マガジンのカバー画像

わたしの本棚

28
読んだ本の感想をまとめています。
運営しているクリエイター

記事一覧

【断捨離】私のくるみの木の本棚、1段だけ見てみよう

本の断捨離をしなければならない。 2~3年に一度は、100冊くらいは古本屋へ送るのだが、この数年間それを一度もやっていない。2つの本棚はとっくにいっぱいで、あふれた分は床に直接積み上げている状態だ。 私の仕事部屋には、学生の時に母が買ってくれた大きな本棚がある。一人暮らしをした時も結婚した時も、ずっと持ってきた。びっくりするほど重いので、引っ越し屋さんを何度も苦しめた。 材質は「くるみの木」だという。「ガラス扉がないとホコリがたまるから」と、母はいつもガラス扉がついているも

世之介に会いたくて、ただ会いたくて。

「世之介」は、実在する人物ではない。 井原西鶴の「好色一代男」の世之介でもない。 吉田修一氏の小説「横道世之介」の主人公、横道世之介のことだ。 「横道世之介」は毎日新聞の連載小説で、2009年に単行本化されている。 もう20年も前に、友達に薦められて、吉田修一氏の「パレード」や「パーク・ライフ」を読み、それから出す作品を追いかけて読み続けていた。 私の個人的な意見だが、吉田修一という作家は、現代作家の中で天才と呼ばれてよい人の一人だと思う。 文學会新人賞受賞でデビューしてか

<備忘録的なもの>最近読んだ本いろいろ

本が部屋からあふれている。 そろそろ整理して、もう読まない本は箱に詰めて古本屋へ送ってしまおうと思っている。 思ってはいるのだが、なかなかその作業をやる気が起きない。 あー、どうにかしないと……と言っている間に、また今日もポストに新たな本が届いていた。 図書館で借りれば、お金はかからないし、本も増えないのだが、私は「本を所有したい熱」が高い人間で。 じゃあ、電子書籍にすればとりあえず物質としての「本」は増えないからいいんじゃないかとも思うが、やっかいなことに、まだ「紙」派で

今さらだけど、本屋大賞2024について

本屋に行きたくても体調が悪くてなかなか行けない期間が続いた。大量購入した重い本を持って帰る自信もなかった。 そんな時はやはりAmazonのお世話になってしまう。 でも、実際の書店と違って、中をぱらぱら見ることなどはできない。何を買おうかと考えて、「本屋大賞」のノミネート作品ならまず間違いないかなと思った。多少の趣味の違いはあれど、「まったく面白くなくて大失敗した!」なんてことにはならないだろう。 そう思い、いくつか買ったので、今年は本屋大賞のノミネート作品をわりとたくさん読む

生み出した1行を、1文を、いつか誰かの心に響かせたい。

この間、数年ぶりに人と鴨長明の話をしたせいか、何かをしている最中に時折、「方丈記」の冒頭文が頭の中に流れてくる。 この冒頭文ほど美しい調べを私は知らない、と思う。 何度繰り返しても飽きず、言葉の一つ一つが沁み入る。 今から20年ほど前、斎藤 孝先生の「声に出して読みたい日本語」という本が一大ブームとなった。今でも斎藤先生はテレビのコメンテーターなどで活躍されているが、メディアに出始めたのはこの本がきっかけだと思う。 確かこの本の中にも方丈記の冒頭文はあったと記憶する。 そ

【最近読んだ本】作家にしか書けない「がん治療」の話。あなたにも読んでほしい。

西加奈子さんの本は何冊か読んだが、本当のところ、好きな作品は「サラバ!」だけだ。だけど、この「サラバ!」という、単行本で上下巻の長い長い物語があまりに好きすぎて、もうこの1作品だけで大好きな作家さんになってしまった。 特に下巻は一気に読んだ。もしかしたら西加奈子さんは作家人生をこの一作品に詰め込んだのではないかと思うほど、作家としての“熱”みたいなものを感じた。(今思い出しても震えるほどだ) でも、他の作品を読んでも、どうも自分には合わないのかピンとこない。新作が出ても手を

【最近読んだ本】吉本ばななさんの本を30年ぶりに読んでみた

ものすごく久しぶりに吉本ばななさんの本を読んだ。 吉本ばななさんは、私が高校生の時にデビュー。私にとっては「キッチン」「TUGUMI」などが話題となった作家さんのイメージが今も抜けない。あの頃は、ある意味「吉本ばななブーム」のようなことも起きていた。 確かに衝撃的だった。 今はいろんな作家さんがいるから、この「衝撃」が伝わりにくいかもしれないが、あの頃、ばななさんのようにシンプルな文章を書く作家さんは稀有な存在だったように思う。悪く言えば、「誰でも書けそうな簡単な文章」。

