アタマを上げて ~あなたの将来の安全と健康のために~
近年、顔を下へ向けている人をとても多く目にします。
それは皆さんもお気づきの事でしょう。
立ち止まっている時や座っている時はもちろん、
歩ている時も、
時には他の人と喋っている時でさえ。
原因は・・・そうスマホです。
スマホとは関係なく、俯いて歩いている人はいますが、
スマホの爆発的な普及によって、
日常的にうつむいている人の数は圧倒的に増えたように感じます。
コロナ前にバンコクへ行ったことがあるのですが、
バンコクでは、駅の広告など、あちらこちらで次のような注意喚起がされていました。
『スマホの見過ぎはあなたの健康に重大な悪影響があります』
特に首や頭についての警告が表示されていました。
ストレートネックや猫背など、骨格の最重要パーツである脊柱についての
将来的な大きな不安は、これからの人類全体の課題になってゆくように思います。
さて、私の修行してきた【形意拳(けいいけん)】という中国伝統武術においては、
《天と地と人が繋がる》ことを最終奥義としています。
今回はこのうち《ヒトと天とが繋がる》ことについてお話をしたいと思います。
武術はあくまでも実利を求めます。
リアルを追及します。
ですので《天と繋がる》という事についても、具体的な目的と方法があるのです。
武術的には次のような二つの要領があります。
【竪項(けんこう)】うなじを真っ直ぐにすることによって、
重い頭部を脊柱の上に載せ、頭蓋骨を骨格的に支える。
【虚領頂勁(きょれいちょうけい)】首の力みを抜き切ることによって
頭が軽くなり天へと上るような感覚を得る。
これによって武術的には次のような利点があります。
◎首から下のボディの力みを抜き易くなって、
しっかりと大地と接することができ、また、
スムーズな動きができるようになる。
◎周囲に対する認知力(レーダー能力)が向上して、
状況をいち早く察知して行動できるようになる。
などなど。
ここで注目して欲しいのは、二つ目の《周囲に対する認知力》。
これは危機回避の上で、最も基本かつ重要なことがらです。
以前、知り合った台湾の武術家の方との会話の中でもそんな話題がありました。
その方は元・台湾警察のSWAT(武装警察)の格闘教官であり、軍隊での指導経験もある実戦的な武術家なのですが、私も合計20年間警察にいたこともあり、
『リアルな護身術とは何か』
という話になったのです。
その時、その方が仰ったのは
『リアルな護身術とは、危機回避力のことだ』
『如何にして危険な状況を前もって回避するかがポイントだ』
ということでした。
これについては私も全く同感です。
個人の格闘能力や運動能力というのは、試合ではない日常的な危機的状況においては、やはり限界があります。
ですので、如何にちゃんと周囲を認識しているかが重要な要素になってくるのです。
スマホに目を奪われ、イヤホンで耳を奪われている状況では、その認識力や察知力はゼロに等しい。
何も、常に緊張し警戒してくださいと言っている訳ではありません。
周囲の景色を楽しむココロを持って頂ければ。
何か思いがけもしなかった発見があるかも知れませんよ。
そうやって周りに気持ちを向けるだけで、危険な目に合うリスクをグッと減らせるのです。
アタマを上げて、ココロを周りへ。
それだけで、あなたの将来の安全と健康は上向きになるのです。
・・・そして
《ヒトと天が繋がる》感性は、
やがてココロを大きく天へと拡げ、
のびやかに晴れやかにしてくれるのです。
2022年6月12日
小幡良祐
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