前半:焙煎の進行過程【vol.76】
こんにちは〜!
今回は焙煎の進行過程についてのトピックです。
早速やっていきましょう!
焙煎の進行
焙煎の進行段階は大きく3つに分かれます。
1.drying phase ドライングフェーズ
2.Mailard phase メイラードフェーズ
3.development phase デベロップメントフェーズまたはデベロップメントタイム
焙煎士は乾燥段階(drying phase)と展開時間(development phase)という焙煎の最初と最後の段階に最も注目します。
焙煎中のSカーブ曲線
豆を焙煎機に投入すると、ドラム内温度が70~90 秒間で急激に低下し、その後上昇します。
この曲線が「S」に見えることからSカーブと言われています。
余談ですがビーンプローブ(豆温度を計測する機械)の読み取り値は、豆の表面温度を計測する機械ですが、
豆の表面温度だけを測っているわけではありません。
実は豆と高温ガスの計測をしています。
焙煎開始して 2 ~ 3 分間はビーンプローブの読み取りに気を配る必要はありません
ほとんどの焙煎機では、豆のプローブは 3 分の時点で役立つガイドとなります。
ドライングフェーズ
焙煎というのは、その時々に起きる現像や水分の損失などの変化が継続的に発生する複雑なプロセスです。
ドライングフェーズでは、室温状態だった豆はドラムの熱を吸収します。
そしてドラム内の熱は急激に落ちていきます。
これは、コーヒー豆が熱を吸収していく吸熱期。
吸熱反応とも呼ばれます。
この段階の主な変化は、豆の体積と内部圧力の増加(水が蒸気への変換による)、質量と密度の損失、および豆の色が緑から濃い黄色への色の変化です。
緑から濃い黄色への豆の色彩変換でこのドライングフェーズの終わりを意味します。
ドライングフェーズの理想的な時間
一般的に、焙煎段階全体の期間の30%以上40%以下。
速すぎるドライングフェーズは、豆内の不均一な熱分布をもたらし、豆の外部の燃焼や灼熱のリスクが高くなります。
遅すぎるドライングフェーズは、豆が不十分な開発されていない焙煎につながり、苦い、素朴な味をもたらします。
メイラードフェーズ
豆が黄褐色または薄茶色に変わると、メイラードフェーズに入ります。
この段階は、糖が分解され酸を形成し、豆から蒸気を放出して膨張し始め、焙煎時にしか嗅ぐことができないパンのような香りを発します。
色と香りの変化は主にメイラード反応によるもので、豆の温度が約121°C ~ 149°Cに達すると開始されそれから加速し始めます。
そしてその後、約171°C でカラメル化が始まり、砂糖が分解されカラメル化により、豆の色は茶色になりフルーティー、キャラメル、ナッツのような香りが生まれます。
このメイラードフェーズでは、豆の膨張により、チャフまたはシルバースキンが剥がれ落ちていきます。
同時に煙が発生するため、焙煎士は、チャフ等と煙を排出する為、
十分な排気をする必要があります。
この段階で排気の流れが不十分であると、コーヒーがスモーキーな風味(バーン状態)になり、焙煎機の特定の領域にチャフが過度に蓄積すると、火災の危険が生じる可能性がありますので気をつけてください。
一ハゼ
一ハゼとは豆の内部にあった滞留水蒸気とCO2が一定の気圧に耐えられなくなった時に放出され、そのときにパチっ!と音がします。
これを一ハゼと言います。
そして煙の発生も激しくなります。
それと同時に豆の表面温度は数秒間低下します。この現象は、吸熱フラッシュと言います。
フラッシュは、大量の水蒸気が豆から放出される際の蒸発による表面冷却効果によるものです。
一ハゼの少し前に、豆温度の上昇率 (ROR) は横ばいになりがちなのはこの現象があるからです。
温度は吸熱フラッシュの前後に急落する傾向があり、フラッシュの後に急速に温度加速することがよくあります。
まとめると
ドライングフェーズから1ハゼまでの時間を計測し、焙煎全体の時間の
約40パーセント前後にする必要があります。
デベロップメントタイム
1ハゼ以降で生成されるもののほとんどは、高い温度(約160°C)で活性化される単純糖のカラメル化です。
この時間を「開発時間」デベロップメントタイム と言い、
焙煎プロセスの最後の部分です。
デベロップメントタイム%を計測する場合1ハゼ以降から計測開始して下さい。
しかしこの段階を拡張すればするほど、甘さを失います。
この段階で【2ハゼの前】または【2ハゼ中】に焙煎を停止するかどうかに応じて、「シティロースト」と「フルシティロースト」が決まり、どちらかによって異なる結果を得ます。
カラメル化の時間は、焙煎段階の10%-20%を指標にしてみて下さい。
冷却
冷却は焙煎の最後のステップ。
焙煎、つまりデベロップメントタイムが進行しないようにコーヒー豆をできるだけ早く室温(最大4〜5分)に戻すことが重要です。
前半:終
次回の後半は2ハゼと再度デベロップメントタイムについてやっていきます。
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