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2021年11月30日のKOCOラジの放送内容です|BloomingDays PLUS -日々是好日-|倉嶋桃子

みなさん、こんにちは。倉嶋桃子です。

冬に美味しくなるお野菜の中でも、特に子どもたちが好きな野菜は「ほうれん草」。
お浸しに、胡麻和え、バター炒めと、昔からよく食べていました。

ほうれん草と言えば、すぐに思い浮かべるのが「ポパイ」というテレビアニメ。

水夫のポパイと恋人のオリーブ、そしてポパイの天敵である大男ブルートの3人が繰り広げるお話で、物語が終盤に近づいて危機的状況になると、ピンチになったポパイが、ほうれん草の缶詰を一気に握りつぶし、口に流し入れ瞬く間に超人的なパワーとなってピンチを抜け出すというストーリーです。

ただ、これまでずっと気になっていたのが、ポパイがピンチの時に手にする「ほうれん草」の缶詰。これまで日本国内では見たことがなく、本当に存在するものなのか、味はどういったものなのか気になっていました。

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「ほうれん草」の缶詰はあるのか?

スーパーや八百屋さんで見かけるほうれん草は、大概は収穫された状態で売られていますが、他にも冷凍のものや、フリーズドライのものなどはよく見るものの、ほうれん草の缶詰は見たことがありません。

日本缶詰びん詰レトルト食品協会公認の「缶詰博士」で、「缶詰博士が選ぶ『レジェンド缶詰』究極の逸品36」「日本全国『ローカル缶詰』驚きの逸品36」などの著書がある黒川勇人さんが書かれた資料によると、

「ほうれん草の缶詰はアメリカやイギリスだとメジャーだけど、日本ではまず見かけない。日本のメーカーは造らないし、輸入食品店でもほとんど扱っていない。なぜなら、そのまま食べても美味しくないからである。
 缶詰は殺菌のために高温加熱するので、野菜は基本的に柔らかくなってしまう。ましてやそれがほうれん草。指で軽く押すだけで潰れてしまうほどくたくたであります。」

とのこと。

では、その柔らかい状態のほうれん草が入っている缶詰をどのように食べているのかと言えば、「グリーンカレー」を作る時に使われているようです。

グリーンカレーの基本的なレシピを見てみると、柔らかく煮たほうれん草をミキサーでペーストにし、スパイスやトマトを炒めたところに加える、といった方法のようなので、初めから柔らかいほうれん草の缶詰があったら便利なのかもしれません。

ただ、すぐに使えるほうれん草の缶詰は、便利かもしれませんが、新鮮なほうれん草が手に入るのであれば、それを柔らかく煮てからジューサーなどでペースト状にしたほうが、ほうれん草の味がよりおいしく感じるのではないかと想像しています。

「ポパイ」はアメリカのベジタリアン協会のキャラクターだった?!

ポパイは、1929年、エルジー・クリスラー・シーガー(Elzie Crisler Segar)により『シンブル・シアター(Thimble Theatre)』という作品で生み出されたキャラクターで、連載が始まった1991年には、ポパイというキャラクターは存在せず、ハム・グレイヴィ(Ham Gravy)とその恋人オリーブ・オイル(Olive Oyl)、オリーブの兄カスター・オイル(Castor Oyl)が中心人物の漫画でした。

後から登場したポパイは、脇役だったものの、何をやっても死なない不死身でユニークなキャラクターとして一躍人気となり、レギュラー登場することになりました。

実は、このポパイが誕生した理由には、「全米ベジタリアン協会」が菜食主義を広めるために、多くの人々に親しまれるキャラクターを使いたいという理由で、宣伝キャラクターとして採用されたという説やアメリカのPTA的な団体が子どもたちにほうれん草を食べさせるための策略だった説、アメリカの缶詰会社がほうれん草をもっと一般大衆に食べてもらおうという宣伝だった説などがあります。

私が記憶にあるテレビで見ていたアニメのポパイは、ほうれん草の缶詰を食べてパワーアップする内容ばかりでしたが、漫画版ではほうれん草の缶詰ではなく、キャベツを丸ごと1個食べているという設定だったらしく、1933年にアニメ化される際、「キャベツは大きすぎて持ち歩くのは不便。隠し持つにも無理がある」との理由からほうれん草の缶詰になったそうです。

ただ不思議なことに、それまでアメリカにはほうれん草の缶詰は売っていなかったため、このアニメが人気になったため作られることになったそうですが、あまり売り上げはよくなかったとか。

きっとお味が問題だったのではないか、と思いますが…。

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「ほうれん草」など葉物野菜が筋肉アップになる?!

アニメの中のポパイは、ほうれん草を食べて超人的な力を発揮しますが、そもそも、ほうれん草にそのような成分が入っているのでしょうか?

ほうれん草は、ビタミンAやビタミンC、葉酸が多く、健康維持には役立つ成分が含まれているという話はよく効きますが、最新の資料の中には、ほうれん草や小松菜、チンゲン菜、春菊など葉物野菜に含まれている「硝酸塩」の摂取量が多い人ほど、筋力や筋肉の機能が高いことが、オーストラリアで行われた研究で明らかになったという話があります。

この「硝酸塩」とは、土壌を含む自然界に広く分布していて、植物は、窒素を硝酸塩やアンモニウム塩の形で根から吸収し、これと炭水化物からアミノ酸やタンパク質を合成し、吸収される硝酸塩などの量が多かったり、日光が十分に当たらなかったりすると、吸収された硝酸塩などがアミノ酸、タンパク質に合成されないで、植物体中に貯まると言われています。

