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『イーロン・マスク 世界をつくり変える男』

こんにちは。青い羽のタナカです。今回は一躍時の人となったイーロン・マスクについて、『イーロン・マスク 世界をつくり変える男』で見ていきます!

1.未来を創る男

「もし、自分の莫大な財産を残すとしたら、慈善団体ではなく、イーロン・マスクに贈る。彼なら未来を創れるからだ」

約5兆円の資産を有するGoogle創業者、ラリー・ペイジの一言だ。テスラをはじめ、環境問題や宇宙開発など幅広いビジネスを手がけるイーロン・マスクだが、彼の事業は必ずしも大きな利益が出ているわけではない。むしろ赤字や倒産危機など、お世辞にも「投資家が喜ぶ業績」を上げているとは言えない。そんな彼に世界を変えてきたビジネスリーダーが何を期待し、どうして未来を託したくなるのか。本書で紐解いていきたい。

2.世界をつくり変えるビジョンをぶち上げる

イーロン・マスクの起業家人生はスタンフォード大学をわずか2日で辞めたところから始まった。イーロンは弟とソフトウェア製作会社「Zip2」を立ち上げ、そこから起業と売却を繰り返し、数年で170憶円を稼ぎ出した。ここまではシリコンバレーでは珍しくない話だが、イーロンはそこからなんと「宇宙事業」へ進出した。大学時代に「人類の将来に最も影響を与える問題は何か」という問いを繰り返していたイーロンがついにその問題に向け動き出したのだ。

イーロンは2002年にスペースXを創業し、「人類を火星に移住させる」というビジョンを掲げ、既に大幅にコストダウンした再利用可能なロケットの打ち上げを実現している。

3.スペースX社

スペースXと言えば最近ではZOZO創業者の前澤さんが月周回旅行のメンバーを募集し始めたことやスターシップの着陸(その後爆発)で世間を賑わわせているが、実は既に宇宙事業で収益を上げているのをご存じだろうか。スペースXの宇宙船ドラゴンは「必要なものを届け、不要なものを受け取って戻ってくる宅配事業」を行っており、一度打ち上げたロケットを再利用して国際宇宙ステーションに物資を届けるという、NASAでも成し得なかった偉業で世界中を驚かせている。また、気象衛星や通信衛星を宇宙まで運んで周回軌道に乗せるという事業も担っており、今後の打ち上げ予定は既に50を超え、「毎月打ち上げても追いつかない」ほど人気となっている。

4.テスラ社

「電気自動車の販売台数を世界で一億台にする」

イーロンが次に手を伸ばしたのは電気自動車だ。一億台とは「世界で1年間に販売される自動車の台数」と同じであり、イーロンは全ての自動車を電動化するビジョンを掲げている。もちろんテスラ一社でこれを成し遂げることはできないため、イーロンは自動車業界全体で取り組むべきと考えており、実際に自社で開発した電気自動車の重要特許を無料公開するなど、ビジョンの前では自社の儲けは二の次なのだ。

「EVが普及するならテスラが潰れても構わない」

そんなことが言える経営者は日本にいるだろうか?

また、テスラの車は自動運転機能も搭載している。2016年にはこの自動運転機能利用中に死亡事故が発生した。もちろんテスラやイーロンに批判が殺到したが、イーロンは次のような発言で世界を黙らせた。

「テスラの自動運転でユーザー達が走行した距離は合計2億kmで今回が初めての死亡事故。統計的に米国では1.6億kmの走行で1件の死亡事故が起きており、テスラの自動運転は人間より優れている」

自身のビジョンに向け、リスクを負いながらもとんでもないスピードで突き進むテスラとイーロン。テスラの時価総額は既にトヨタの倍を超えている。

5.ソーラーシティ社

「脱炭素社会」を掛け声に世界中で自動車の電動化が推進されている。しかし、「電気は何から生まれているのか」まで含めて議論がなされている国は少なく、火力発電が大多数を占める日本も例外ではない。イーロンは太陽光パネルのレンタル事業を営むソーラーシティ社を設立し、市場をリードした。現在は太陽光パネルの低価格化に伴う競争優位性減少の観点からソーラーシティ社をテスラの傘下とし、太陽光パネルを生産する巨大工場「ソーラーファクトリー」やリチウムイオン電池工場の「ギガファクトリー」の先駆けとなった。

イーロンの「ビジネスの早さ」を代表するエピソードとして、「ギガファクトリーにはじめ屋根がなかった」という逸話がある。

6.感想

話題のイーロン・マスクについてもっと知りたいなと思ったので、とりあえず全体感を知るための一冊です。
ワークホリックで知られるイーロンですが、その裏には壮大なビジョンがあったんですね。『MBB:「思い」のマネジメント』でも触れた考え方ですが、仕事をする上でビジョンは非常に重要で、結果にも大きな影響をもたらします。日本のビジネスマンの皆様も、目の前の仕事をなぜやるのか、自分はどうなりたいのか、能動的なキャリアを目指していきましょう!


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