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拙い詩の数々
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2016年9月の記事一覧

夏の終わりは雨に

しきりに降り続く雨
眠りにつくまでその音を
心地よく耳を澄まして聞いていた
遠くの方ずっと遠くに
二人寄りかかっていた夏の像
君の肩から濡れた雨の匂いや
シャツを通して伝わる体温や
すべてこの頭が記憶しているというのに
もう遠くずっと遠い
水が流れる音を聞きながら
追憶のなかの君を
どうか壊さないで封をするように
そのまま瞼を閉じて
すれ違った事実
あれからどちらも動かなかった
その後君は泣いたの

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世界の反転

彩られた世界にいた頃
君は神様で、私は小さな子供だった
すべて大人は暴力の匂いがして
それに抗う術もなく
私と君はただ泣くしかなかった
手を繋ぎあったわけでもないけど
君と私は糸を撚り合せたように
通じ合ってひとつの世界を感じあって
好きだという言葉を磨り減るほど
使いその言葉の甘やかさに
酔いしれた
時は経て世界の色が段々くすんできて
それに馴染んでしまった今では
あの頃の世界の輝き方は眩しすぎ

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