これまでの「硝酸塩」の研究では、食事を介して摂取した場合、心血管疾患のリスクを下げる可能性があることや、代謝調節に好ましい影響を与える可能性があること、また、高用量の硝酸塩を摂取すると筋力が高まることなどが発表され、また、若い世代では、硝酸塩の摂取が運動中の骨格筋への血流量を増やすことが示されていましたが、これは日常的な摂取量の4倍から7倍の含有量の多いものを一度に摂取したことで示された研究結果であったため、毎日の食事から摂取できる硝酸塩がどのように健康に影響があるかは分かってはいませんでした。

しかし、最近の研究では、毎日の食事において、主に野菜からの硝酸塩の摂取量が多いことは、年齢や運動習慣に関わらず下肢の筋力を強化し、筋機能を高めるために役立つ可能性が高いということが分かりました。

これら「硝酸塩」には、人の体に有益なこともありますが、偏った食べ方をした場合、臓器に障害が起きるなどの事例もありますので、様々な種類の野菜をバランスよく摂取するようにしましょう。

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野菜嫌いや偏食が改善できるという食育とは

野菜は体にいいと分かっていても、美味しく感じなかったり、嫌な思い出があったりして食べられないという大人の人の話や、子どもが野菜嫌いで困るという話を聞くことがあります。

何とか子どもの成長の為にも、健康のためにも積極的に食べて欲しいと考えている方が多い中、効果があると言われ注目されているのがヨーロッパ発の「サペレ」という食育プログラム。
五感を通じて食材に親しむことで、野菜好きな子どもになり、しかも子どもの自己肯定感も育むと言われています。

「SAPERE(サペレ)」とは、「知る」「味わう」を意味するラテン語で、この食育プログラムは、2000年ころからスウェーデンをはじめとした北欧諸国を中心に普及ししています。

この食育では、食材の栄養や知識を教えたり、すぐに調理したりせず、食材を見たり、目をつぶって食材のにおいを嗅いだり、触ったり、食材の皮を剥いたり、ちぎったりするときの音を聴いたり、食材を茹でたり、焼くなど、調理法による味の違いを確かめたり、五感を鍛え、そこで感じた感情や発見したことを、子ども自身が自分の言葉で他の人に伝えるということを行います。

「サペレメソッド」に基づいた教室を日本でも開催する、味の教室協会の染井順一郎さんと河口八重子さんによれば、このような食育を体験することで、「挑戦する力・感じる力・考える力・表現する力・共感する力が育つ」と言います。

また、フィンランドでは、この「サペレ」を大人に応用したところ、食事が改善された事例や、スウェーデンでは、食欲が衰え、偏った食事で体調を崩しがちな高齢者にこの方法を行ったところ、スパイスの香りや野菜のうまみを楽しみ始め、料理する喜びに目覚めるという良い変化が生まれているという事例もあるようです。

我が家の子ども達は比較的お野菜の好き嫌いなく成長した理由として思い当たることがあるとすれば、母方の祖父母の畑で収穫作業を手伝ったり、種まきを手伝ったり、お野菜の育つ過程を見られる環境があったことが関係しているのではないかと思います。

ポパイが缶詰のほうれん草を食べてピンチを脱するような即効性は野菜たちにはありませんが、日々口にするお野菜一つ一つが自分の体を作ることだと思うので、これからも積極的に食べたいと思います。

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2021年11月30日KOCOラジの放送内容について

今回の放送では、この日が水木しげるさんの命日ということで、「妖怪」をテーマにお送りいたしました。

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特設サイトでは、ココラジで毎週放送している「Blooming Days PLUS -日々是好日-」をはじめ、毎週月曜日に放送しているTOKYO854の番組「Blooming Days -日々是好日-」、ラジオでは放送していない「放送後記」や「放送予告」も、ポッドキャストでお聴きいただけます。

従来のPodcastは、著作権の問題で音楽を除外したトークのみのものでしたが、クラウド音楽サービスを利用することによって、ラジオ放送と同じ構成で、トーク・番組内でかけた音楽、両方をお聞きいただくことが出来ます。
お聞きいただくには、アプリのインストールが必要ですが、無料のプラン(Spotify Free)でお聞きいただけます。 期間限定でもなければ、登録にクレジットカードも必要ありません。ぜひアプリをインストールしてお聞きください。

皆様からのメッセージおまちしております

番組では皆様からのメッセージをお待ちしております。
「試してみたよ」「作ってみたよ」といった番組で取り上げた内容のご感想、みなさんが感じる幸せのひとときなど、ぜひお聞かせくださいませ。
特設サイトのメッセージボード、または、KOCOラジの メッセージフォームにて、皆様からのメッセージ、ご感想をお待ちしております。
今週もみなさまにとって素敵な1週間になりますように。
倉嶋桃子でした。

参考資料

ホウレンソウ – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/juu3
ポパイのホウレンソウ缶詰ある? 英国ではカレーにも|NIKKEI STYLE
https://blooming-days.njs.xyz/2idb
ポパイ – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/y07p
園芸文化3号.indb
https://blooming-days.njs.xyz/hode
ほうれん草 | 成分情報 | わかさの秘密
https://himitsu.wakasa.jp/contents/spinach/
下肢の筋力アップに、ほうれん草や小松菜の「硝酸塩」:話題の論文 拾い読み!:日経Gooday(グッデイ)
https://blooming-days.njs.xyz/t6i6
野菜等の硝酸塩に関する情報:農林水産省
https://blooming-days.njs.xyz/kgd0
野菜の健康維持機能:農林水産省
https://blooming-days.njs.xyz/7khu
子どもと大人の野菜嫌い・偏食改善できる注目の食育「サペーレ」とは | NHK健康チャンネル
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1156.html
食材の断面を観察したり、虫眼鏡で見たり…新たな食育「サペレメソッド」はなぜ北欧で高評価なのか|たまひよ
https://blooming-days.njs.xyz/02r3

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