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vol.26 トラスホームと「里の豊かな暮らし」をつくる を、編む 〈前編〉

「編む、ブルースタジオ」とは
「編む、ブルースタジオ」は、毎回一つのテーマに沿って、住まいのタイプやジャンルを超えて事例・サービスを再編集し、お届けします。いつもの分類とは少し異なる目線から、“役に立つ”だけではない、“大切”なモノ・コト・時間を見つけ出すnoteマガジンです。

「はじめに:編む、ブルースタジオ」より

OUR MISSION

「物件から物語へ」

物件を取り巻く様々な要素をデザインし、その物件ならではの紡ぎ出される物語を大切に、豊かな暮らしへと繋いでいくことがブルースタジオの使命です。
では、その物件“ならでは”の物語とは、何か。
我々は、ビジョンある「物件」には共感をうむ「物語」があると考えています。

ブルースタジオでは、地域に根付く事業者様と共に、その土地ならではの豊かな暮らしづくりを行ない地域活性化に繋げる、新たな物語を紡ぐプロジェクトがあります。
今回の「編む、ブルースタジオ」vol.26・vol.27では、
共感を育み、まちに誇りや愛着をもつ暮らしづくりを共に創り上げている、福島県郡山市の事業者様と行なっている事例をご紹介します。

大家業としての役割

まちの、その先を共に考える

郡山市の郊外に、大家業を営むトラスホーム株式会社があります。
オーナーとなる古川さんは、「小原田」というまちに居を構える古川家の23代目当主であり、祖父祖母の代から始めた大家業をお父様から継ぎ、2010年よりトラスホーム株式会社を設立され、今も「小原田」地域の人々の豊かな暮らしを守り続けています。

こちらが、トラスホーム株式会社代表を務める古川さん。

家業を継いだ古川さんは、建築会社に数年勤めてきた自身の経験を活かしながら大家業を続けていく中で、トラスホーム株式会社としての役割について模索し始めるようになったそう。
ただ単にアパートの大家ということではなく、自分たちだからこそできる「地域の豊かな暮らし」を創っていきたいと考えるようになり、古川さんは様々な経験を経て、ブルースタジオを共創のパートナーとして選んでくださいました。

古川さん
「元は農家だったのですが、相続対策として大家業を営むようになった経緯があり、父からその代を受け継ぎました。ただ、自分なりに大家業を続ける中で、現状のやり方に疑問を抱くようになり、このまちで何のために大家をしているのか、その意味を求めるようになりました。
それからは、同業者や様々な人との出会いをきっかけに、地域価値を向上させるリノベーションに興味が湧き始め、またそのハードルの高さを痛感しました。」

そんな古川さんの地域に対する思いも汲み取り、 ブルースタジオでは、地域の豊かな暮らしを届けていくための物件のみならず、トラスホーム株式会社のCI(コーポレートアイデンティティ)/VI(ヴィジュアルアイデンティティ)を改めて計画し、「小原田の暮らしを守るトラスホーム」の新たな一歩となる“ビジョン”を共に創っていきました。

小原田の「里」を守る

昔・今・未来をつなぐ物語

“CI(コーポレートアイデンティティ)”

郡山市にある「小原田」の暮らしについて遡ると、安達太良の山並を臨む奥州街道沿いにはかつて小原田宿となる宿場町があり、様々な人々が暮らすまちでもありました。
周りには豊かな田んぼが広がり、傍には今も残る阿武隈川の清流が流れ、里山と野池には季節ごとの恵みを感じる環境。
また、里で暮らす農家でもあった古川さんのご先祖様も日常を大切に過ごしてきたその里には、暖かで緩やかな、でも強い人と人との繋がりが育まれていました。

小原田の「里」の暖かな暮らしの情景を一枚のイラストにして表現をしています。

私たちと古川さんは、そんな当時の暮らしを思い浮かべ、この里の素朴な原風景を価値ある人間らしい住環境として守っていくことこそが、トラスホームにしかできないことではないかと考えました。
家を管理するのではなく、里を守る。
トラスホームの大家業としての「役割」を、「里守・さともり」と名付けました。

トラスホーム株式会社のホームページには、小原田の豊かな情景と共に「里守」としての役割である“暮らしづくり”についてのミッションを伝えています。

“VI(ヴィジュアルアイデンティティ)”
この「里守」としての役割や活動を里や暮らす人々に伝えていくことは、自分たちのまちへの愛着を育むきっかけにもなり、共感者をひろげていくことでもあります。
ブルースタジオでは、小原田の「里」の情景をイラスト化しロゴを作成。名刺や封筒などのベーシックアプリケーションのデザインも行いました。

左が、以前のトラスホーム株式会社のロゴ。
右の刷新したロゴでは、里山の風景をイラストにすることで、会社の使命やテーマが伝わるように。ハンコのような風合いによって親近感や暖かみを感じられるようになりました。

また、実際にロゴマークのハンコをつくり、封筒や付箋などさまざまなものに“ポン!”と押すことで、トラスホームの役割や、小原田の「里」の暖かさをまちの人に知ってもらうきっかけとなる、とても愛らしいものへと生まれ変わりました。

古川さん
「ブルースタジオと仕事をする前は、正直CIやVIについてあまり考えたことはありませんでした。ご提案をいただいたときは、想像できないことや未来も、自分の枠やレベルを超えて自ら掴んでいきたい!と思うようになりました。負荷を抱えてでも自分なりに頑張ってみよう、そう思えて今も大家業としての仕事を努めています。」

ブランディングを行うことは、「共感者」をひろげていくことです。
プロジェクトの背景に眠る文脈から物件本来の価値を導きだし、ブルースタジオだからこそ紡ぎだせる、「共感」をうむ「物語」をつくっています。

going forward

同じ土地で長い年月を暮らしてきたからこそ、その当たり前の豊かさに気づかないことや、またそれをどう伝えていけばいいのか悩ましいこともある。
日々暮らしを重ねてきた時間は、その土地の大切な価値であり、暮らす人にとっていつもの変わりない風景も、これからの世代に繋いでいく守るべき豊かな価値かもしれない。

小原田の「里」の歴史・環境・人との関係を再び耕し、豊かな暮らしを今へと繋げていくように、私たちは地域全体へと視野を広げ、その土地で暮らす様々な人との関係性や思いを、ひとつの豊かな「物語」へと編み込んでいきます。

次号では、トラスホームとブルースタジオが実際に手がけた、小原田の「里」にひらくいくつかの「物件」を通し、人とまちの関係性を育む暮らしの物語をお届けしていきます。
地域に根ざし暮らしを重ね続け、新たな道を歩み始めたその先にどんな物語が紡がれているのか。

ぜひ、お楽しみに。

今回紹介した事例についてもっと詳しく知りたい方に

トラスホームportfolio:https://www.bluestudio.jp/portfolio/po011935.html
トラスホームHP:https://www.truss-home.jp


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