ロック史#5 : サイケデリック・ロック
前回はこちら。
1964年からブリティッシュ・インヴェイジョンとよばれるUKロックバンドのアメリカ進出が大成功し、再びロックがチャートを賑わせるようになりました。
今回は1966年以降のお話。
ヒッピー・ムーブメント
ヒッピーとは、既成の政治や価値観に反抗する、いわゆるカウンターカルチャーの一角で、愛と平和をモットーに人それぞれの自由な生き方を尊重する英米の若者たちのことです。
・マリファナやLSDは自由にヤリます
・Hもあちこちでヤッて良いです
・みんなで集まって踊り狂います
果たしてこれが平和といえるのかは知らん。
ビートルズ、未知なる境地へ
何でもかんでもビートルズを軸に話してしまうのですが、実際軸だったと思うのでセーフ。
前作『ラバー・ソウル』でマリファナの匂いを漂わせた彼らでしたが、66年発売の『リボルバー』はLSD使用の効果もあり、それまでのロックの常軌を逸した内容でした。
恋愛と無関係のスピリチュアルな歌詞、インド音楽への挑戦、斬新なエフェクト、効果音の多用、テープの逆回転。
今聴いても新しい。なのに圧倒的に聴きやすいのがビートルズの凄いところ。
3年前に「She Loves You」とか歌ってたとは思えない。ぶっ飛んでる。
コンサート活動を辞めレコーディングに専念し始めた翌67年、『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』でサイケの金字塔を打ち立てます。
"架空バンドのコンサート"を一貫した構成は世界初のコンセプト・アルバムと称され、アルバム通しての芸術性に価値を見出しました。
次作の『マジカル・ミステリー・ツアー』もサイケが色濃く出ていて、「愛こそはすべて」はまさにヒッピー文化の象徴。
アルバム主義
『サージェント・ペパー…』のように全編通して特有の世界観をもつ作品などは、アート・ロックと言われたりもします。
ルー・リード率いるヴェルヴェット・アンダーグラウンドが、67年にアンディ・ウォーホルのプロデュースで発表したデビュー作は特に前衛的。
今でこそ名盤とされますが、当時はキャッチーの無さと攻めすぎた歌詞のために全然売れませんでした。ヒット性よりもロックの芸術性に重きを置き、ポピュラー音楽から一線を画したアングラなスタイルは、後のオルタナティブ・ロックにも繋がります。
「シングルヒットを飛ばそう、アルバムは良い曲並べといたらOK」みたいな認識から、「トータリティの高い優れたアルバムを作ろう」という考えに移行する流れが70年代にかけて起きます。特にロックはポップスと比べて、その風潮がより顕著に現れるのです。
サマー・オブ・ラヴ
ヒッピー・ムーブメントは67年夏にピークを迎え、サマー・オブ・ラヴとよばれる、大勢のヒッピーが集まり社会運動を行う現象が各地で起きました。特にサンフランシスコには10万人ほど集まったとか。
(※自動翻訳から日本語字幕出して観てみましょ)
ミュージシャンたちもこぞってLSDを服用し、幻覚をそのまま音楽で表現するような流れが生じます。= サイケデリック・ロック
結局ドラッグによって暴力沙汰や中毒者が増え、平和とは程遠い状況になりますが…。
サイケなロッカーたち
ドアーズ
左から
ジョン・デンズモア (ドラムス)
ロビー・クリーガー (ギター)
レイ・マンザレク (キーボード)
ジム・モリソン (ボーカル)
米ロサンゼルス出身、デビュー時からサイケブームを牽引した4人組。
サイケは鍵盤楽器が曲のメインになることも多く、マンザレクはベースも鍵盤で弾き、独特の音世界を作り出しています。
代表作『The Doors』『Strange Days』『L.A.Woman』など。
なんといっても音楽ど素人、ジム・モリソンのカリスマっぷり。ステージ上でのパフォーマンスも私生活も激ヤバだけど、歌わせたら圧倒的な存在感を発揮。
ジャニス・ジョプリン
米テキサス出身、唯一無二の歌声を持つ希代の女性シンガー。
サマー・オブ・ラヴの象徴で、現在のロックフェスの源流となったモントレー・ポップ・フェスティバルに出演し、圧巻のステージングで人々の注目を集めました。
代表曲「Move Over」「Cry Baby」「Me and Bobby McGee」など。
途中で映るお客さんもお口がぽかん。彼女の絶叫はぜひとも生で聴いてみたい。
ジミ・ヘンドリックス
米シアトル出身、左利き。
史上最強のギタリストは彼で間違いなし。
短いキャリアの中で、大胆なアーミング(ビブラート)でストラトキャスターの知名度に貢献したり、エフェクターによる斬新なディストーションを生み出しハードロックの源流をつくったりと、その影響力は絶大。
ギターの可能性を一気に広げ、ギタリストの価値を高めた、ロック界の革命児です。
代表曲「Purple Haze」「Little Wing」「Voodoo Child」など。
ジム・モリソンもジャニス・ジョプリンもジミヘンも、"J"から始まり27歳で亡くなっている(27クラブ※)という偶然…。
※27クラブ・・・27歳で亡くなったミュージシャンの総称。他にもロバート・ジョンソン、ブライアン・ジョーンズ、カート・コバーンなど。
クリーム
左から
エリック・クラプトン (ギター)
ジンジャー・ベイカー (ドラムス)
ジャック・ブルース (ボーカル、ベース)
イギリス出身、3人共とてつもない演奏力を持つスーパーバンド。イチローと松井秀喜と大谷翔平が同じチームにいるようなもの。
ジャズのような即興演奏やワウペダルをいち早くロックに取り入れ、ジミへンと共にハードロックの先を走りました。
代表曲「Sunshine of Your Love」「Strange Brew」「White Room」など。
サイケの雰囲気もありながらブルースの色が強く、サイケブームと同時にエレキを前面に押し出したブルース・ロックも流行りました。
他にもローリング・ストーンズの『サタニック・マジェスティーズ』や、シド・バレットがいた最初期のピンク・フロイドもサイケです。
ウッドストック・フェスティバル
ヒッピー文化を象徴する歴史的な野外フェス。
事実上無料で、集まった観客は40万人。その割に大きなトラブルは無かったらしく、伝説的なコンサートとして大成功に終わりました。
ここに断ったビートルズ、ツェッペリン、ディラン、ドアーズ、ジェフ・ベック、バーズらが加わっていたら…と妄想。
今回はここまで。
フロイドの1st『夜明けの口笛吹き』これを機に初めてちゃんと聴いたけど、とても良かった(いつも狂気ばっか聴いてたから…)。
めっちゃゆらゆら帝国っぽいなと思ったから、慎太郎さんも影響受けてるのかな、もしかして。
次回、ヒッピー終了のお知らせです。
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