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いま…大切なこと

2024年、本年もどうぞよろしくお願いいたします

新年早々、能登半島地震により、被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。

被災地の一日も早い復旧をお祈り申し上げます。

このような災害復旧活動においては、多くのボランティアの方々が尽力されます。私も20年務めたディズニーのサービスの世界から44歳の時に離れ、この14年間は公益法人を創設して、難病を患う子どもとその家族全員を応援する活動を行っているので、ボランティア活動については、とても身近に感じております。

ボランティアとは大きく分類すると3種類あります。一つは今回のような災害の時に活躍する災害復興型、そして二つ目は私も東京2020五輪で、11万に計画されたボランティアの方々の人材採用、教育育成の総括を行ないましたが、そのような一時的なイベントのため活躍するイベント型、そして三つ目は毎日、日常の生活において困難が生じる方々への日常社会活動型ボランティアです。

私が東京2020五輪でボランティアの人材育成を行った際、中には多くの初めての活動体験者の方もいました。その方々も含めて、ボランティア精神の根本的な指針を「pass me the salt(お塩、取ってください!)という標語にして、全員に伝えました。皆さんも食卓で経験もあると思いますが、ボランティアとは自分の目の前に置かれていたお塩を、他の人に渡してあげる行為、そのものなのです。それこそが、あなたができること、自分ができることを、人のためにする、と言う行為で、大会のボランティア指針として教育を進めました。

ボランティアというものは、決して難しいものではなく、このように「あなたが、いま、できること」を「目の前」の人のために、行うことです。もちろん、今回のような、被災地能登半島への支援も大変重要ですが、あれやこれや、どうすれば?と悩むより、私たちの目の前には、多くの方々が、あなたの「手」を待っているです。

この沖縄でも、地球温暖化などによる海洋保全のボランティア活動、また毎日の日常でも食べ物などに困窮する貧困に対する活動や、高齢の方が買い物に不便不自由なので、その買い物支援など、目の前の日常社会活動型のボランティア、支援も大変重要です。

さらに、ボランティアで大切なことは、その時、その場だけで終わるのではなく、その問題が解決するまで継続的な活動が重要だということです。そのためには、まずあなたが「関心のある事」を選んで、参画することが大切だと思うのです。例えば登山が好きな方であれば、登山者が歩きやすいように登山道を整備したり、犬や猫が好きな方は動物保護に関する活動や、沖縄の古くから伝わる織物や料理、あるいは景観保全などの文化継承を行うボランティアや、私の住んでいる読谷村には、戦前のその美しい景観を撮影した写真とともに、沖縄の魅力、歴史を保存する方もいて、私自身も大変、勉強になり、後世に必要なことと思っています。

能登半島地震に関しては、大リーガーの大谷翔平選手を召致したロサンゼルスドジャースは約1億5000万円の寄付をされたと報道されていましたが、このようにお金のある方はお金という手段を使って応援し、もちろん、皆ができることはお金だけでなく、大きい小さいの量でもなく、大切なことは、あなたの「心」と「手を差し伸べる」ということ思います。

私たち人間は、その生きている幸せを実感できる瞬間がありますが、それは決して何かを手に入れたり、成就達成した時だけでなく、人に「ありがとう」と言われ、自己有用感を実感できた時にも、大きな幸せを実感できる生き物です。

私たちが、いま、在ること。それだけでも幸せなのです。その幸せを実感しながら、目の前も幸せな光景にしていきましょう。それを、実感させてくれるのがボランティアだと思います。あなた手を伸べて、自分自身の歓びを実感してみましょう。

(2024年1月13日 沖縄タイムス紙面より)

青と碧と白と沖縄
大住力

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