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【日記】熱帯夜/2023年1月14日(土)

 夜中に目覚めてパッチリと目が開いてしまい、布団の中で芋虫のごとくもぞもぞと動き回った。「またいつものように、取材の興奮が冷めやらないせいか……」と思ったものの、「いやいや、これは普段とは様子が違うぞ」とはたと気づき、枕元に置いてあるデジタル時計を手に取ってみた。最近は4、5℃を表示する室温が、なんと13℃もある。
 暑くて寝苦しかったのである。寒くて起きてしまうよりはマシなのだが、冬に暑くて起きてしまうとはめずらしい。温暖化という言葉が頭をよぎったが、いや、これはおそらく雨のせいなのだろうと思い直した。
 朝になっても雨戸の隙間から陽が差し込んでこないから、やっぱり久しぶりに天気が悪いんだな、と確信した。

 太陽が照っているけれど部屋は寒い。天気は悪いけど部屋は暖かい。どっちを取るかと言われれば、冬は断然後者だ。エアコンも電気ストーブもつけないで過ごせるのが何より。もっと言えば、半袖でいられるのがいちばん。袖を長くした状態で顔や食器を洗うとき、袖口と腕の間にツーっと水が浸入してくるのが大嫌いなのだ。腕をまくり気味にしていたのに、作業をしているときに袖が下りてくるのにもイライラする。かといって、完全にまくってしまうと寒い。自分でも本当にめんどくさいやつだと思う。
 小田原の日中は16℃だったようだ。腕まくりし、裸足でいても大丈夫な温度。最高の冬の日だ。

 9:00~13:00すぎまでESPN+のカナダ興行を見る。メインの女子世界ライトフライ級王座統一戦は、「まさかびっくり判定出ねーだろうなぁ」と冷や冷やしていたが、きちんと採点されていてホッとした。自分の採点は98対92でジェシカ・プラタ(メキシコ)の勝ちだった。
 全6試合(女子3試合、男子3試合)が「カナダvs.メキシコ」となっており、カナダの5勝1敗。しかし、メインを除き“負け役”のような感じで呼ばれてきたメキシカンたちは皆頑張った。女子ウェルター級8回戦のマリソル・モレノは特に。異国の地でたっぷりと美味しいものを食べさせてあげてほしい。
 そういえば、全方向ではなかったけれど、リングサイドの一部に丸テーブル席がいくつか設けられていた。いわゆる「ディナーボクシング」のかたち。海外ではちょいちょい見かけるもので、日本でもかつてオサムジムがやっていたけれど、あれってどうなんだろう。自分は食事しながらボクシングは見られないけれど、たとえば流血戦なんか観るとステーキが進むとかあるのだろうか。

 夕方からは日テレG+で『ダイナミックグローブ』生中継を見る。神足茂利(M.T)の相手プラティップ・チンラム(タイ)はムエタイの2階級制覇王者だそう(こういうサイド情報を日テレアナウンサーたちは毎度よく拾ってくれている)。しかし、身長差18cmということ以上に、シューズがツルツルとまるでアイススケートのように滑るハンディが大きかった。初回後のインターバルで、足の前方(足裏でいうところの『母指内転筋横頭』というそうだ)部にテープを巻いたものの、踵は相変わらず滑りまくり。これではしっかりとしたパンチを打てず、押しただけで倒れそうだ。
 試合は戦いだから、松脂をしっかりつけるなりシューズもきちんとしたものを履いたりするなど、滑らないように準備を整えておくことは当たり前。けれども、外国人選手のこのような光景を何度も目にしてきている。考えたくもないが、余計な詮索をされてもしかたない。
 レフェリーの権限、またはインスペクターの指示で、インターバル中に松脂をつけさせるなどできるはずだ。現に、そのようなシーンを見たことがある。今日のテレビ中継では確認できなかったので何とも言えず、ひょっとしたらそういう処置を行っていたのかもしれないが。
 試合にならないハンディを抱えたあの状態は危険極まりなく、事故が起きる可能性だって大きい。安全問題に敵味方は関係ない。
 見ているこちらが試合に集中できないレベル。神足はもっとそうだったに違いない。
 その点、スーパーライト級8回戦に出場したカン・ダウォン(韓国)に、ドクターチェックを促した染谷路朗レフェリーはよく観察していたと思う。テレビ画面ではわからなかったカンの右目の不調を察知したのだから。
 カンと屋嘉部悠大(帝拳)の防御意識の薄い者同士の打ちつ打たれつは、前時代的戦いで見ていて非常に怖かったが。

 今日発売の『ボクシング・ビート』2月号が編集部から届いた。雨模様だったのでビニールがかけられた状態で。島篤史編集長にお礼LINEをしたところ、ビニール包装はヤマト運輸の計らいだそう。
 今月は、来日したファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)についてと、『アマチュア出身ホープ特集』を書かせていただいた。エストラーダのことはロマゴン初戦でその戦いぶりに感動して以来の隠れファンで、それを知っている編集長からのリクエストにより。『アマ特集』は、人選の面で苦労したし、モノ申したい方も多いはず。残念ながら名前を入れられなかった選手には、「今に見てろよ!」の精神で見返してほしい。

 

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