親友を失った日、プロポーズ
男性が苦手だ。スポーツにもゲームにも漫画にも殆ど触れることなく育ち、ひと学年に400人程居た女子校で3年間過ごしたからなのかもしれない。それから、兄弟が居ないせいもあるかもしれない(姉妹、妹がひとり)。物心ついた頃から、友達はみんな女の子だった。
進学した大学の学部学科は、圧倒的に男性の比率が高かった。知ってはいたけれども、「男の子と話さなくてはいけない」という状況に震えていた。幸い(?)、共学校出身の友人たちが間に入ってくれたりしたので半分くらいの男子陣とは会話ができた、と、おもう。でも、せいぜいそこまでだった。アドレス帳に並ぶ連絡先は9割以上が女の子だった。(今でも、そうだ。)
"連絡先が登録されている"のと"連絡をとる"のとではまた別の話で。過去問や授業関連のことは結局女友達がなんとかしてくれていたので、とりあえず連絡先は知っています状態。
そんな中、「なんだか話が合う…わけではないが、話していておもしろいな」という同級生の男子と仲良くなった。くだらない事から悩み事までたくさん話を聞いてもらったり聞かせてもらったり、ケーキやパフェをふたりで食べに行ったり。人生初かつ唯一の男友達であり、親友だった。
そう、親友「だった」。
貴重な親友を失った。「何でも話せる親友だよね!」と言い合える彼は、いなくなってしまった。
出会って16年目の春、わたしは親友だった彼の妻になる予定だ。
場所もシチュエーションもプロポーズの言葉も、ロマンチックとは言えないかもしれない。仮の指輪もガシャポンのチロルチョコリング。だけど、わたしたちにとっては思い入れのある大切な場所で、だいすきなチョコレートを模した指輪で、とても嬉しかった。
「親友を失った」と前述したが、正しくは「親友からパートナーへとステップアップ(?)した」、かもしれない。「恋」というより「愛」。たまたま性別が異なるから"結婚"に辿りついた。
だけど、同性同士だったとしても、「愛」にかわりはないから、結局一緒に生きていきたいとおもう相手であることは間違いない。
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