3月のライオン 15巻 【ネタバレあり読書感想文】 ハッピーエンドのその先は
★★★★☆
amazonでレビューしたものです。
例によってまだ掲載されていません。なぜだ、、
→掲載されましたー
17巻発売で読み直しました。
1.「君が好きだよ」
前巻のラスト。
ひなちゃんからのメールで彼女の遠慮がちな希望に気付けた桐山くん。
島田さんたちの協力もあり、ギリギリ文化祭に、そしてひなちゃんに間に合いました。
キャンプファイアーの前で、今までつたえているつもりで実は伝えていなかった気持ちをひなたに伝えます。
両思いの幸せな日々をかみしめる二人。
孤独で何も持たず居場所のなかった男の子が、思い合う恋人と家族と暖かい居場所を得ることができました。
こうしてみんな幸せに暮らしました。
めでたしめでたし。
・・・物語ならそれでおしまいです。
しかし、この3月のライオンは、それで終わりませんでした。
2.あずさ1号とブルドーザー
死神に続くぶっとびキャラ、あずさくん。
実際にいたら心配になるレベルですが、、、棋士にはこういう人いるのでしょうか。
考え始めると止まらなかったり、集中すると服を脱いだりと、だいぶ問題児ですが、周りには暖かく見守られています。
そして彼は、”終了のシールを貼られてしまった元天才”です。
桐山と二階堂がくるまでは、高校生棋士として注目と賞賛を一身に浴びていたのに、彼らの登場によって舞台から引き摺り下ろされてしまったという、挫折体験を持っています。
(それによって屈折してしまったのかどうかは微妙ですが。。。)
それでも棋士として生き抜くために、必死にやりたくもない努力を続け、真剣に対局に向き合い、くやし涙を流します。
心の声で話しかけるという特殊能力の、ギャグキャラかと思った田中さん。
実は、あずさくんの師匠でした。
そして、桐山よりも多くの荷物を背負いつつ、投げずにヤケにもならず、穏やかに周りに慕われてきた先輩棋士でした。
病気がちの子供を仕事を続ける妻と交代で育て、やっと子育てがひと段落した今、50を過ぎて再度将棋と向き合い始め棋風を変化させているという、珍しい人です。
子供も妻も愛していて、将棋のためとはいえ、投げ出せず捨てられなかった人なのでしょう。
立派な人です。
しかし、そんな家庭の事情によって、将棋だけに専念できない人生となり、それを会長たちに悔やまれています。
それはまた別の将棋。
でも、将棋に専念できていればもっと違う棋士になり、もっと上に行けたかもしれません。
そして、上2人は、将来の桐山の姿なのかもしれないのです。
3.人生はめでたしめでたしで終わらない
桐山は中学生でプロ棋士となり、勝ち進めて名人候補と言われています。
でも、これから先はわかりません。
ひなちゃんと楽しい恋愛を過ごし、川本家で家族として過ごす。
それによって将棋に打ち込む理由ややる気や時間がなくなりこれ以上上に行けなくなるかもしれません。
そしてこの先、終了のシールを貼られたただの棋士となるかもしれません。
真っ黒な部屋が桐山に迫り、そんな不穏な空気が漂います。
久しぶりに先生らしく相談に乗った林田先生。
それでもひなたと作ったおにぎりを手放すな、と桐山に先生はいいます。
やっとのことで手にした自分の居場所を手放すなと。
元々桐山は家族をいっぺんに失い、施設に行かずに生きていくために、将棋が好きという嘘をついて、将棋を今まで続けてきたのでした。
将棋の世界で必死で勝ち続けることによって、生きる場所を得てきたのでした。
そんな彼があたたかな居場所を得てしまったら、厳しい将棋の世界で生きていくのは難しくなってしまうのでしょうか。
ひなたと両思いになり、幸せになった桐山くん。
でも現実は両思いになったから結婚したからそれで終わりとはなりません。
この話も続きがありました。
彼はこの先どうやって生きていくのでしょうか。
将棋をやめて川本家に入り和菓子屋として生きていくという選択肢もあるかもしれませんが、、、はたして?
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