「いつかの旅」を再び。私も冒険の旅に出よう。

7月に入って少し時間に余裕ができたので、またゆっくりと読書をしている。 忙しい時でも本は読むが、この「ゆっくりと」という点が肝だ。 移動中や夜寝る前に読むのではなく、昼間の気分の良い時に、「よし、これから30分、本を読もう」と決めて、おいしい紅茶など用意してソファでくつろぎながら読む。そういう“ゆとりのある”読書ができている。 だから、そのような読書にふさわしい本を選んだ。何か月も前から買っていたのに「積読」がありすぎてなかなか手を伸ばせなかった2冊のシリーズ。 沢木耕太郎

【最近読んだ本】人生で初めて宮部みゆき作品を読む

実は、「最近」でもない。 写真の本は2月に読んで、【2月に読んだ本】として記事を書こうと思っていたのだが、3月が過ぎ、4月になり、いよいよ5月に入ってしまった、というわけだ。 ちょっと遅いが、せっかくなので少し感想など書いておきたいと思う。 これまで私は宮部みゆきさんの本を読んだことがなかった。 有名な作家さんだし、面白そうだなと思いながらも、なかなか手に取るきっかけがないまま今まできた。 ある時、まつぼっくりさんがこんな記事を書いているのを見つけた。 紹介されていた「3

朝早くから仕事を済ませて本屋さんへ。 1番目立つ場所に積まれていました。 手にしただけでもう涙が出そう。 待ってたよ!!😭 今から村上春樹ワールドへ旅してきます! そうそう、大好きな凪良ゆうさんの本屋大賞受賞も嬉しかったなぁ💕

【最近読んだ本】1月に読んだ本をまとめてみた

1月はわりと本を読んだ。作品でいえば7つだが、分厚い大長編が多く、上下巻もあり、ページ数でいえばかなりボリュームがあった。 自分の記録として、軽く感想など綴っておこうと思う。 『月の立つ林で』著:青山美智子 昨年11月に出た青山美智子さんの新作。5つの短編がどこかでつながっていて1つの物語になっている、という筆者得意のパターンだ。「またこれか」という感じもするが、新作が出ると迷わず手に取ってしまうのは、やっぱりファンだからなのだと思う。 今回は読み終わった時、そのパター

【最近読んだ本】答えの出ない問題に向き合い続けるって、大事なことだ。

この本を読んでいて思い出したことがあった。 大学生の時、友人に頼まれて、彼女がやっていた家庭教師のアルバイトのピンチヒッターをやったことがあった。 彼女とはそれほど仲良くはなく、友人を通して頼まれたのだと記憶する。私も何人か家庭教師をしていたし、塾講師もやっていたから、適任だと思ったのだろう。 確か2、3回のことだったし、学生時代はとにかくお金を稼ぎたかったので、喜んで引き受けた。 指示されたお宅へ行ってみると、きれいで優しいお母さんが出てきてくれた。生徒は中学1年生の女の

お盆休みは読書三昧

8日(月)に大腸内視鏡(カメラ)検査をした時、小さな4mm程度のポリープが見つかった。といっても、その場で切除してもらったし、ほぼ間違いなく良性とのこと。その他には特に悪い所も見つからなかったので、とりあえずホッとして帰宅した。 簡単に取れるものだが、3日間は消化の良いものを食べ、アルコールや刺激物は避けること。1週間は遠出や激しい運動は避けて安静にすることを言い渡された。 せっかくのお盆休みだが、WEB系の原稿がいくつか残っていたし、キャンプに出るのも暑いし、何より「安静

【最近読んだ本】すべてが狂った世界でようやく手にできる幸せもある。

子どもの頃、ノストラダムスの大予言が流行った。「1999年7月に恐怖の大王が降りてきて人類が滅亡する」というもの。まだ先の、と言っても想像はできるくらいの近い未来の予言に子どもだった私は震え、友達と「人類が滅亡するなら、最後に何をしたいか」という話をした。 ノストラダムスの大予言とは関係なくても、誰でも一度くらい「明日、地球が滅亡するとしたら何をする?(何を食べたい?)」というお題で盛り上がったことがあるのではないだろうか。 不思議なもので、10代、20代の若い頃には「これ