ロック史#4 : イギリスvsアメリカ!ロック合戦
プロ野球開幕。やっぱり野球って最高。
前回はこちら。
50年代末にロックンロールは衰退し、60年代からより幅広い意味をもつロックとして、自ら曲を書き歌うアーティストが増えました。
今回は英米ロック合戦の開催です(?)。
ブリティッシュ・インヴェイジョン
ビートルズのアメリカ進出
UKバンドのアメリカ侵略が始まったのは1964年。
イギリスで売れに売れたビートルズは、1964年1月「抱きしめたい」で全米1位を獲得しアメリカに進出。
2月に名物音楽番組、エド・サリヴァン・ショーに初出演した際の視聴率は70%超(本当?)。
4月にはビルボードの上位5曲を独占。
イギリスの4大ロックバンドと呼ばれるのは、ビートルズ含め全てこの時期に登場したバンドです。今回はそれらを紹介します。
ローリング・ストーンズ
左から
チャーリー・ワッツ (ドラムス)
ミック・ジャガー (ボーカル、作曲)
キース・リチャーズ (ギター、作曲)
ビル・ワイマン (ベース)
ブライアン・ジョーンズ (ギター)
メンバーチェンジがありながら解散もなく、昨年もアルバムを出したばかりという超絶長生きバンド。
ミックとキースは、途中加入のロン・ウッドと共にいまだ現役バリバリ。70年来のズッ友である。
彼らの特徴でありビートルズと違うところは、ブルースの影響を強く受けていること。実験的なことをしても、結局ブルースに戻ってきます。
1970年前後の4作『Beggars Banquet』『Let It Breed』『Sticky Fingers』『Exile on Main St.』はどれも甲乙つけがたい完成度です。
キンクス
左から
ミック・エイヴォリー (ドラムス)
レイ・デイヴィス (ボーカル、ギター、作曲)
デイヴ・デイヴィス (リードギター)
ピート・クウェイフ (ベース)
メンバーの顔と名前を覚えている人は殆どいないし(失礼)、語られることが少ない過小評価バンドのひとつ。
やや荒くパワフルなサウンドは、後のハードロックやパンクにも影響を与えました。
ザ・フー
左から
ピート・タウンゼント (ギター、作曲)
ロジャー・ダルトリー (ボーカル)
キース・ムーン (ドラムス)
ジョン・エントウィッスル (ベース)
アメリカで売れるのはもう少し後ですが、この時期に登場した名バンドとして取り上げます。
代表曲は「My Generation」「Won't Get Fooled Again」「Baba O' Riley」など。
ギターがリズム楽器になるほど、キースとジョンが暴れ倒すフォーメーションが特徴。
ライブの迫力も凄まじく、超大音量で演奏するスタイルはピート曰く"パワー・ポップ"。
アメリカの対抗馬
もちろんアメリカ勢も黙っているはずはなく、イギリス勢に匹敵する活躍を見せます。
ザ・ビーチ・ボーイズ
左から
アル・ジャーディン (リズムギター)
ブライアン・ウィルソン (ベース、作曲)
カール・ウィルソン (リードギター)
デニス・ウィルソン (ドラムス)
マイク・ラヴ (ボーカル、作詞)
ウィルソン三兄弟、いとこのマイク、ブライアンの友達のアル、という完全な身内で結成。それだけあって、息の合ったコーラスワークは絶品。
代表曲は「Surfin' USA」「Wouldn't It Be Nice」「God Only Knows」「Good Vibrations」など。
初期はアメリカ西海岸をイメージしたサーフ・ロックでブレイクし、アート志向にも走りつつそれ以降もポップさを貫きました。
ボブ・ディラン
孤高のシンガーソングライター。
メッセージ性の高く美しい歌詞はノーベル賞からも評価されました(本人は否定的ですが)。
差別、反戦、平和などを謳うスタイルでフォーク・ロックを確立させ、ロックを社会運動の一つとして位置付けました。
代表曲は「Blowin' in the Wind」「Like a Rolling Stone」「Knockin' on Heaven's Door」など。
彼を傾倒していたジョン・レノンに「お前の歌詞にはメッセージが無い」と言い放ち、後に起きるヒッピー・ムーブメントも相まって、ラブソングに溢れていたロック界に、社会的メッセージを持つ楽曲が増えるようになります。
フォークロック全盛期のザ・バーズ(The Byrds) がカバーした「Mr. Tambourine Man」も全米で1位を記録しました。
サイモン&ガーファンクル
左 : アート・ガーファンクル
右 : ポール・サイモン (作曲、ギター)
サイモンの書く繊細な楽曲をガーファンクルとの美しいハーモニーで聴かせるフォーク・デュオ。
代表曲は「The Sound of Silence」「Mrs. Robinson」「Bridge over Troubled Water」など。
20代で歌詞も含めこんな幻想的な曲を書けるなんて…。「A Hazy Shade of Winter」みたいなロック色強めの楽曲も質が高い。
番外編 : ソウルとモータウン
60年代のヒット・チャートを賑わせた音楽といえば、モータウンをはじめとするソウル・ミュージック。
より情熱的でゴスペル要素が強いR&Bはソウルとよばれ、レイ・チャールズ、アレサ・フランクリン、オーティス・レディング、サム・クックら名シンガーが名を馳せました。
モータウンは米ミシガン州デトロイト発、インディーズにも関わらず、ソウルを白人にも大受けするポピュラー音楽に昇華させた、音楽界における最重要レーベルの1つ。
所属アーティストは、スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ、テンプテーションズ、マーヴィン・ゲイ、ダイアナ・ロス&ザ・スプリームス、ジャクソン5、スティーヴィー・ワンダー、ライオネル・リッチーと錚々たる面々。
個人的モータウン最高傑作はこれ。
イントロのカッコ良さですでに優勝。
社長ベリー・ゴーディの手腕はもちろん、最高の製作陣と最高のセッション・ミュージシャンが作り上げる独特のモータウン・サウンドは、イギリスのロックバンドにも影響を与えています。
モータウンに影響を受けたビートルズが65年に大名盤『ラバー・ソウル』を、
それに影響を受けたブライアン・ウィルソンが66年に大大名盤『ペット・サウンズ』を、
それに刺激を受けたポール・マッカートニーが67年に大大大名盤『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』を作る…。
英米が争うどころか互いに好影響。素晴らしい。
今回はここまで。
次回は1960年代後半、人々にドラッグが蔓延し、ロックはサイケデリックと化しカオスを極めます…。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?