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勝手に失恋した気になってんじゃねえよ

どうも、かわむらです。

友達が結婚したみたいです。

直接LINEで連絡があったわけではありません。

彼のインスタのストーリーズで、婚姻届とリング、「結婚しました」の一言が添えられた投稿があったのでそれで知りました。

ストーリーズにおめでとうの気持ちを込めていいねをしました。

だからまだ、彼に直接LINEで結婚おめでとうと言えていません。




彼との出会いはまさしくインスタで、7年くらい前のある日、DMで

「長野県で◯◯(車種名)のオフ会があるのですが、一緒に行きませんか?」

と彼から声をかけてくれたのがはじまりです。

僕のインスタは愛車と風景の写真で埋め尽くされたアカウントで、彼も当時同じ車種に乗っており、僕と同じような投稿をしていたので、以前から相互フォローだったのですが、お互いの投稿にいいねをしあうくらいの間柄でした。

彼はオフ会に参加したいけど参加者の年齢層が高めで若い人がいないから、歳が近くて気が合いそうな人がいないかと思っていた時にこの人なら!と僕に声をかけてくれたそうです。

若いっていいですね。当時23歳の僕はオフ会そのものに興味があったこと、日時的に参加できそうなのと、なにより同じ年齢の同じ車乗った人っていうだけで親近感がかなり湧いて、ノリと勢いで「ぜひ一緒に参加しましょう!」と返事をしました。

それからというもの何日かDMでやりとりしました。
その間にお互いが今住んでいるところや、お互いのインスタの投稿を見て気になったこととか、たわいもないやりとりしていました。

そんなDMのやりとりをしつつ、彼の過去の投稿をなんとなく見ていると、僕が好きな感じのファッションだったり、なんとなく背格好も似たような感じでより親近感も湧き、顔がはっきりと映った投稿は無かったのですが、どことなく醸しだす雰囲気が僕のタイプの雰囲気だったので、オフ会への楽しみ度が30%、彼と会うことへの期待値が70%くらいに正直なっていました。

そしていざオフ会当日。
現地集合は緊張するから先に2人で集合してから現地に向かおうとDMのやりとりの中で計画していたので、オフ会会場の近くのコンビニに集合する事にしました。

どんな人なのかな?写真の雰囲気通りイケメンかなー?と今思えばマッチングアプリで出会う人じゃないんだからと呆れてしまいますが、ちょっとだけドキドキしていた覚えがあります。

そしてインスタで何度も見てきた車がコンビニに入ってきて僕の車の隣に停まりました。

車から降りてきた彼は予想通り僕のタイプでした。

色が白くて、塩顔で、僕と同じような背格好で、ちょっとオーバーサイズの服を着た男の子でした。

あと、DMではお互いバンバン会話してたのに、いざ本人を目の当たりにすると人見知りが発動して「あ、どうも、、。」「あ、はじめまして、、。」とごにょごにょしちゃう感じも似てました。

とはいえDMでやりとりしてるからすぐに
「家からどんくらいかかったー?」
「生で見てもやっぱ(車)かっこいいねー」
とかナチュラルに話してたし、はじめて会ったけど仲良くなるのはあっという間でした。

オフ会の話をしてますが、オフ会のことはどうでもいいのでさらっと流しますね。
やっぱり僕と彼の同級生コンビが最年少でした。若くても30後半とか、もはや親世代やんって人ばかりだったのですが、若手二人は無事に大人たちに受け入れてもらえました。

人生初のオフ会も終わりの時間を迎え、現地解散となりましたが、僕と彼はしばらく現地に残っていました。

オフ会なので同じ車がたくさん並んでる写真は撮りまくったのですが、僕と彼の車の2ショットは撮れてなかったので、2人で写真を撮りながら見せ合いっこして「やっぱこの車かわいいね」なんてお互い愛車バカになってました。

最初こそは(やべぇ。タイプのイケメンじゃん)とドキドキしてしまいましたが、一緒にいるにつれて友達としてすごく波長が合いとても楽しかったので、解散する頃にはなんの違和感もなくお互いLINEを交換してはじめましての1日が終わりました。

それからはLINEを頻繁にやりとりしていました。
彼は愛車を自分仕様にカスタムするのが好きで、ここをカスタムしてみたとか、次はここをカスタムしようと思うけどどう思う?とかたくさん話してくれました。
僕は素材の味そのものが好きだったのであまりカスタムはしないのですが、唯一シートカバーだけはオーダーメイドで作ってもらったので、とにかく2人とも自分の愛車のこだわりポイントをずっとLINEしてました。
好きなものが同じだから話が尽きなかったな。


はじめてのオフ会が楽しかったから、その後も何度か2人でオフ会に参加しました。
石川県、岐阜県、静岡県と主に中部地方のオフ会は予定が合えば参加してました。

参加を重ねるにつれてオフ会界隈で2人は名コンビとして認知されるようになって、彼がクールなイケメン担当で、僕も同じくイケメン担当のつもりでやっていくはずでしたが、やはり3枚目キャラになってました。なぜいつもこうなってしまうのか笑

名コンビということでオフ会会場では基本的にずっと一緒でした。
2人で並んでだべってるところを知らぬ間に写真を撮られてて、なんかそれが自然体でいい写真で、かつ後にも先にも唯一のツーショット写真だったから内心とても嬉しかった覚えがあります。名前忘れたけど写真撮ってくれたおじさんありがとう!

