0159 春と秋
秋が来たなぁと感じる散歩をした日曜だった。
虫の音が聞こえ、ススキが揺れ、日差しが当たっていると暖かいが、陰ると寒い。
気温だけでいえば、春と一緒だというのに、何が私に「秋だなぁ」と思わせるのだろう。
暑いというより、熱いと言いたいような夏を超え、蝉時雨からコオロギの鳴き声に切り替わるからか。
金木犀の香りが漂うからか。
傾く夕陽の色合いが、これから寒くなっていくことを暗示するからか。
夏の暴力的な日差しではない、柔らかい光に切り替わって、冬を勝手に想像するからか。
カレンダーの写真も、急に暖色になってしまっている。先月まではまだ残暑を思わせる、青空だったのに。
10月も半ば、カボチャの飾りが商店街から消えた瞬間に、年末へのカウントダウンが始まる。
仕事はずっと何一つ終わらずに、横やりばかりで、ひどい状況だが、せめて年末年始はゆっくりと……
と思うのだけれど、夜勤のローテーションが当たるかもしれない。
サラリーマンである限り、ゆっくりなんて生活は無理なのだろう。
気が付けば定年退職は伸ばされるし、お給料を上げるといえば20代30代だけだという、いろいろな制度の隙間に落ち込むロスジェネだけれど、ひとまず何も信じず、自分で考えて、なんとかかんとか生きていくしかないのだろうね、と秋の空を眺めてぼんやりするのだった。
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