見出し画像

【北欧ノルウェー医療】~リハビリテーション定義変更の歴史~

前回の記事【北欧ノルウェーのリハビリテーション改革】~フレイル高齢者の救われた命のバトンをつなぐ~はこちらから。

前回の記事では、ノルウェーの医療界で叫ばれるリハビリテーション改革文書の紹介と、フレイル高齢者へのリハビリテーションの複雑化や包括的なアプローチの必要性を書かせていただきました。

今回の記事では、そもそもリハビリってなんなの?という基礎の部分を、ノルウェーのリハビリ歴史的背景を交えながら記していきたいと思います。

そもそもリハビリってなに??

多くの人はリハビリテーションを「トレーニング」とか、怪我からの機能回復、目標を設定しその目標に向かって一定の期間内で努力することだと考えているかもしれません。しかし、リハビリテーションとは本当に何でしょうか?リハビリテーションはトレーニングと全く同じ意味であり、時間的に限定されたプロセスなのでしょうか?

ノルウェーでのリハビリテーションの定義

現在、ノルウェーでは「リハビリテーション」という用語をどのように定義しているのでしょうか?2016年に、ノルウェー保健省は地域におけるリハビリテーションとハビリテーションの強化を目的としたリハビリテーションとハビリテーションの拡充計画(2017-2019)を発表しました(Helse - og omsorgsdepartementet, 2016)。

拡充計画前のリハビリテーション定義

拡充計画の前は、リハビリテーションは次のように定義されていました。

「明確な目標と手段を持つ時間限定の計画されたプロセスであり、複数の関係者が協力して、患者や利用者が最善の機能と対処能力、独立性、社会的および社会的参加を達成するために必要な支援を提供する」
(Helsedirektoratet, 2020, s.12)。

定義の見直しを!

拡充計画では、この定義の見直しが必要であることが指摘されました。理由は、慢性疾患を持つ人々のニーズ(フレイル高齢者を含む)を反映していないためであり、予防・治療・リハビリテーションが相互に重なり合い、時間的に区切ることが難しいからです(Helse- og omsorgsdepartementet, 2016, s.28)。さらに、定義には利用者の視点を取り入れ、リハビリテーション目標決定する際に、利用者自身の生活状況と目標を基礎とすることを明確にする必要があると指摘されました。

このため、2018年に定義が変更され、ハビリテーションおよびリハビリテーションに関する規則第3条に次のように記載されました

リハビリテーションは、個々の患者および利用者の生活状況と目標を基礎としなければならない。リハビリテーションは、患者、利用者、家族、およびサービス提供者の間での異なる場面における目標指向の連携プロセスである。これらのプロセスは、コーディネートされ一貫性がありエビデンスに戻づいたものであることが特徴となる。目的は、身体的、精神的、認知的、または社会的機能に制限がある、または制限が生じる恐れのある患者および利用者が、最善の機能と対処能力、自立性、教育や労働生活、社会的および社会的参加を達成できるようにすることである。
(Forskrift om habilitering og rehabilitering (2011, §3)

この定義では、異なる種類のサービスや対象者を区別しておらず、大きく複雑なニーズを持つ高齢患者、フレイル高齢者も含まれています。

参考文献
Helse- og omsorgsdepartementet. (2016). Opptrappingsplan for habilitering og rehabilitering Helse- og omsorgsdepartementet (2017–2019).

Helsedirektoratet. (2020). Evaluering av opptrappingsplan for habilitering og rehabilitering (2017-2019).

Forskrift om habilitering og rehabilitering. (2011). Forskrift om habilitering og
rehabilitering, individuell plan og koordinator. Lovdata. 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?