そういえば静岡県のオフ会の時は、彼から「せっかくだから前日入りしようよ」と誘ってくれて、ビジネスホテルだけど2人でお泊まりしたなぁー。

僕はほぼ名古屋民ですから静岡なんて日帰りの距離ですが、彼は当時富山県民だったからそりゃちゃんとした旅行になるよね。

ホテルについてからは部屋で飲みながら(と言っても僕はお酒飲めないので普通のジュースですが)色々語り尽くしました。

当時2人とも彼女と別れたばかりで、彼女なんかいなくてもこうやって趣味があるから全然いいよねなんて現実逃避したなー。
けっこう遅くまで語り明かしました。

何がとは言わないですが本当は大浴場に行って彼のを拝見したいななんて、紛れもない下心がありましたが、ずっと部屋で楽しく話してたので、大浴場まで行くのがめんどくさくなって部屋のシャワーで済ませました。

シャワーから出てきてパンツとシャツだけの彼を見てしまった時は心臓に悪かったから、大浴場に行ってたら死んでたかもしれないね。

当たり前だけどその後は何事もなく朝早く起きて、あらかじめ調べておいた近くのコイン洗車場でお互い自分の愛車をぴっかぴかにしてオフ会に行ったもんね。

オフ会そのものの思い出よりも、こんな感じで2人で話したこととか、2人でなんかしたことの方が楽しかったし深く記憶に残ってるなー。


月日が流れ、彼は車を乗り換えたのでオフ会には参加しなくなりました。
僕も1人では行く気にならなかったのでオフ会には参加しなくなりました。

ただ彼とは車を乗り換えても集まろうねって話をしていたので何度か2人で集まりました。

車を乗り換えても関係が途絶えることなく、同じ車に乗ってる同士から単純に仲の良い車好き友達みたいな関係になれたのは嬉しかったな。


でも残念なことに、また集まろうって言ってるうちに世界中がウイルスまみれになってしまいました。

彼は医療関係とはちょっと違いますが、それでも人とけっこう密になる仕事をしていたからなおさら会えなくなりました。

僕もどこにも行けないからインスタに投稿する写真が無く、投稿が数ヶ月に一回とほとんど開店休業状態となりました。

彼からたまにくるLINEのやりとりはありましたが、決まって「早く集まれるようになるといいね」と言って、またしばらくLINEが途絶える感じになりました。


しばらくして彼から
「車乗り換えるから最後にまたコラボしようよ」
とLINEが来ました。

コロナ禍だったけど、人が少ないところで2人きりなら大丈夫だよねって福井県の方にドライブに行きました。
久しぶりに会ったけど、相変わらずこいつかっこいいなって思いました。
人で密にならないように道の駅の駐車場の隅っこの方で2人でいつものようにたくさん写真撮って、たくさん喋って、コロナ禍で会えなかった分めちゃくちゃ楽しかったです。

だってずっとLINEで「早く集まれるようになるといいね」といつになるかもわからない期待をしててようやく会えたんやもん。

でも会えちゃったから目的達成してしまい、彼とはこれ以降今日まで一日たりとも会っていません。


彼は言ってた通り車を乗り換えました。
前に乗ってた車が弄りがいのある車ということもありよくカスタムしていましたが、今回は流行りの車に乗り換えて、なんだかすごく落ち着いちゃいました。

インスタの投稿も車の写真はあまりなく、もともとおしゃれさんだったから新しく買ったスニーカーとかを投稿するようになりました。

ストーリーズは美味しそうな食べ物の写真を載せていて、自分の分と奥にはチラッと相手の分の食事が見切れてて、だからきっと素敵な人と巡り会えたんやろうなって思いました。

僕は僕で、インスタ投稿はより一層開店休業状態となり、明けましておめでとうございます。の次の投稿が、明けましておめでとうございます。となるほどには放置していたので、ほぼストーリーズを観る専用アカウントとなっていました。

