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ショートショート46 『起承転結・結・結』

『起承転結・結・結』


【起】 
男と女に、しばし沈黙が続いている。
男は場の空気を変えようとしたのだろうか。
女が好みそうな話題を持ちかけた。



【承】
男「よし、心理テストしようよ」

女「え、うん」

男「じゃ、想像してね。あなたは今、山小屋にいます。さて、その山小屋に入ると椅子がありました?椅子はいくつ?」

女「んーーー」

男「あまり考えたらダメなんだよこういうのは。直感で」

女「4つ?かな」

男「オーケー。じゃあ次ね。そこにはテーブルがあり、テーブルの上にはろうそくが立っています。ろうそくの数は何本?」

女「ええと、3本?」

男「いいペースだね。じゃ最後。テーブルに水があります。その水の量は?」

女「ほとんど無い、かな?これで、なにか分かるの?」

男「ああ、これで君の心は丸裸だよ。まず心理的に、椅子の数は、“あなたの家族の数”を表しています。どうだった?4人家族?」

女「あ、うん」

男「そして、ろうそくは“一度に愛せる異性の数”を表してる。3てヤバイね。ははは」

女「え、いやそんなことないけど」

男「最後の水の量、これはね“夜の営みの満足度”を表してるんだ。全然じゃんー。はは。」

女「もうやだー」




【転】
男「別れよう」

女「え」

男「だって僕のこと愛してないってことだもんね。この結果」

女「何言ってんのちょっと」

男「そうじゃんよ!なんだよ!一度に3人愛せるって!浮気女が!」

女「違うじゃん違うじゃんこんなの!心理テストなんかで!」





【結1】
男「なにが違うっていうんだよ!」

女「だってさ!ダメだよ!」

男「なにが!」

女「山小屋で、山小屋の心理テストしないでよ!ろうそくも空のコップも目の前にあるしさ!それに引っ張られちゃうよ。バカなの? 」

男「…確かに。ごめん」

3本のろうそくが男女を嘲笑うかのように揺れていたのだった。 




【結2】
男「なにが違うっていうんだよ!」

女「いや、だって付き合ってないじゃんそもそも」

男「え」

女「ストーカーじゃんあんた。早くこの縄ほどいてよ!」

男「付き合ってないのか…」

女「はやく」

男「オーケー。オーケー。とにかく、僕にとっては君しか、ろうそくはいないんだよ。さあ、まずは、夜のコップの水を2人でいっぱいにしようね」

女「いやーーーー助けてーーー」

男「誰も助けには来ない。ああ…かわいいよ…」

女「お願い許してー」

男「……あ、もうちょっと、迫真の演技してもらえる?」

女「……ダメでした?」

男「うん。興奮しにくいというか。見てる人もここで興奮したいから」

女「はあ、すみません。AVもパッとセックスするだけじゃあ、だめなんですね」

男「ああ。求められてることをやっていこう」


進化し続ける、AV業界なのであった。 





【結3】
男「なにが違うっていうんだよ!言ってみろよ!おい!聞いてんのか!」

男は布団から目覚めた。

男「…おいっ…!…なんだよ。夢かよ…」

夢なのであった。


***


ということでお話は以上です。
いかがだったでしょうか?
起承転結から3種類の違った形の“結“”がありましたね。

これを読んでいるアナタはどの結末が、一番好みでしたか?


“結1”を選んだアナタ。
このシンプルなショートオチを好んだアナタは一般的な恋愛感の持ち主です。
たまに目移りすることもありますが、お互いを尊重しながら、パートナーと仲良くしていけるタイプでしょう。

“結2”を選んだアナタ。
やや、二転三転の展開を好む傾向にあるアナタは、恋愛面に置いては浮気性のようです。
常に刺激を求めドラマを求めてしまいます。
現実世界では、ドラマが起きないことも幸せ、ということを見いださないと、この先、辛い恋愛になってしまうかもしれませんよ。


“結3”を選んだアナタ。 
本質がどうでもいいアナタ。
あまり恋愛には向いてないようです。






~文章 完 文章~







よかったなと思ってもらえたら書籍でも読んでくれたらバリ感謝バクハツ。

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