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本の部屋

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わたしの大好きな本だけを並べた部屋。 いつか壁一面の本棚みたいになる日を夢見てニマニマしています。 「ふーん、どれどれ」くらいのスタンスで気軽に立ち寄ってみてくださると嬉しいです… もっと読む
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#推薦図書

春樹さん、「壁」って一体なんですか。(システムとしての「強固な壁」と、意識の境界…

わたしは普段、小説を分析したり検証したりすることは、どちらかというとあまり好きじゃない。…

さち
1年前
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『街とその不確かな壁』ー村上春樹さん6年ぶりの長編小説

「きみがぼくにその街を教えてくれた。  その夏の夕方、ぼくらは甘い草の匂いを嗅ぎながら、…

さち
1年前
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【読書】『人は何で生きるか』トルストイ

ロシアの文豪、トルストイ。 『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』などの大作で知られるけれ…

さち
1年前
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【読書】『お探し物は図書室まで』/明日が少し楽しみになる本

青山美智子さんの小説は、いつも優しい。 何気ない言葉で心の中にするりと入り込み、蓋をして…

さち
1年前
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【読書】『タコの心身問題ー頭足類から考える意識の起源』/村上春樹ライブラリーで出会っ…

早稲田大学構内にある、「村上春樹ライブラリー」。 そこに収められているのは、村上春樹作品…

さち
1年前
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【読書】『カラー・パープル』/ピュリッツァー賞受賞作を読む

差別の色濃い時代と場所に、黒人女性として生きる。 それがどういうことなのかを、20代の頃読…

さち
1年前
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【読書】『ミムスー宮廷道化師』/本物の賢さとは何か

「宮廷道化師」というものについて、この本で初めて知った。 なんて過酷な制度だろう。 この本はフィクションだけれど、「宮廷道化師」というポジションは、中世ヨーロッパに実際にあったらしい。 「宮廷道化師」。 王や貴族のそばにいて、楽しませると同時に、笑いのうちに皮肉ったり批判したりする役目も負う存在。 賢と愚、真と偽、正気と狂気、そのはざまでトリックスターとして生き、階級や秩序をひっくり返しまぜこぜにして、世界を祝祭化する存在。 王に軽口を叩ける唯一の者でありながら、その扱い

『あかちゃんがわらうから』おーなり由子

赤ちゃんをありのまま写真に写しとることは、本当にむずかしい。 こぼれ落ちてしまうのです、…

さち
1年前
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【読書】『こどもスケッチ』おーなり由子/おもちゃ箱暮らしの記録

絵本作家おーなり由子さんがご自身のお子さんが赤ちゃんだった頃のことを綴ったこの本は、こん…

さち
1年前
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【読書】『七つの人形の恋物語』ポール・ギャリコ

久しぶりに、お風呂にまで持ち込んで読んだ。 ほんの少しの時間でも、その世界から離れがたく…

さち
1年前
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【絵本】『ちょっとだけ』瀧村有子/優れた育児書としての絵本

1.育児書としての絵本地域の子育てセミナーに、講師の助手として同行していた時期がありまし…

さち
1年前
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【読書】『扉のかたちをした闇』江國香織×森雪之丞

物語のような音楽のような、連弾詩集 ふしぎな響きのタイトルだなあ。 この本を図書館で見つ…

さち
1年前
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【読書】『そして生活はつづく』星野源

図書館でたまたま見つけ、ふと手に取った。 「へー、星野源さんて、エッセイ出してたんだ。ど…

さち
1年前
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【読書】『青い鳥』モーリス・メーテルリンク

大人にこそ、読んでほしい物語。 『青い鳥』。 ノーベル賞作家の名作戯曲。 誰もが一度は耳にしたことがあるだろう、超有名なタイトル。 きっとあらすじもなんとなく知っている。 けれど、この本を最初から最後まで本当に読んだことがある人は、あまりいない。 それはすごく、もったいないことだと思う。それくらいの名作だ。 「幸せとはなにか」という目のくらみそうな真っ向勝負の王道テーマを、真正面から見つめ掘り下げていく本書。 実にまったく戯曲らしく、まるで目の前にあるように情景が浮かび上