ドラマ『舟を編む』を振り返る ー私もうカツカレーなんですー
ドラマ『舟を編む』。毎週毎週つぶやきをしたくなるほど見入ってしまった。特に詩的で面白いセリフが多いのが印象的だった。このドラマが言葉を大事に使おうといったメッセージをテーマにしていたことに起因しているのだと思う。
特に印象に残ったのは、主人公のみどりが辞書づくりを降りると言った荒木にむかって、もう一度辞書編集に携わって欲しいとお願いした際に言ったこのセリフ。
みどりはファッション誌に携わりたくて、玄武書房に入社したのだけれど、携わっていたファッション誌が電子化されるのに合わせて、辞書編集部に島流し・・・もとい大抜擢されたのだった。
当初は不満のあったみどりだが、馬締を初めとする辞書編集部のスタッフ達の辞書編集に対する熱意に触れ、自身もだんだんとやりがいを見いだしていく。
上述のセリフには、出会った人や自分の身に起こったことを解釈し、かつての自分自身(あるいは自分自身だと思っていたもの)を越えて、新しい自分として運命的な人生を歩んでいく。そんな強い意思表明に共感してしまった。
ちなみに、微風の「微」それ自体では「ソヨ」と読むことはできず、風と組み合わせることによって「ソヨカゼ」と読むことができる。このような二文字以上の漢字を使用する熟字に当てられた1文字ずつ分けられない訓読みのことを熟字訓と言うらしい。第六話のアタマで馬締が解説していた。
さて、この長いセリフを言っている際、みどりはおそらく一瞬だけPPAPをしている。以前中の人がCMに出演した際、覚えたものなのだろう。
ドラマ全体の話を簡単にすると、馬締が第一話でこんなことを語っていた。
このセリフの後、松本先生が言葉は「選び方と使い方」というのだが、このセリフに今回『舟を編む』が私達に問いかけるメッセージが集約されていると思う。
通信技術の発達によって花束にもナイフにもなる言葉が氾濫している時代だからこそ、今まで以上に言葉は大切に使う必要がある。このドラマが製作された背景にはそんな時代の要請があった。製作陣の熱意が伝わってくる「なんて」素晴らしいドラマだったかと思う。
※ややネタバレ気味のおまけ
第1話のラスト。みどりが言った「右」の語釈は「右頬」の語釈だと思う。正しくは「ほっぺたの側」
おまけのおまけ