コミュ障でも一生のパートナーができるまで②

人生初の呼び出しは、オーソドックスなスタイルで、呼び出した3人の女子は「ちょっと来て」と言い廊下に出すと、壁を背に3人が1人を取り囲むというフォーメーションをとった。
「ユウタ君は、サナちゃんが先に好きだったんだからね!なのに、なんでアンタがいっしょにあそんでるの?」
リーダーの女の子が凄んで言い放った横で、サナちゃんと思わしき子は涙目になっている。
私はといえば、恐怖と返事の仕方が分からないので完全にフリーズ。
ちょっと何言ってるのかわからない、子供の理屈はこういう事もある。
そして、分からない事を分からないと言えば良いのだろうが、現実は絵本の中の勇気ある主人公の様には振る舞えないものだ。
正直に怖い。
「ちょっとどうしてだまってるわけ?はやくあやまりなさい!わるいことをしたんだから」
悪い事?と思いつつも
「ごめんなさい」
気がつけば、その一言が口から出ている。
家でも謝れば、大抵の嫌な事は片付いたし、それが良くない事だと知るのはもっと先の話しだ。
「女の子が1人で男の子たちと遊ぶなんて変だからやめたら?あと、もうユウタ君とあそんだりしないでね」
捨て台詞をはき勝ち誇ったように告げて、泣いている子を引き連れて部屋へ戻っていく。
男の子と遊ぶのはおかしい人だと思われる、という謎の常識を知った出来事だった。
今の時代では常識なんかでは無いと思うが、私が子供の頃は当然の事として受け入れている人が多かったように思う。
こうして、私はまたカラクリ時計を眺める日々へと戻った。

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