The Look of Love(恋の面影)
The Look of Love とは映画「007 カジノロワイヤル(1967)」内で使用された邦題「恋の面影」という楽曲です。
バカラックの膨大な楽曲群の中でも特によく聴いている曲です。
この曲は発表されて50年以上経った今でもたくさんのアーティストからカバーされ続けていて、私はそれらが収録されているアルバムや音源を機会があればできるだけ収集するようにしているくらい好きなのです。
今回、収集したものの中から一部を簡単に紹介してみたいと思います。
まずどのような曲なのかは以下から。
https://www.youtube.com/watch?v=Tf1d65OHYXo
ダスティ・スプリングフィールド版
この曲を語る場合、ダスティ・スプリングフィールドは外せないのです。
「007 カジノロワイヤル (1967年)」のサウンドトラックとして収録されているこの曲は、ボーカル、演奏、曲のアレンジどれをとっても素晴らしくて本当に申し分ないと思っています。
ソウルシンガーとしての名盤の多いダスティですが、この曲ではこの上なく切々と歌い上げていて、ソウルを歌っているのが不思議になる感覚に襲われる。
そして、曲の後半から始まるサックスソロとトランペットは、ダスティのボーカルの切なさを引き継ぐかのように続いていきます。
CASINO ROYALE : Original Soundtrack
先述の通り、ダスティ・スプリングフィールド版は、ピーター・セラーズ、オーソン・ウェルズ、ウッディ・アレン、ウィリアム・ホールデン、ウルスラ・アンドレス、ジャクリーン・ビセットなどの豪華キャストが競演した007シリーズの番外編である映画『カジノ・ロワイヤル』(1967年)のサントラであり、映画の中で使われました。
このカルト的人気を誇る映画のサウンドトラックを担当したのはバカラック御大です。
セルジオ・メンデス&ブラジル’66版
1968年3月にリリースされた「LOOK AROUND」に収録されているバージョンは、ボーカルのラニ・ホールの声は絶好調なのだが全体的な曲のアレンジを少し凝りすぎてしまったような気がします。
色とりどりの和傘をさすメンバー達が写っているアルバムジャケットは、いかにも「日本は第2の故郷」と公言しているセルジオ・メンデスらしい。
このアルバムにはジョアン・ドナートの「The Frog」のカバーも収録されているがこちらはレベルの高い出来です。
セルメンの演奏するカバー曲はレベルが高いものが多くて、例えばビートルズの「FOOL ON THE HILL」のカヴァーもそうだ。こちらはアルバム「FOOL ON THE HILL」に収録されています。
LOOK AROUND
FOOL ON THE HILL
「FOOL ON THE HILL」1968年リリース。このアルバムはセルメン最大のヒットになった。
ダイアナ・クラール版
2001年にリリースされたアルバム「THE LOOK OF LOVE」に収録されている。
このアルバムを印象付けているのはクラウス・オガーマンの素晴らしいアレンジとオーケストラです。
アルバム全体としての出来はとても良いのだが、肝心のこの曲については何か少し物足りない感じがしてしょうがないのです。
おそらくいろいろな面で完璧すぎて、この曲に必要な切なさや不安な心境というものが伝わってこないからだろうと思います。
THE LOOK OF LOVE
スザンナ・ホフス版
元バングルスのスザンナ・ホフスのバージョンは、映画「オースティン・パワーズ」で使われた。
最初は耳当たりがいい甘ったるい声がそのうちにわざとらしく聞こえてきて飽きてきてしまいました。
「オースティン・パワーズ」のサントラは1997年リリース。セルメンの「MAS QUE NADA」なども収録。
AUSTIN POWERS ORIGINAL SOUNDTRACK
スタン・ゲッツ版
スタン・ゲッツのバカラックのインスト集(1968年)。
アレンジャーとして参加しているクラウス・オガーマンの仕事は相変わらず良いのだが、この曲のインストならバカラック本人の演奏したヴァージョンの方レベルが高い。理由は、やはり切なさ成分が足りないということか。
WHAT THE WORLD NEEDS NOW : Stan Getz Plays The Burt Bacharach
クロディーヌ・ロンジェ版
クロディーヌ・ロンジェのバージョンは、あのささやきボイスが好きな人はたまらないかもしれない。そういう意味ではダスティ・スプリングフィールドの対極といえるだろう。曲の雰囲気が甘すぎになってしまってるよう気がするが、切々と歌っているともいえる。このささやくような心細い声の裏には彼女の内にある熱い気持ちをいつも思い出す。
クロディーヌ・ロンジェの楽曲の中には、例えば「WHO NEEDS YOU」(アルバム「LOVE IS BLUE」収録)など、声も含めて好きなのも多い。
1967年リリースのアルバム「THE LOOK OF LOVE」は、A&Mレーベルおなじみのトミー・リピューマがプロデュースし、アレンジはニック・デカロである。
THE LOOK OF LOVE
アニタ・カー・シンガーズ版
アニタ・カー・シンガーズも1969年リリースの「REFLECT」内でカバーしています。
アニタ・カー・シンガーズの場合は軽い感じのアレンジでありながらもとても丁寧に歌われているのがいつも心地いい。
REFLECT
ニーナ・シモン版
2003年4月に亡くなったニーナ・シモンも歌っています。
1967年リリースの「SILK & SOUL」に収録。
ジャズシンガーとして認知されているニーナ・シモンだが、ここでの歌い方や全体的な雰囲気はジャズ的ではなく、ダスティ版に似ている。
SILK & SOUL
この曲のカバーはまだまだあり、その中にはまだ聴いたことがないものもたくさんあるのです。
また要望があれば(たぶん無いだろうけど)、次の機会があれば、紹介したいと思います。
(おわり)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?