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スポーツ選手は特に注意! スマホを見る「目」と「姿勢」の影響について

※トップ写真=いまだに現役選手さながらに動く八重樫さん。彼が直に感じることは非常に興味深い

パソコンとリュックのせいでニワトリになった


 まるでニワトリのようだ、と思った。歩いている自分の姿をふと、たまたま横にあった店の窓ガラスに映したときのことだ。首が異様に前に突き出しているのである。「これはなんとも無様だ」と思い、首を引っ込める矯正を試みた。ツライ。こんなに頑張らなきゃ引っ込まなくなるくらい、突き出してたんだ……。そう悟ったのは10年くらい前だ。

 仕事はほぼすべてパソコンで行う。画面を覗き込むような形になり、どうしても前のめりになってしまう。そうすると、背中が丸まるだけでなく、首も前に出てしまう──そうピンときたことに加え、さらに日常の行為に思い当たった。
 会社、取材先、旅行、どこへ行くにも昔からリュックを背負ってきた。しかも常に重たい。その重さに背中の力で対応しようとし、さらに前に進もうと頑張るから、自然と背中が丸まり首が突き出る形になってしまうのだ。パソコンとリュック。原因に行き着き、なんとかせねばと考えた。

 イメージとして尻の上、腰骨でリュックを持つ感覚を意識した。そうするためには胸を張って、背筋を伸ばさねばならない。これをかなり意識的にやった。「オレはニワトリじゃない!」と心の中で唱えながら、いつも歩いていた。こうしてリュックを背負う背負い方は、だいぶ改善された。なんなら姿勢を正すことで、重いリュックを支える腹筋も自然と鍛えられるのだと悟った。問題はパソコン作業だった。姿勢正しく座り、前のめりにならないよう意識しても、どうしても前にのめってしまう。本当なら、姿勢正しく座った自分の目線と、パソコンが水平になるのがベストだ。けれども、そんな机は特注しなければ手に入らない。ある程度、時間が経つと、定期的に首を戻す体操をした。長時間経過すると頭痛が始まるから、それがバロメーターだった。首を長時間突き出していると、血流が悪くなるのか、頭が痛くなるのだ。

 時を重ね、“ニワトリ問題”とはなんとか折り合いをつけられるようになったが、スマホ導入がまた新たな難題をもたらしてくれた。ガラケーにこだわりを持って頑張っていたものの、仕事上、どうしても対応できなくなってきたため、5年ほど前に、とうとうスマートフォンに切り替えた。“始まり”はそれからだ。

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