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トークンエコノミーって何?


イーサリアムが提供するカスタムトークンをきっかけにトークンエコノミーという概念が世界中で認知され,現在医療,政治,ゲームなど様々な分野でプロジェクトが進んでいる.

トークンエコノミーとは


生産者(企業やクリエイター)と消費者(顧客や視聴者)が相互に共存し合う(win-winの関係),仮想通貨を用いた新たなデジタル経済圏のことである.
現在人気のサービスのほとんどが相互に関係している経済圏というよりむしろ,一方通行的な経済圏となっている.例えばfacebookでは,ユーザーが投稿したデータを商用利用し広告を最適化することでクリック率の増加を行っている.しかし,データを利用されたユーザーに対してビジネス上の報酬(インセンティブ)はないのが現状だ.

トークンエコノミーは元々は心理学用語からきている.その定義は以下である.

望ましい行動を取った際に「トークン」を付与し,付与したトークンを有形無形の価値と交換できるようにすることで,特定の人やグループに対して望ましい行動を促す

子供に対して「勉強」という行動を望む場合に,お小遣いなど価値あるトークンを付与する契約をすることでモチベーションを上げて行動を促すこともトークンエコノミーに当たる.

日本はトークンエコノミービジネスの波に乗り遅れてる?

世界中でこのトークンエコノミーの仕組みを用いたビジネスが動き始めている中,日本ではいまだに消極的である.その原因は以下のものが考えられる.

ー仮想通貨の悪いイメージが先行したため
ー日本の通貨は使いにくいわけじゃない
ー資金決済法の存在

まず,これを読んでくれている方も仮想通貨についてはご存じだろう.しかし仮想通貨は悪いイメージが纏わりついてないだろうか.「記憶に新しいコインチェック事件」だ.2018年1月26日,コインチェックに預けられていたNEMという仮想通貨が,何者かのハッキングによって大量に盗み出された.約600億円相当の仮想通貨が流出する大規模な盗難事件となり,その後仮想通貨市場全体は歴史的な大暴落がおきた.

そして,日本の紙幣は他国の通貨に比べて使いやすいということがあるようだ.現在オンライン決済を浸透させようという動きがあるが,まだまだ現金を利用している人も多い.

最後に資金決済法という法律の存在だ.商品券やプリペイドカードなどの金券(電磁化された電子マネーを含む)と,銀行業以外による資金移動業について規定する日本の法律である.その法律では「仮想通貨」を扱う業者は「仮想通貨交換業者」としての登録が必要と定めている.審査があり,コインチェック事件以降ハードルが上がった.

様々な課題を解決するプラットフォームの構築が可能


例:
【中古ゲーム売買の課題】
中古ゲームでは顧客同士が取引をするためそのゲームを制作したメーカーは利益を得ることができない
【Youtubeにおける課題】
多くのクリエイター(youtuber)がスタートアップ時期にモチベーションを保てず,人気になることが難しい.
【政治分野の課題】
日本人の政治に対する関心が低い.

これらは実例の着想点となった課題である.このような課題を抱えたコミュニティにこそトークンエコノミーの仕組みを導入していくと効果的なのだ.その理由を以下に述べていく.

トークンエコノミー導入のメリット

・スマートコントラクトという技術により中間業者が存在しないから中間手数料がかからない
・個人が価値を生み出し,それが正当に評価される世界
・単純消費から消費者が参加する参加型消費へ変わり,生産者と消費者で相互性が生まれ経済活動が促される
・すべての利害関係者に利益がある


トークンエコノミーを支える技術


【ブロックチェーン】
インターネット上の複数のコンピュータがユーザーとして1つのデータベースを構築し続ける仕組み.過去の取引ログから現在の取引ログまでをブロックという単位でまとめ,鎖のように繋いでいくことからブロックチェーンと呼ばれる.データの改竄をするには過去の取引ログを改竄して行かなければならず,解読が極めて難しいとされる.

【スマートコントラクト】
ブロックチェーン上であらゆる契約行動を自動プログラム化して処理する技術.契約の透明性が確保されており,ユーザー同士が直接取引を行う非中央集権型のサービスを実現できる.また,面倒な契約キャンセルなどの事務作業を無くすことができるため運営コストを減らすことができる.


良質なトークンエコノミーの条件

❶独自のトークンがあり,保有価値がある
❷報酬により特定の行動を促す仕組みがある
❸トークンの価値を高める「何か」がある
❹ユーザーに参加するメリットがある
❺高い流動性がある

精神的な欲求を満たす

日本のようにモノが十分に満たされた成熟社会では物質的ニーズから精神的ニーズへとシフトしていく.つまり他者から認められたいという承認欲求や自分の能力を引き出し創造的活動がしたいという自己実現欲求に駆られるということだ.これは前回のnoteで書いたことに関連する.このような成熟社会とトークンエコノミーの特徴は相性がよい.


このnoteで話したようにこれからのビジネスのカギとなってくるのは「相互性」と「成長する機会の提供」である.それを満たすトークンエコノミーを軸としたサービスが展開され始めるのも時間の問題だろう.

【実例紹介】Youtoken

最後に,トークンエコノミーを導入したサービスで個人的に面白いと思った「Youtoken」について紹介します.

YouTokenはクリエイターの成長とファンのつながりを支援する、主に中小クリエイターに向けたサービスです。
​クリエイターが、ファンとともにインフルエンサーに成長するまでのステップアップを支援します。
クリエイターの下積み時代を支えたファンは、クリエイターの成長によって、様々な恩恵を得ることができます。
メンバーカードの価格はYouTube登録者数と連動。メンバーカードの価格はクリエイターの成長に比例して上昇していきます。
あなたの手でコミュニティを盛り上げ、メンバーカードの価値をあげることもできるかもしれません。​​(youtoken公式サイトより引用)

始めたばかりの駆け出しyoutuberとそのファンがwin-winの関係でともに成長していくことができるサービスだ.また登録者とトークンの価値が連動しているためファンは登録者数を伸ばすために様々な行動を起こしていくと期待できる.そしてその行動に対して報酬としてトークンが支払われるという好循環が生まれる.

登録者が300人のころに見つけた才能溢れる新人youtuberのトークンを300円で購入し,広報活動や企画,動画編集などのアクションで伸ばし,登録者が10万人にもなれば,その価値は10万円に上がるということだ.そのトークンを売却してもよいし,プラットフォーム内で使用することもできる.

終わりに

日本におけるトークンエコノミーはまだ動き始めたばかりです.これからの動向に目が離せません.拙い文章ですが,最後まで読んでくれてありがとうございます.

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