならないのだ。それじゃなくても今の時代に「酒とタバコと女」論は時代遅れもいいとこだ。

いきなり僕が反論したものだから、その人は不機嫌になって場の空気が悪くなってしまった。

20年前まではまさにそんな時代だったと思う。
取引先の社長やキーマンに気に入られるよう酒やゴルフの接待尽くめ。
家族の事や自身の健康なんかそっちのけで、遊びが仕事の肥やしとばかりに女遊びやギャンブルが男の甲斐性とされる風潮があった。

もちろんその人の言うことを否定するつもりはない。
それぞれ一理あるし、その人はその人なりのやり方で確かにこの地位までのぼってきたのだから。
実際のところ僕も若い頃はタバコを吸ってたし、酒も好きだし接待も多かった。
だが、そのおかげで今の地位があるとはどうしても思えない。

本当の勝負どころはそこではない。
本来営業が求められるのは、
お客様の問題点を探り、寄り添う提案をすること。
そことは遠く離れたところに5箇条があると思えてならない。

これからは時代に合った手段で自分のやり方を探りながら成果を出していけばいい。
そして、この先も会社を継続させ繁栄させていくつもりならば、これからの人間に昔のやり方を強いるのはもってのほかだ。
なぜなら、ますます企業のコンプライアンスが求められる中でひとりひとりがルールを守り業務とプライベートをはっきり区別して働かなければならないからだ。
ワイフワークバランスは人それぞれだが、決められた勤務時間の中でしっかり成果を出す。
これと5か条は相反するものに僕は思えるのだ。

酒とタバコと女、そしてギャンブルにゴルフ。いずれもプラベートでご自由にどうぞ。
仕事に持ち込む時代はとっくに終わっている。とくにこれからを担う若い世代には。

いくつになっても思考や理念は時代に合わせてアップデートしていきたいものだ。

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