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映画『青春18×2 君へと続く道』

清原果耶の演技に惹かれ、興味を持ったきっかけが『宇宙でいちばんあかるい屋根』だった。監督は藤井道人。『青春18×2 君へと続く道』は、同じ藤井監督で清原果耶が主演。公開初日の舞台挨拶生中継付を鑑賞した。

生の舞台挨拶と異なり、中継は登壇者をアップで観ることが出来たので楽しめた

舞台挨拶の様子から得られた情報はともかく、台湾と日本との共同プロジェクトということを含め、事前の情報は仕入れず、" 清原果耶が主演 " という、ただこのことだけを抱えて足を運んだ。

清原果耶とともにダブル主演をつとめたのがシュー・グァンハンではなく、日本の俳優だったら、映画の印象はずいぶんと違っていたかもしれない。さらに記名性が強い俳優だったら、観る前から作品に対する思いや向い方も、先入観が生まれることで異なっていたと思う。ここで言う " 先入観 " を僕はマイナス的に使っているが、僕が思う " 記名性が強い " ことにより感じるそのマイナス面を説明すると、たとえばAという俳優がどんな役を演じても、その登場人物には見えず、Aとしか見えないこと…を指す。もちろんそこに魅力を感じる人もいるだろうし、それが必要とされることもあるはずなので、これは僕の単なる好み、かつ、個人的な見方である。どんなに記名性が強くても、あくまでも僕自身が…であるが、映画やドラマでは演じる人物にしか見えない役者が好きなのだ。この意味で、シュー・グァンハンと台湾の俳優陣に対してはニュートラルにふれられたので、先入観の持ちようがないから、始めから物語に入り込むことができたのは大きかった。さらに、脇を固める日本人キャストも豪華だが、各々の出演時間は長くはなく、清原果耶と絡むシーンもないため、僕の個人的な見方が邪魔されることはなかった。

映画は直球のラヴ・ストーリーである。そしてタイトルにもあり舞台挨拶でも話題にあがっていた " 青春 " だが、僕自身が感じたのは " 青春 " よりも " 旅 " だ。言葉の意味そのままの旅、経過した長い時間としての旅、そして人生を意味する旅など、鑑賞後に受け取る旅の意味が人それぞれの中に生まれ、それこそ、青春さえも旅として描かれているように思うので、単に感動させられるだけではなく、観た人各々が旅の姿になった何かを得られる映画ではないか。

主演のふたりは静かながらも雄弁な演技が見事だった。特に18才と36才を違和感なく演じたシュー・グァンハンの安定感は素晴らしかった。そして清原果耶。アミは僕の好みのキャラクターではなかったけれど、スクリーンに映る彼女の清原果耶としてではなくアミとしての存在感もまた素晴らしかった。ジミーと抱き合っての涙のシーンがとても美しかった。

5/3(金)から5/6(月)の4日間限定、先着特典の「青春18×2 フィルムしおり」

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