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エッセイ:金木犀の匂い

 今日から10月、今年も残り3ヶ月。早いね。国民的演芸番組で人気を博した噺家。燃える闘魂も病には勝てず、星となった。ひとつの時代の終焉。著名、一般問わず、誰かが星になったという知らせを目にすると、どうしても、胸が苦しい。

 その昔、とあるミュージシャンが「人生は死ぬまでの暇つぶし」とインタビューで答えていた。
あの人らしいな。と笑いつつも、妙に納得した。人はいつか必ず星になる、生まれたからにはね。
そんなことはわかっている、わかっているけど。

 世の中には「何のために生きているのか」とか「夢や目標がない」という人も一定数存在する。
家庭環境、社会の影響、理由は数えきれない程。だけど、駆け足で朝はやってくる。「生きる」ということは楽しいより、しんどいが多いのだ。

 限りある時間の中で、宿題は山積みのままだ。しかも、答えはひとつじゃない、だから難しい。カレンダーの残りを数える度に、自分の気持ちと答え合わせをする。答えは自分のみが知るのだ。

 金木犀の匂いが、今夜は妙に切なく感じるよ。

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