【人生の100冊】4.宮本輝『泥の河』
小説でも音楽でも、デビュー作というのは、何か2作目以降とは全く違う情熱を秘めている、と思う。
宮本輝の「泥の河」もまさにそんな作品で。
宮本輝は、1977年(昭和52年)に、この「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞してデビューした。後に「蛍川」で芥川賞を受賞。それからどんどん名作を発表し、いくつかの作品は映画化され、現在のような売れっ子作家になっている。
私の母が宮本輝を好きで、家にたくさん本はあったのだが、私が初めて宮本輝の作品を手にしたのは19歳、大学生の時だった。そ