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読書記録 | 中島敦の古譚「狐憑」の回顧録

中島敦の作品を本棚から取り出したのは、娘が関心を寄せている「文豪ストレイドッグス」という漫画の主役が以外にも中島敦だったことがきっかけである。

以前から読んだ小説作品のタイトルをノートに記帳しているものの、肝心の内容は時が経てばすっかり抜けているものが多く、ことに短編小説はその傾向が顕著である。

棚から引き出した中島敦の古い作品集「光と風と夢」に収められているいくつかの古譚もその例に漏れず、冒頭の「狐憑」なども内容をまったく憶えていなかったので、再読に至ったのが少し前のことである。

スティーヴンスンの療養地でのエピソードが書かれた
「光と風と夢」という浪漫あふれる作品に
いくつかの昔話(古譚)が収められている

本そのものが旧いこともあり、中の文章に用いられている漢字も勿論旧いため、一節ごとに読み止めて、はっきり読めない漢字のよみがなと、一部その意味とをいつかの再読のために書き残しておいたメモがあったのを思い出し、それを横に広げながら再読に臨む。

汚い字はご愛嬌

メモのお陰をもって、事ある毎に躓くことは避けられたのであるが、眠気やら四十肩の激痛やら諸々の事情で十頁程度のものを休み休み数時間かけて読み終えたという、何とも体力と忍耐力の衰えをを感じるものである。

以前通読した際は、読めない感じの解読に時間を費やしたため内容があまりピンと来なかったのであるが、よくよく読んでみると中島敦先生の古譚「狐憑」は人間の群集心理など、いつの世も変わらない人間の本質部分の表現が巧みでとても面白いので、古い作品という概念は捨てた方がいいだろう。

私の持つこの本は他にも「文字禍」「山月記」などの有名古譚も収録されている。
思いかえすと、元々「文字禍」を当時もので読みたく探し当てたのがこの本である。

それらを含め、また除々に中島敦先生の作品を追っていきたいと思っている。


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