2人とも車への熱量が昔と比べると弱火になっていたんだと思います。
自然と彼からも僕からもLINEをすることは無くなりました。


今年の1月1日。
能登で大きな地震がありました。
彼が能登の方出身ということは知っていたし、お正月だからほぼ確実に実家へ帰っていたと思います。

能登で地震の文字を見た時にすぐに彼のことが頭によぎりました。

でも、あんなにLINEをしていたのに「大丈夫?」の一言が言えませんでした。

もちろん、僕のLINEによって余計なバッテリーを減らして欲しくないとも思いました。
でも、何故か今さら気まずいなって思ってしまった自分がいました。
彼とのトークルームまで行き「大丈夫?」って文字を入力したけど、何故かどうしても送信することが出来ませんでした。

数日後LINEの安否確認で彼の無事が確認できたこと、彼が地元の状況を何度もストーリーズに投稿していたことで、彼が生きていることがわかり本当に安心したし嬉しかった。

僕に何か出来ることはないかと、ささやかな額でしたが募金をすることしかできませんでした。
被災された地域の為にという面目でしたが、心の奥底では巡り巡って彼の為になって欲しいと思ったのが正直な動機です。最悪な人間ですよね。


そして、5月某日。
彼のストーリーズにて結婚した事実を知りました。

いつから結婚のことを考えていたかはわからないけど、大変な出来事があった時に大事な決断をした彼はすごいなと思います。
同い年としてすごく尊敬しました。

心から結婚おめでとうと思っています。
それは友達としてちゃんと忘れたくない気持ちです。

でも僕が本来持ち合わせてる根っからのネガティブ思考とゲイであるという面倒くさいところがこんにちはして

「あーあ、また置いてけぼりになっちゃったな。」

って。

僕は僕で今の人生は幸せだなって思うことはあるしそれなりに楽しく暮らしているけど、世の中の考え方ではどう考えても彼が選択した生き方の方が幸せに見えるらしくて、僕もその価値観を知らない間に受け入れてて、勝手に比較してちょっと凹んでしまっているわけですよ。

別に今までも友達何人かが結婚して、その度に心からおめでとう!というハッピーな気持ちとゲイであることへの複雑な気持ちだとかでメンタルがグルグルすることは経験済みなのですが、今回はちょっとだけ下心を持ってしまった人ってのもあるので余計にめんどくさい人間に成長してしまいました。

どんどんネガティブに考えてしまって、なんであの時(地震があった時)に声をかけられなかったんだろう。とか今さらそこ?っていうわけわからない後悔と、別に僕は彼の元カノでもなんでもないただの友達なんだから変なこと考えずLINEを送れば良いのに、大事な人がいるもんね、、とくだらないことを思ったりして、やっぱりLINEを送るのはやめておこうと、まるで失恋したみたいな感情になってました。

何も始まってないのに勝手に失恋した気になってんじゃねえよって話ですよね。ほんと自分に対して気持ち悪さと怒りさえ感じました。



ひとしきり自分への嫌悪感を全部出し切ったら、このままじゃいけないので今度はちゃんと
「俺は俺で人生楽しめてるからね。安心してね。」
ってもう一回自分を洗脳し直して、なんとかネガティブから脱出しようとしてます。

もちろん彼のことを妬んでるとか奥様に嫉妬してるとかそういうわけじゃなくて、本当に心から結婚おめでとうって思うし、どんなことがあっても2人で協力して幸せになって欲しいって思ってます。
これは本当です。

だってちょっとだけ早とちりして意識しちゃった時期があったとは言え、ちゃんと友達だと思ってるから。

でも僕の感情の器が小さすぎて、すぐにいろんな思考で溢れてしまうから、一個ずつ整理しないと器の中に留めておかないといけないおめでとうの気持ちがネガティブな気持ちのせいで全部溢れちゃうんで、今こうやってnoteにたらたらと書いてるって感じです。



よし、もう大丈夫だ。





僕は「趣味があるから彼女なんかいらない」って、静岡のビジホで語り合ったあの日と同じことを言って、これからもゲイである自分を隠していくよ。

嘘じゃないからね。僕には趣味がたくさんあるから人生楽しいもん。

8年前人生ではじめて買った愛車、かつ、7年前に君も乗っていた同じ車に僕は今も乗ってます。

まだとってもかわいいです。

さすがに出会った頃よりかは小キズも増えたけど、まだまだ元気いっぱい走ってくれてます。

この車を選んで本当に良かった。
住んでるところも、歩んできた人生も全然違うのに、ただ同じ車に乗ってる同い年ってだけで君と出会えて、あちこちドライブもしたし、愛車語りをLINEで夜な夜な何度もしたし、君のおかげでオフ会にも参加できました。群れることが得意じゃない僕は君が声をかけてくれなければ一生オフ会なんて行くことはなかったと思う。

僕に知らない世界をたくさん見せてくれてありがとう。

たぶんしばらく僕は一途な気持ちで愛車を乗り続けていくので、僕の愛車への思いに負けないくらい君も奥さんのことを一途に思って末長くお幸せに過ごしてね。


僕と友達になってくれてありがとう。




じゃあまたね、かわむらでした。

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