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【ボクシング】精彩なきヨカが連敗。42歳タカムが強打で連敗脱出

☆3月11日(日本時間12日)/フランス/ゼニス・デ・パリ
ヘビー級10回戦
○カルロス・タカム(フランス/カメルーン)WBC23位
●トニー・ヨカ(フランス)WBC11位、IBF13位
判定2‐1(96対94、94対96、96対94)

 リーチではわずか4cmだが、身長では14cm上回るヨカ(身長201cm、リーチ208cm)が、ガードを絞りながら小さなボビングをしてリズムを取り、右へ右へと小さく移動。左ジャブでタカムの胸を突きながら、顔面へも伸ばし、右ストレートを打ちこむタイミングを計る。
 左グローブを胸前に置きながら、入り込む間合いを測るタカムは、このジャブに気圧されず、右のオーバーハンドでクロスを狙い、その勢いのまま距離を詰めて連打。ヨカは右ショートアッパーを狙う素振りも見せながら、しかしタカムの左右フックにガードが忙しくなってしまった。

 緩やかにリズムを取るヨカと左右へ小刻みに上体を動かして速くリズムを取るタカム。この“間”の争いだけではタカムがリードしてしまうが、ヨカは速い右ストレートでこれを切り裂きたい作戦だったのだろう。しかし、タカムの瞬間スピードが常に上回っていく。その勢いに押されてロープを背にしたり、フットワークで回避したりと、ヨカの気持ちは徐々に後ろ向きになっていった。

 左右フックを見せておき、ボディーフックに切り替える。タカムの定石どおりの攻撃に、ヨカも右アッパーの上下を誘引される。しかし、ガードをL字に構えてアッパーを防ぐタカムは迷わない。ヨカがアッパーをもっと使っていれば、流れは変わったと見るが、その余裕を奪ったタカムに一日の長があった。

 体全体の総出力は、タカムのほうが上だったろう。名匠バージル・ハンターのアドバイスもあったはずで、ヨカはおそらく後半、終盤にタカムの動きが落ちてくることを見越していたのだろう。が、タカムは落ちない。それよりも、ボディーに左右フックを叩きつけられてきたヨカの動きが先に失速。特に右ボディーフックは、ヨカ唯一の武器と言っていいジャブをも制してしまい、それにともなうフットワークも使えなかった。

 30歳のヨカをひと回り上回るタカムの元気の良さばかりが目立った。対してヨカの精彩のなさが際立った。

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