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【日記】言い訳/2023年1月27日(金)

 陽が出ていないとこんなにも違うものなのである。曇天から雨に変わり、ますます寒さが沁みてきた。昨夜壊れてしまった電気ミニストーブの影響は大きく、半稼働のものの足元はやっぱりうっすらと冷える。電気料金の高騰を考えればあまり使いたくないエアコンを入れてはみたものの、やはり効きが弱い。こんなときは湯船に浸かってしまうのがいちばんだが、なんだーかんだーでそのタイミングをつかめなかった。

 ガキのころは半袖半ズボンで鼻水垂らして外を駆けずり回っていたものだけれども。今も変わらず鼻水を垂らしてはいるが、めっきり寒さには弱くなってしまった。これは「寒い」ということを認識したからなのか。あの頃は、「寒さという感覚・概念」がなかったから平気だったのか。そう考えると、キャリアを積むことが必ずしも好結果を生むとはかぎらないのかもしれない。そして、ガキのころはホントかぎりなくバカ。でも、バカで正解ということもある。

 S編集長と、さらに“詰め”の電話。で、例によって脱線。なぜか「100%非があるのに謝らなくなった世の中」について話す。そこで思い出したのが10年くらい前に起きた出来事だ。

 新幹線のホームで、乗車待ちラインに並んでいたときのこと。自分は3番目くらいだった。すると、後からとことこと来たおっさん(自由業のようだったが、身なりはきちんとしていた)が、先頭の若いサラリーマンの隣に何食わぬ顔で立った。両者はもちろん知り合いではない。
「あ、こりゃアカンやつだ」と思い、「おじさん、ちゃんと後ろに並ばないとダメっすよ」と声をかけた。するとおっさん、すごすごと最後尾に並んだが、乗車して自由席を確保すると、つかつかとオレのところにやってきて、信じられないひと言を言い放った。

「あなた、あんな言い方をして失礼じゃないですか。私は割り込む気なんてなかったんだよ!」
「は? 誰がどう見たって割り込む気満々だったじゃない」
「いいや、私は割り込む気はなかった!」
「じゃあ、なんであんなところに立ってたの?」
「……」
「ダメだこりゃ。全然話しにならん。あっち行ってくれ!」

 このおっさんもたいがいだが、周りにいた人々の反応にガッカリした。みんな並んでいて経緯を見ていたくせに、誰も援護射撃をしてくれない。

「東日本大震災を境に、日本は変わってしまいましたよね……」。2011以降の日本人の変化を、ライターの船ちゃんこと船橋真二郎さんとも常々憂えていたのだが、「やっぱヤバいわニッポン……」とはっきりと認識した事件であった。
「とにかく、どんなに非があっても認めずに“言い訳”する世の中になっちゃいましたよね」
「ホント、言い訳だらけ。素直に謝って、そこでチャラにして先に進みたいのに、厄介な世の中になっちゃったよね……」
 S編集長とはこんな感じでちょいちょい街で出遭った“不思議人間”について話すことがある。そしてお互い子を持つ親でもあるので、「せめて自分の子どもだけはそうならないようにしないとね」と締めた。うちはもう、父親の手の届かないところに行ってしまった模様だが。

 毎晩、酔っぱらって呪文のような解読不明のLINEを送ってくる丸さんこと丸山幸一さんに電話。話題となっている映画『ケイコ 目を澄ませて』について話す。『Playback』『きみの鳥はうたえる』を観て、三宅唱監督のセンスに唸らされた。ボクシングを、音のない世界をどう表現しているのか。とても興味を惹かれていたが、なにぶん、上映している映画館が少なく、時間も合わない。どうにかして劇場で観る機会をつくりたい。

 晩飯劇場は昨日に引き続きBS日テレ。今日は浅田次郎原作の『柘榴坂の仇討』。クライマックスシーンの中井貴一、阿部寛のやり取りに涙。中村吉右衛門の御姿に涙。辛くし過ぎたキムチ鍋に涙。涙、涙、涙。さすが泣きの浅田次郎。

「新しいレンズのセットは金曜日に届きます」。川栄李奈ちゃん似の店員さんが言っていたとおり、名古屋のセンターからきちんと届いた。
 その名古屋、明日はまた試合数が減って、当初の前座開始時間15:00→16:10に変更。テレビの生中継に合わせた苦肉の策だ。
 コロナ禍になって以降、試合の中継スタイルはすっかりネット配信主体となり、全国どこからでも観ることのできる時代となったが、一方で(好カードがあったとしても)会場はどこも空席が目立つようになった。その原因はどこにあるのか。またあらためて別の機会に書いてみたい。

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