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「医者の世界において、名誉とお金はトレードオフ」なのか?

「大学教授」が一番偉いと言われる医者の世界。ドラマ「白い巨塔」でも大学教授の偉大さと病院の権力構造がものの見事に描き出されていました。一方で、大学教授になるためには、数々の苦難を乗り越えなければいけません。どんな偉い教授であっても、きっと長い下積みを経験しているでしょう。そして、大学の教員は民間病院に比べて極めて薄給です。今回は医者の名誉とお金について色々書いてみようと思います。

大学教授はなぜ偉い?

そもそも、大学教授はなぜ偉いのでしょうか?医局に関する全ての権限を持っているからです。医局とは1つの会社のようなもので通常、○○大学△△科といった名前がついています。そこの構成員は、教授を頂点に、准教授、講師、助教などと様々な肩書の医師兼大学職員がピラミッド状に配置しています。一般的に准教授以下の人事権は、全て教授にあります。また、それぞれの大学医局には、いくつかの関連病院(○○市民病院、△△医療センターなど)が系列として存在しますが、そういった病院の部長を決めるのも教授なのです。つまり、ありとあらゆる人事権を持っているのが医局のトップである教授なのです。

教授になるためには何が必要なのか?

教授は通常、選挙で決まります(私大などでは、前任の指名制のところもあるようです)。論文のインパクトファクター(わかりやすく言えば、バズり度みたいなものです)の合計点が評価の1つになります。ほかに研究費の獲得歴とか大学院生の教育歴とかも評価の対象になります。手術の上手下手や、学会発表の回数などはほぼ関係ないです。いろいろな業績をスタンプラリーのように積み上げて、最終的に選挙で選ばれます。そして、もう1つ重要な事実があります。良い論文を書く、多額の研究費を獲得するためには、大学での長い下積みが必須です。ひと昔前であれば、一般的な市中病院でも、研究の継続は不可能ではないですが、研究内容が高度化してきている近年の傾向から考えるに、最近では限りなく望みが低いです(症例数の少なさ、研究設備の乏しさなど)。そして、大学での下積みが長い=生涯年収が低いということになります。

金が欲しけりゃ、大学を出ろ。

大学教授を目指さないならば、「大学にいる意味はない」と、私は思います。それはもちろん、大学教授への道を完全に閉ざしてしまうのですが、覚悟を決めないと、お金も名誉もどちらも得られず、まさに「二兎追うもの」状態になってしまいます。大学教授を目指した期間は、お金で夢を買っている状態であり、夢をあきらめれば、お金はいくらでも稼ぐことができます。まさに、名誉とお金はトレードオフなのです。


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